ベルトコンベア終了

9月15日に、岩手県陸前高田市で、かさ上げ工事に使う土砂を山から運んでいるベルトコンベアが、仕事を終えたとのことです。「NHKニュース」。
隣の山を削って、川を越え、市の中心部まで土砂を運んでいました。空中高く設置され、全長3キロもあり、観光名所になっていました。500万立米、東京ドームおよそ4個分に当たる土砂を運びました。ダンプカーで運んだら、8年以上余計にかかったとのことです。5立米積むことができるダンプカーだと、100万回往復する必要があります。

ITの特徴を生かした企業による支援

9月15日の朝日新聞経済欄が、「IT大手、舞台は被災地 海産物通販など新事業探る」として、ヤフー、グーグルの試みを取り上げています。
・・・被災地で、大手IT企業が地道にビジネスを続けている。東北の特産品のネット販売や、被災地と全国の人や企業を引き合わせるサービスなどを手がける背景には、東北でつくったビジネスモデルを、日本のほかの地方にも広げていこうとの狙いがある・・・
・・・震災から9カ月後の2011年12月、ヤフーは、東北3県の海産物や伝統工芸品などを扱う通販サイト「復興デパートメント」を立ち上げた。販路を拡大したいという地元企業の声を受けて始め、現在、出店事業者数は約1千に達し、約3千点の商品を扱う・・・
ありがたいことです。もっとも、事業としてはまだ赤字だそうで、「震災から時間が経ち、「復興支援」の名目だけでは商品が売れなくなってきている」とのことです。
グーグルは、被災地と全国の企業や人をネット上で結びつける「イノベーション東北」をやってくださっています。東北の企業の要望と、それに応える技術を持つ人や企業を引き合わせるサービスで、これまでに570組以上の引き合わせに成功したとのことです。それぞれリンクを張ったので、事業内容をご覧ください。

本屋さんのない町

9月14日の読売新聞夕刊の読書欄に、書店のない自治体が増えていることが紹介されていました。全国では330団体にも上るそうです。全国の市町村数は1700あまりですから、2割近くが本屋さんのない自治体です。しかも、市町村合併後ですから、合併前の旧市町村で見るともっと多いのでしょうね。47都道府県ごとの市町村数が載っていますが、香川県がゼロで、栃木・富山・石川・福井・広島・大分が1市町村です。
インターネットでどんな本でも買うことができますが、それは目的を持った人だけでしょう。子どもや一般の人は、やはり本屋の棚を見て、読みたい本を探すのではないでしょうか。もちろん、学校や公立の図書館がその代替機能を果たしていると思いますが。私の育った村にも本屋さんはなく、隣の町の本屋さんがバイクで届けてくれる月刊学習雑誌はうれしく、また本屋に行くことはとてもうれしかったです。その「病気」がいまだに続いていて、本屋に行くことが一番の趣味になっています。

被害が大きく事業の遅れる団体

9月12日の産経新聞は、被災40市町村の首長アンケートを載せていました。復興状況について、進んでいる+どちらかといえば進んでいるは、合わせて21人で約半分です。復興完了時期は平成32年度までが24団体で、33年度以降が15団体です。
ところで記事でも紹介されていますが、前回調査は平成26年3月で、対象は170市町村でした。その際は、復興の進捗が予想通りという首長が7割で、復興完了期間は平均で4.6年でした。今回は被害の大きかった40団体を対象としているので、遅れている・時間がかかる割合が大きくなっています。たぶん今回の対象から外れた130市町村は、ほぼ復旧が終わっていると推測されます。

CSRは社会貢献ではない。CSVとの違い

CSRという言葉を、聞かれたことがありますか。Corporate Social Responsibility、「企業の社会的責任」と訳されることが多いです。あなたは、どのような活動を、CSRだと考えていますか。ボランティアや寄付活動、また法令順守や環境保護活動といったものででしょうか。しかし、社会貢献とか、企業の本業に関係がない追加的に実施されるものという認識は間違いなのだそうです。「CSR=社会貢献という考えは、時代遅れ」(東洋経済オンライン、2014年3月3日、下田屋 毅さんの解説)。
・・・欧州委員会が2011年10月に発行した「CSRに関する欧州連合新戦略」によれば、CSRとは、「企業の社会への影響に対する責任」と定義されている。具体的には「株主、広くはそのほかステークホルダーと社会の間での共通価値の創造(CSV)の最大化」と、「企業の潜在的悪影響の特定、防止、軽減」の2つを推進するとしている。法令順守や労働協約の尊重は前提条件と位置づけ、「社会」「環境」「倫理」「人権」「消費者の懸念」を企業活動の中核戦略として統合するというものだ・・・
他方で、CSVという言葉も出てきています。Creating shared value :共通価値の創造は、アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱した概念です。一部に「CSRは古く、これからはCSVだ」と言う人もいるようです。それが間違いであることも、この下田屋さんの論文をお読みください。
そこに出てくる、ネスレのCSRのピラミッドが、わかりやすいです。いちばん下が「コンプライアンス、人権、行動基準など」で、2段目がサステナビリティ、そしていちばん上がCSVです。
田村太郎さんに教えてもらったところによると、次の通りです。
「CSRは企業が事業をする上で、経営・環境・社会に関する 情報開示を行い、改善計画を示して活動するもので、本業と 不可分なものです。社会貢献活動はCSRのほんの一部であり、 また本業での社会責任に関連しない社会貢献活動は、CSRの 中にも入りません。 CSVは企業行動を通じた価値創造というコンセプトですから、 CSRとは次元が異なる概念です」