復興庁が行っている企業の復興支援に、被災地域の企業と応援してくださる企業とを結びつける「結の場」という取り組みがあります。
その成果として、12月16日から、三井不動産が、新宿三井ビルディングにある食堂「しんじゅく季膳房」で、気仙沼市の水産加工会社の魚を使ったメニューを出してくださいます(記者発表資料)。これまでも、単発的なイベントはあったのですが、飲食店で継続的にやっていただけるのは、初めてです。
また、NTTドコモは、3県の特産品や復興に向けてがんばる人々などを紹介してくださっています(レインボープロジェクト)。
ありがとうございます。このような企業支援関係の情報は、毎週メールマガジンで、お届けしています。
月別アーカイブ: 2013年12月
被災者の健康と生活支援
今日、「被災者に対する健康・生活支援パッケージ」を公表しました。これまでも、避難所や仮設住宅に住んでいる避難者に対し、心身の健康について支援をしてきました。孤立防止の見回り、サポートセンターなど、これまでにない新規施策をやってきています。それらを、集大成し、今後の施策を取りまとめました。項目は、仮設入居者等への健康支援、子どもへの支援、医療・介護人材の確保、恒久住宅への移転に伴う支援、市町村業務への支援です(概要)。
このホームページで何度も取り上げているように、かつての災害復興は、インフラや住宅の復興が主眼でした。被災者を避難所に収容してからは、建設省の出番でした。暮らしの支援は、もっぱら義援金やボランティアの支援でした。これは、復旧とは「国土の復旧」であって、「暮らしの再開」が十分に認識されていなかったのでしょう。それは、自己責任や地域の助け合いに、任されていたのです。
東日本大震災で、これまでと違って力を入れているのが、産業の復旧と、暮らしの支援です。「産業の再開は事業者の自己責任だ」と言っていても、多くの僻地では、再開されません。すると、商業サービスもなくなり、働く場もなくなります。健康への配慮や暮らしの悩みの解決も、「本人や家族の責任」といっていると、状態は悪くなるばかりです。
「立派な道路と堤防ができたけど、住む人はいなくなった、町は寂れた」では、困るのです。「国土の復旧」と「町の賑わい再開」と「暮らしの再建」と言ったら良いでしょうか。私の主張については、「被災地から見える「町とは何か」~NPOなどと連携した地域経営へ~」をお読みください。
今回の大震災からの復旧をきっかけに、「国土の復旧から、暮らしの再開へ」と政府の施策の重点を転換したいのです。これから、高台移転やかさ上げの工事が進み町並みの復旧が始まると、今述べた「産業と暮らしの再開への支援」が、私たちの重要な仕事になります。もちろん、行政だけで、できることではありません。
都市の魅力、ニューヨークと東京
12月10日の朝日新聞オピニオン欄、「NYから見る、おもてなし ニューヨーク市観光局CEOに聞く」から。
「ニューヨークには、国外から年1100万人が訪れます。人々が街にもたらすものは何ですか」という問に対して。
・・観光客が市経済に与える影響は巨額です。直接の消費だけで年370億ドル(約3兆8千億円)にもなるし、経済波及効果は550億ドルにもなります。雇用の面では37万人分の職が生み出される。金融産業などと比べると規模は劣りますが、成長スピードは最も速い・・
「東京も日本全体も観光客誘致に力を入れていますが、セールスポイントは何だと思いますか」という問には。
・・私は10回以上、日本を訪れていますが、素晴らしい地域がたくさんある。京都の和風旅館などは、畳の部屋が美しすぎて、快適で外に出たくなくなるほどでした。また東京は信じられないほど活動的でエネルギーに満ちている一方で、その中心に皇居があることに象徴されるように優雅さや美しさも兼ね備えている。まるで二つの世界を持っているようで、非常に興味深い都市です・・
「何度も来るリピーターを作るにはどうしたらいいでしょう」という問には。
・・ニューヨークを例に挙げれば、魅力の一つは、常に変化し続けていることです。美術館は常に新しい展示を試み、ブロードウェーのミュージカルも演目が変わり続ける。レストランやホテルも入れ替わりが激しい。だから、何度もこの街を訪れる多くの人たちがいるのです。
一度は訪れてみたいと思う魅力的な地域は世界各地にある。でも、例えばインドのタージマハルに一度行ったら、頭の中のチェックシートに「済」マークを入れるでしょう。しかし、あなたは決してニューヨークを「済」にはできない・・
補正予算ほか
原発事故からの復旧・政府の組織。事故処理と復興
時々、問合せがあるので、解説しておきます。
今回の東日本大震災について、政府の体制は、地震津波災害への対応と原発事故への対応とで、2つに分かれています。
地震津波災害については、緊急災害対策本部(本部長は総理大臣、事務局は内閣府防災政策統括官)が作られました。これはまだ存続していますが、実質的な活動は終わり、復興について復興庁が引き継いでいます。
原発事故については、原子力災害対策本部(本部長は総理大臣、事務局は実質的には経産省)が作られました。
原発事故は、まだその後始末が続いています。すなわち、第一原発の廃炉作業や汚染水対策、被災者への賠償、放射線量の計測、放射線に関する安心の確保、避難区域への立ち入り規制、避難指示の解除、除染作業(その一環としての中間貯蔵施設の建設)などです。被災者支援もそうです。これらを、原災本部の下で、それぞれの責任官庁が対応しています。
そして、避難指示が解除された地域で、また解除を見越して、復興庁が復興に取り組んでいます。
すなわち、地震津波災害は災害自体は終わり、復興の段階になっています。しかし、原発事故災害は、まだ終わっておらず(廃炉が作業中、避難指示が解除されていない地区が残り、放出された放射性物質の処理が終わっていない)、原災本部がそれに取り組んでいます。そして、復興に入れる地域・分野を、復興庁が担当しているのです。