組織の能力、3。「武器」としての商品、予算と権限

組織の能力のうち、前回書いた「仕事の仕方」は、私のライフワークです。古いところでは『明るい係長講座』で、その後も、このホームページで「仕事の仕方」シリーズを書き続けています。
第1回に書いた「職員集め」と「組織編成論」は、被災者生活支援本部復興本部で、実践することができました。そして今の復興庁で、実践中です。
ところで、復興庁は、まさに新しくできた官庁です。それは、次のような意味です。過去にも、いくつか新しい官庁ができましたが、それらは設立母体がありました。消費者庁(内閣府国民生活局)、金融庁(大蔵省銀行局、証券局)、環境庁(厚生省公害部、国立公園部)などです。( )内が、母体となった組織です。もちろん、他の省庁からも参加しましたが、核となる組織がありました。
ところが、被災者支援本部や復興庁は、まさに寄せ集め所帯で出発しました。これは、珍しいケースでしょう。

さて、組織の能力が、極めて明瞭にわかるものがあります。軍隊です。戦争すると、直ちに結果が出ます。相手より強くなければ、負けます。
その差は、兵員の数、訓練による兵士の質、指揮官の指揮能力などです。そして、持っている武器の性能と数も、大きな要素です。
企業なら、武器(道具、手段)に当たるのは、安くて良い商品とサービスでしょうか。行政の場合は、予算や法律などでしょう。
すると、任務にふさわしいだけの、予算や権限が必要になります。責任者としては、それをそろえる必要があります。

東京の大雪、3

先週末に続いて、今日金曜日も、東京は大雪でした。激しい降り方ではないのですが、早朝から一日中降り続きました。
帰宅したら、高円寺では20センチ近く、積もっていました。キョーコさんが、昼に一度雪かきをしたのですが、また積もっていたので、夜に私も雪かきをしました。でも、後ろを振り返ると、どんどん積もっています。今晩も、積もるのでしょうか。

組織の能力、2。仕事の仕方と社風

次に、仕事の仕方があります。上司からは明確な指示が出て、部下がそれに答えているか。指揮命令系統は、はっきりしているか。各人に与えられた目標は明確か、成果はきちんと評価されているか。
また、庶務がしっかりしているかどうかも、重要です。職員が仕事をしやすいように、パソコンや備品をそろえたり、出張旅費や福利厚生を素早くやってくれるかです。表からは見えにくいですが、「縁の下の力持ち」です
このほかに、「社風」とも言うべきものがあります。職員が新しい仕事に挑戦する雰囲気にあるか、会社がそれを許すか。自由闊達な雰囲気で、風通しがよいか。職員は、のびのびと仕事ができるか、それとも上司の顔色をうかがっているか。派閥で人事抗争を繰り返しているかなどなど。これは、最も目に見えない要素です。
同じように職員をそろえていても、良い上司がいて、良い雰囲気の職場だと、良い成果が出ます。その逆もあります。
このように、単に人数を集めただけではダメ、職員一人ひとりの質を向上させるだけでもダメなことが、わかってもらえるでしょう。組織の能力とは、職員の数と質の合計ではないのです。
さて、職員の人数は多い方が、そして職員の質は良い方が、上司としてはありがたいですが、常に満足できる水準とは限りません。ほとんどの場合は、不足している中で、やりくりを考えなければなりません。
他方、組織編成、明確な指揮命令系統や指示、職員にやる気を出させること、社風は、上司が努力すれば、かなりの部分は改善できます。そして、経験不足の職員を育てること、腐っている職員を再活性化することも、上司の仕事です。

組織の能力。職員の数と質、組織の編成

ずーっと考えていることに、「組織の能力は、何で決まるか」があります。それは、「組織の能力を向上させるには、どうしたらよいか」でもあります。
会社や官庁が良い成果を出すためには、責任者は「業務の管理」と「組織の管理」をしなければなりません。良い成果を出すために、「いつまでに、どのような成果を出すか。そのために何をするか」と、業務を管理する必要があります。しかし、それを支える組織がきちんと動かないと、成果は出ません。上司が指示を出しても、「笛吹けど踊らず」です。組織を管理する、すなわち組織を作り、その質を向上させる必要があるのです。
まずは、人数が必要です。仕事量に応じた職員数がないと、仕事はこなせません。
次に、その職員集団をどのように編成するかという、分割・編成論があります。製品や政策ごとに分けるのか、地域ごとに分けるのか。全体を、どのような「分野別」小集団に分けるかです。そのような分野別(縦割り、方面軍)とは別に、本社(参謀系、官房系)の組織があります。人事、会計、企画などです。これらは、縦割り小集団を側面から助け、統一を取る、横串になります。そして、この縦割りと横串を、どう組み合わせるかです。これらをうまく分別し、組み合わせないと、組織全体は能率良く動きません。
その次に、職員の質があります。能力のある職員とそうでない職員。また、その仕事に向いている職員と向いていない職員がいます。さらに、やる気(モラール)の差があります。能力があっても、腐っている職員では、良い結果が出ません。それぞれのポストにふさわしい人を配置する人事配置も、重要です。ここまでは、職員とその質の問題です。
この項、続く。

火と人間の関わり方

鎌田浩毅・京都大学教授が監修された『図説 火と人間の歴史』(S・パイン著、2014年、原書房)が、出版されました。
題名の通り、人間と火との関わりを、太古に遡って解説したものです。写真が多く、楽しめます。もっとも、内容は、かなり広く深いものです。これまでにない角度からの分析なので、勉強になります。
鎌田先生の最近の活躍ぶりは、先生のホームページをご覧ください。いつもながら、そのバイタリティに脱帽します。