新地方自治入門 補足

「新地方自治入門」の補足と追加のページです。
地方自治については地方行政も、日本の行政については官僚論日本の政治行政の構造的課題にも、私の考えを述べています。
(1人あたりGDPの国際比較)
内閣府の研究で、最新の状況を勉強しました。2004年時点では、日本は35,922ドルです(59ページの図表5-1)。地方自治入門p6では、2001年度の数字として、32,763ドルと書いたので、そんなに大きく変わっていません。しかし、外国との比較では、大きく変わっています。
アメリカは39,732ドルで、これも大きな変化はなし。ところが、イギリスが35,616ドル、フランスが32,918ドル、ドイツが33,346ドルです。拙著では、これらの国は日本の3分の2程度と書きましたが、現在では日本と並んでいます。なお、韓国は14,136ドルです。
これだけ変動が激しいのは、ドル換算していることが要因としてあります。ユーロはこの間に、ドルに対して3割も高くなっています。国内で同じGDPでも、ドルに換算すると3割り増しになるのです。
そこで、購買力平価で比較すると(62ページの図表5-4)、日本29,064に対し、アメリカ39,732、イギリス30,805、フランス28,994、ドイツ28,813となります。もっとも、この比較では、1995年は日本22,473、アメリカ27,542、イギリス19,862となり、ドル換算での日本41,927、アメリカ27,542、イギリス19,538、フランス26,425とは全く違った姿が見えます。(2006年9月4日)
【第2章】
図表2-4中「地縁団体」について、総務省が平成14年11月に調査をしました。総数は29万7千でほとんど変わっていませんが、法人格を取得した団体は2万2千と大幅に増加しています。詳しくは月刊「地方自治」(ぎょうせい)平成16年2月号をご覧ください。
【第3章】
地域自治組織(p53)については、地方制度調査会が、最終答申を出しました。今後の地方自治制度のあり方に関する答申(平成15年11月13日)
それに基づき、「地方自治法改正」が、改正されました(平成16年5月)
【第5章】
景気回復と国債の金利(p121)について、
国民の持つ金融資産が、かつては銀行預金や株式を通じて企業への貸付に回っていました。そして、経済が成長しました。それが近年、企業への貸付が減り、国債・地方債に回っています。不況だから国債が売れ、金利も低いのです。逆に言うと、国債で金融資産を吸い上げている限り、景気は良くならないのです。
具体的な数字は、2003年6月9日の経済財政諮問会議に提出された資料(p4資金循環の10年前との比較図)を見てください。(2003.11.29)
その他、国家財政のページをご覧ください。
【第6章】
地域社会の課題(国が考えている課題)p155
地域の財産(暮らしの環境)p186について
単行本では割愛しましたが、内閣府(旧経済企画庁)が毎年出している「国民生活白書」は、お金やものでない暮らしの豊かさを研究しています。毎年のテーマを並べるだけでも、興味深いものがあります。
【2004年国民生活白書:新しい地域の公共】
今年の「国民生活白書」(6月刊)は、「人のつながりが変える暮らしと地域―新しい「公共」への道」です。NPOなど地域の住民が集まって行っている多様な活動を取り上げています。いくつもの事例を紹介し、その意義や条件を分析しています。さらに、地方公共団体との関係や新しい形の公共になることを述べています。「官」ではない、「公共」です。
国民生活白書は、毎年、興味深いテーマを取り上げています。昨年はデフレと生活、若年フリーター問題。14年は家族の暮らし、12年はボランティア、10年は中年などです。その他、東京と地方、安全で安心な生活設計、多様な豊かさも。「地方自治50年の成果と課題」の連載時にはそれらにも言及したのですが、「新地方自治入門」にまとめたときに、分量の関係で削除しました。経済的価値でない豊かさという観点で、第7章に少し触れてあります。(7月2日、3日)