今週も、慌ただしいうちに、終わりました。いろんな案件が片付いたことを良しとしましょう。原稿は進みませんでしたが・・。
今日は、東大大学院客員教授時代の「塾頭」3人組との、久しぶりの懇談勉強会でした。初めて会った時から、もう8年も経つのですね。それぞれ立派になっておられて、うれしい限りです。
同じ「会社」の人と話しても、それはそれでうれしいのですが、刺激は少ないのです。同業他社や異業種の人、そして異なる年代の人と話すことは、勉強になりますねえ。もちろん、あまりに違う世界の人や関心が違う人とでは、会話が成り立ちません。適度な距離が、必要なのでしょう。もっとも、私の場合は、人の話を聞くことが下手で、専らしゃべってしまいます。反省。
明日から、また海外出張です。しばらくこのHPをお休みします。
月別アーカイブ: 2010年11月
人前でしゃべる
今日、自治大学校第2部課程では、スピーチの演習でした。そのための講義はすでに受けていて、課題も与えられています。今日は、190人の研修生が、10教室に別れて、行いました。そのために、講師が10人必要です。各教室では、19人の研修生は、4班に分かれます。
まずは、3分間スピーチです。それぞれの班で、1番目の研修生が3分間スピーチを行い、それを評価します。残りの4人にも、役割が与えられます。この部分の詳細は企業秘密なので、ここでは書きません。
若い公務員は、人前でしゃべる経験は、案外少ないです。しかし、これから幹部になると、人前でしゃべることが増えます。「嫌です」とか「私は不慣れなので」とは、言っておられないのです。私も今日は参観しましたが、正直言って、最初はみんな下手です。時間内に収まらない。何を言いたいのかわからない・・。このような研修は、座って聞くより、やってみることが一番身につきます。中には、上手な研修生がいましたが、彼はPTAなどの役員をしていました。
講師の一人が話していましたが、日本では「読み、書き、そろばん」と言います。今は、「読み、書き、パソコン」だそうです。しかし、読むと書くの前に、人はしゃべるのです。なのに、学校では「話す」を教えません。
つまらないことを長々話すことが、「話す」ではありません。決められた時間内に、そして短い時間で、必要なことを伝える。観客にわからせる。それには、一定の技術が必要です。学校で教えないことが、不思議です。
一番の習得法は、場数をこなすことです。それができない場合は、一度練習してそれをビデオにとって、見てみることです。自分の歌ったカラオケをテープで聴いて、がっかりしたという経験を、お持ちの方も多いでしょう。自分のしゃべりをビデオで見たら、もっと自己嫌悪に陥りますよ。私もそうでした。でも、それが現実なのです。
2010.11.17
今日は、慶応大学での講義5回目。今月は、3日が祝日、10日は私が中国出張、今週17日は講義、24日は大学祭で休み。11月は、かき入れ時なのですがねえ。
授業は、国と地方の財政関係に入りました。日本の地方財政を論じる際の、最も重要なポイントです。今回は、国と地方全体の財源配分の仕組みと、財源保障の意義を講義しました。次回は、各地方団体ごとに、この仕組みがどのように機能しているかを、お話しします。今週がマクロ機能、次回がミクロ機能です。
先週、行ってきた、中国の実情と仕組み(中国で考えたこと2010年)もお話しして、なぜ国家が地方自治体の財政を保障し、自治体間格差を調整しなければならないかを、お話ししました。経済発展が進む際、地域間と個人間(家庭間)で格差が生じます。簡単に言うと、生産性の高い工業や商業が栄える地域と、生産性の低い農林業の地域の差です。その差を放置し、個人の移動(住所の移動と職業の移動)に任せるのか、ある程度の範囲に収めるように政策を実施するのか。
ゆっくりと経済成長する場合は、なだらかに調整されるのでしょう。しかし戦後の日本と、この30年の中国は、経済発展が急速だっただけに、個人間と地域間の格差の発生は大きかったのです。日本は、それを工場分散、地方への公共事業投資、米の買い支え、交付税制度で均衡化しました。世界でも、成功した方だと思います。それでも、集団就職列車が、あったのです。
この分野は、私のホームグラウンドです。いろいろエピソードも交えて、お話ししました。学生さんたちの食いつきも、良かったです。
鎌田先生の古典紹介
鎌田浩毅教授が、また、新しい本を出されました。『座右の古典』(2010年、東洋経済新報社)です。週刊『東洋経済』に連載しておられたものを、一冊の本にされました。50冊の古典が取り上げられています。
『論語』に始まり、『ソクラテスの弁明』『君主論』。マックス・ウェーバー、レヴィ・ストロース、シェイクスピア、カントと、幅が広いです。これだけの本を紹介するには、大変な学識と蓄積が必要です。
解説のほかに、「ポイント」「覚えておきたいこの一文」「あらすじ」「学びのポイント」がついている、読書案内でもあります。
恥ずかしながら、私が読んでいない本が、たくさん取り上げられています。先生は理科系で、私は文科系なのですが・・。しかも、読んだだけでは、紹介はできません。毎週1冊、50週続けられるとは。毎回、脱帽です。
進まない規制改革
11月14日の日経新聞「検証、ニッポンこの20年。長期停滞から何を学ぶ」は、「内需産業はばたかず。医療・農業・・規制の壁厚く」でした。
・・高齢化やグローバル化を乗り切るためには、医療や農業など規制に守られた内需型産業を経済のけん引役に変身させなければならないーこう言われ始めたのは、1990年代だ。だが、医療も農業も成長の源泉になるだけの地力を発揮していない。業界団体は規制に安住し、その構造を政治が温存してきたことが、成長産業への脱皮を阻んできた・・
日本の自動車産業も、かつては保護の対象でした。情報通信や金融は、保護から自由化に大きく転換しました。規制による保護では、勝ち残れません。消費者・利用者にとっても、供給者にとっても、長い目で見ると損失でしょう。
もちろん、そのようなことを言っても、現在規制に守られている供給者にとっては、今の生活がかかっています。その人たちのうち勝ち残れる人を応援し、残れない人に対し別途支援する。それが、政治の仕事だと思います。改革には、痛みが伴います。