自治大学校では、教授たちの担当時間をもらって(削減してもらって)、私の講義を入れたりしているので、ますます忙しくなっています(自業自得)。しかし、自治大のカリキュラムを見渡すと、抜けている部分があって、どうしてもお話ししておきたいのです。
自治大でも、学生による講師の評価があります。消防大学校では5段階評価でしたが(2009年12月11日)、自治大は3段階評価です。といっても、学生の満足度や理解度を測ることに、違いはありません。また、ほかの講師と比較されることも、同じです。東大を始めとする一流の教授や研究者と、比べられるのです。
先月行った校長講話の、学生による評価が、報告されました。それを見ると、ほとんどの学生には、私の言いたいことが伝わっていて、ほっとしました(全員ではないことに、反省)。教育内容の水準を保つためには必要な評価ですが、しゃべる者にとっては、心臓に悪いですね(笑い)。
このほか、モニターテレビで、私の授業を見ていた教授たちから、「校長、今日の講話は、脱線が多かったですね」と批判されたり。「講話は、入校したばかりの学生に心構えを説くとともに、緊張を解いてもらうためだよ」と反論しました。講義は、そうはいきません。
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日本大学2010年秋学期
2010年秋学期は、「公共経営論」です。
授業の内容
主に市役所を例に、「地域社会の経営」と「市役所組織の経営」を議論します。
「国家経営」が、行政機構(省庁)の管理だけではなく、国民の集合体としての国家を経営すること、豊かで安全な社会を発展させることを指すように、公共経営も地方自治体の組織を運営することだけではありません。社会は、政治システム、経済システム、社会システムの3つからなっていますが、経済システムと社会システムをうまくいくようにすることも、政治と行政の仕事です。
何を行政の課題とするかは、その時代と社会を反映しています。今、行政改革だけでなく、地域経営が議論になるのは、それが社会の課題であると認識されたからです。
講義では、これまでどのような課題が認識され、どのように取り組まれてきたか。また、これからの課題は何かを議論します。
授業計画
はじめに
1 講義の狙い
2 公共経営、2つの次元
3 公共とは何か
4 政治と行政の役割:3つのシステムの統合・経営
第1部 公共経営論の現在
第1章 今、なぜ議論されるのか
1 停滞する日本と地域
2 行政と日本社会の成功、その後に来た停滞
第2章 「日本の改革」:行政改革から社会の改革へ
1 行政改革の歴史
2 近年の改革の分類
3 行政改革から構造改革へ
第2部 自治体は地域を経営したか
第3章 市役所は「良い地域」を作っていたか
1 住みよい地域とは何か
2 地域の課題は何か
3 市役所はマチをつくってきたか
第4章 地域を経営する
1 住みよい地域をつくる主体
2 政府の役割
3 行政の役割の変化
第3部 市役所の経営
第5章 組織管理論から経営論へ
1 官と民のガバナンス論
2 行政改革の進化:スリム化から新公共管理論へ
3 社会の制度設計
第6章 市民の満足
1 市民の満足を得る成果(アウトカム)
2 市民を納得させる説明(アカウンタビリティ)
第7章 組織の管理
1 部門の管理
2 全体の管理と部分の管理
3 役所では経営と管理が行われているか
第8章 大きな政府と小さな政府
1 政府の大きさとは何か
2 大きな公共と小さな政府
授業の予定
シラバスに記載した内容を、少し順序を変えて講義します。
9月18日 はじめに
9月25日 第1章 今、なぜ議論されるのか
10月2日 第1章続き
10月9日 第2章 「日本の改革」
10月16日 第2章続き
10月23日 第2章続き、運営・管理と経営・統治との違い
10月30日 (大学院休み)
11月6日 第3章 市役所は「良い地域」をつくっていたか
11月13日 第4章 地域を経営する
11月20日 休講
11月27日 第4章続き
12月4日 第5章 組織管理論から経営論へ
12月11日 第5章続き
12月18日 第6章 市民の満足
1月15日 第7章 組織の管理、第8章 大きな政府と小さな政府
本間研究部長のブログ
自治大学校の幹部(と言ってもまだ若いのですが)に、本間奈々研究部長がいます。かつて、自治大で教授をしていたことがあり、この夏に、春日井市副市長から転勤してきました。
実名で、ブログをつくっています。ブログを読んでいただくとわかりますが、パワフルな女性です。担当業務や授業のほかに、自主ゼミ(読書会)を開講するとのことです。1日で30人の申し込みがあったと、うれしい悲鳴を上げています。その積極性といい、参加する学生といい、うれしいことですね。
女性向け研修
今日は、第1部・第2部特別課程の入校式がありました。女性109人、男性2人です。平均年齢は41歳です。
この不思議な名前は、次のような理由です。自治大学校の第1部課程は、都道府県職員と市(かつては大規模市)職員向けで約5か月間、第2部課程はその他の市と町村職員向けで約3か月の宿泊研修です。23年前に、「第1部特別」が始まりました。長期間の研修に来にくい、家を空けにくい女子職員向けに開設しました。もちろん、女性幹部職員が増えてきたことが背景にあり、女性幹部を育てたいという自治体の要望にも沿ったものです。
私はその時、ちょうど教授でした。入校期間を3週間に短縮する代わりに、事前学習として通信添削を入れました。その添削が、教授の仕事でした。その後、第2部にも広がり、女性限定も外しました。といっても、男性が入校したのは、今回が初めてです。
政府は、男女共同参画型社会を掲げていますが、それを掲げなければならないほど、まだまだ女性には家事労働などが片寄せされています。いつもは男性が多いので、校長講話では、「慣れない寮生活で大変でしょう・・」と励ましているのですが、今日は勝手が違います。「ご家族の世話から解放され、羽を伸ばしておられることと思いますが・・」と申し上げました(笑い)。皆さん緊張されているので、ふだん以上に笑い話を盛り込んで、研修の心構えをお話ししました。
今日は、その後、中国の青年公務員一行をお迎えし、日本の地方行政と公務員制度を勉強してもらいました。結構、外国のお客さんも来られます。
ロールプレイング式授業
今日は、自治大学校税務専門課程徴収事務コースで、ロールプレイング方式の授業(第1回目)を行いました。私も、参観させてもらいました。
納税者(滞納者)と行政(税務職員)に分かれて、与えられた設定(事例)で、交渉を行います。滞納している市民に、税金を納めるように交渉するのです。
最初に、留意点の説明を受け、ビデオを見ます。そして、学生を5班に分け、別々の演習室に入れます。5つの教室に分かれるということです。それぞれの部屋(班)に、専門の講師(地方税のベテラン)がつきます。各班は、4グループ(5~6人)に分かれ、1事例ごとに、納税者役、行政役、タイムキーパー役、感想を述べる係を担当します。1事例が終わるとグループを入れ替え、同じ事例で、2回対戦します(班を入れ替えます)。これを今日は、3事例で行いました。3事例×2回対戦=6対戦。
納税者役グループと行政役グループは、対戦前に、それぞれ作戦会議を持ちます。この際も、作戦がばれないように、部屋を別にします。
行政役は、学生のふだんの仕事の延長ですが、納税者の役割も、ふだん相手をしているので、よくわかっています。「滞納者役をやりたい」という申し出が多いことも、理解できますね。関西弁の「迫真の演技」で、納税に応じない市民を演じている職員もいました(笑い)。
納税交渉は、自治体の業務でも、もっとも基本であり、かつ困難なものです。98%の市民は、きちんと納めてくれています。残りの人が、責任を果たさないのです。しかし、この人たちを放っておくと、まじめな人が馬鹿を見て、誰もまじめに納めなくなります。私は、公務員たるもの、一度はこの苦労をするべきだと考えています。これまでは、ややもすると、使う人が威張っていました。ここに、行政と公務員の、民間との違いがあります。極端に言うと、民間は儲けてなんぼ、公務員は使ってなんぼでした。
この仕事は、法令を勉強したらうまくできる、というものではありません。優しく下手に出ればよい、というものでもありません。それなりの訓練が必要です。まさに、ロールプレイング方式が、ふさわしいのです。また、各市町村では、なかなかここまでの授業はできません。
畳の上の水泳教室より、水の中の水泳訓練の方が、効果がありますね。部屋の数といい、講師の数といい、準備も大変なのですよ。また、設定した事例も、よく考えてあります。そのノウハウは、企業秘密なので、ここでは紹介できません。講師の先生方、ありがとうございました。