今日1月15日、陸前高田市の「まちなか再生計画」を認定しました。これは、かさ上げや高台移転した新しい市街地に、商店街を再建するための支援です。計画策定や補助金での支援をしています。既に、女川町、山田町、石巻市、南三陸町を認定し、女川町では昨年12月23日に、駅前に集約した商店街が開業しています。人口7千人の町に、初日から5日間で3万人以上の人が来たそうです。一か所に集約した効果、駅前に集めた効果が出ているようです。
役所は、しばしば「こんな計画を作りました」「こんな補助をしました」と「やりました」を誇りますが、本当の物差しは「それで、どれだけの効果が出たか」です。そして、持続するかです。ということで、今回の記者発表には、これまでの実績として、女川の状況も資料(p3)として付けました。
月別アーカイブ: 2016年1月
数学をめぐる議論が、社会を変える。2
この本の第1部は、昨日書いた、イタリアでのカトリックとイエズス会が、自由な研究を押さえ込み、秩序を維持することに成功します。しかしその代償に、研究が進まなくなります。第2部は、舞台をイギリスに移し、ホッブスが敵役になります。ホッブスは、政治学を勉強した人なら知っている「リヴァイアサン」の著者です。彼が、その思想の延長で、数学を勉強したとは、知りませんでした。彼の主張では、絶対君主がこの世を治めます。それは、教皇に代わる統治者であり、唯一の秩序を維持する者です。それに対し、まだ誕生したばかりの、ロイヤルアカデミーが対抗します。
17世紀のイギリスの政治混乱、2度の市民革命が、この唯一の秩序派と自由な研究派との対立に重なるのです。そして、ホッブスは負け、自由な研究派が勝ちます。それから、イギリスの発展が始まります。
イタリアの自由な思想が終わり、イギリスで自由な思想が始まる。その象徴が、数学をめぐる議論として描かれています。なるほどと思います。もっとも、教皇派・王党派対自由な研究派・市民派を、すべて数学の対立で説明するのは、いささか無理があるようです。しかし、一つの象徴としては、理解できます。マックス・ウエーバーの、プロテスタントが資本主義を発達させた論より、面白いです。
とはいえ、この本は、上下2段組、300ページあります。「挑戦してやろう」という人に、お勧めです。たくさんの知らない人が出てきて、寝ながら読むには少々大変です。
数学をめぐる議論が、社会を変える
アミーア・アレクサンダー著『無限小 世界を変えた数学の危険思想』(邦訳2015年、岩波書店)が、面白いです。無限小の議論は、連続体、例えば線を分割できるかどうかです。この本は、そのような数学的議論ではなく、それが中世の神学、哲学、社会に与えた影響を書いた本です。数学の棚でなく、政治哲学、歴史社会学の棚にあって良い本です。
宗教改革以降、ローマ教皇を頂点にした秩序が崩れます。それを再興したいカトリック側の先兵になったのが、イエズス会です。イエズス会は、その優れた教育システムで、優秀な宗教者を育て、世界各地に送ります。その際に、神学とともに、数学が重要視されます。それは、古代ギリシャの数学を模範とし、秩序の象徴だったのです。
そのイエズス会からすると、地動説を唱えるガリレオとともに、無限小は秩序を乱す、許しがたい悪人です。そこで、弾圧します。
それまで、科学や数学で最先端を行っていたイタリアが、その後、自由な研究ができなくなり、研究の中心はアルプスを越えて、フランスやイギリスに移ります。
読んでいて、「へ~」と思う分析です。
天文学、数学における「古典的秩序」対「自由な発想」の対立が、それだけにとどまらず、社会を見る見方、社会観に影響を与えます。それについては、次回に書きましょう。
地方活性化、政治の役割
日経新聞、経済教室面「やさしい経済学」は、1月7日から、砂原庸介・大阪大学准教授の「地方再生の行方、政治が担う機能」が始まっています。
ようやく冬に
今日の東京は、寒かったです。明け方には、雪も降ったそうです。私が出勤するときには、ミゾレになっていました。最高気温が6度とか。北海道の方にとっては「なんや、それ」という温度ですが、東京は昨日まで10度を超えていたのです。
出してあった冬用のコートとマフラーを、この冬初めて使いました。昨日までは、ハーフコートですんだのです。
暖かい日が続くことはありがたいですが、スキー場は困りますよね。新高円寺の駅前、青梅街道のイチョウ並木には、まだ黄色い葉っぱを付けた木が残っています。今晩会った大阪の方は、「桜咲いてまっせ」とのことです。私も、梅が咲いたのを見ました。