CSRは社会貢献ではない。CSVとの違い

CSRという言葉を、聞かれたことがありますか。Corporate Social Responsibility、「企業の社会的責任」と訳されることが多いです。あなたは、どのような活動を、CSRだと考えていますか。ボランティアや寄付活動、また法令順守や環境保護活動といったものででしょうか。しかし、社会貢献とか、企業の本業に関係がない追加的に実施されるものという認識は間違いなのだそうです。「CSR=社会貢献という考えは、時代遅れ」(東洋経済オンライン、2014年3月3日、下田屋 毅さんの解説)。
・・・欧州委員会が2011年10月に発行した「CSRに関する欧州連合新戦略」によれば、CSRとは、「企業の社会への影響に対する責任」と定義されている。具体的には「株主、広くはそのほかステークホルダーと社会の間での共通価値の創造(CSV)の最大化」と、「企業の潜在的悪影響の特定、防止、軽減」の2つを推進するとしている。法令順守や労働協約の尊重は前提条件と位置づけ、「社会」「環境」「倫理」「人権」「消費者の懸念」を企業活動の中核戦略として統合するというものだ・・・
他方で、CSVという言葉も出てきています。Creating shared value :共通価値の創造は、アメリカの経済学者マイケル・ポーターが提唱した概念です。一部に「CSRは古く、これからはCSVだ」と言う人もいるようです。それが間違いであることも、この下田屋さんの論文をお読みください。
そこに出てくる、ネスレのCSRのピラミッドが、わかりやすいです。いちばん下が「コンプライアンス、人権、行動基準など」で、2段目がサステナビリティ、そしていちばん上がCSVです。
田村太郎さんに教えてもらったところによると、次の通りです。
「CSRは企業が事業をする上で、経営・環境・社会に関する 情報開示を行い、改善計画を示して活動するもので、本業と 不可分なものです。社会貢献活動はCSRのほんの一部であり、 また本業での社会責任に関連しない社会貢献活動は、CSRの 中にも入りません。 CSVは企業行動を通じた価値創造というコンセプトですから、 CSRとは次元が異なる概念です」