カテゴリーアーカイブ:このページの歴史

岡本行夫さん、希望の狼煙

2015年11月16日   岡本全勝

岡本行夫さんが、キャノンの研究機関『キャノングローバル戦略研究所」のホームページに、「日本人の復興力」を書いておられます。希望の狼煙プロジェクトです。
私は当時(2011年夏)、被災者支援本部から復興本部に勤務していました。この試みを聞いたとき、目から鱗が落ちるというか、行夫先輩のアイデアと実行力に脱帽しました。
その後も、いろいろとご指導いただいています。行夫さんは、1991年の湾岸戦争時の、外務省北米一課長時の対応が有名です。若い人はご存じないでしょうか。手嶋龍一著「一九九一年日本の敗北」(1993年新潮社)、「外交敗戦―130億ドルは砂に消えた」(2006年、新潮文庫に再録)をお読みください。

社会科学による大震災の分析5、その3

2015年11月12日   岡本全勝

日本学術振興会「大震災に学ぶ社会科学」第2巻『震災後の自治体ガバナンス』第5章、北村亘・大阪大学教授の「被災自治体に対する政府の財政措置」から。
・・・一連の分析を通じて明らかになったことは、広範囲での甚大な被害からの復旧・復興に対して、政府は、発災直後の2011年度の一連の補正予算などで巨額の財源を確保し、特別な税財政制度の整備を行ったということである・・・また、政府の巨額の財源は、被災地域の地方自治体の状況に応じて柔軟に交付されていることも明らかになった。第1に指摘しておくべきことは、発災直後に被災3県を中心に予算が交付されたあと、2012年度には実際のまちづくりの担い手である被災市町村にまで財源は到達したということである・・・
・・・2011年3月の発災直後から今日までの政府の対応は、常に厳しい批判にさらされている。どうしようもない苛立ちや焦りは政府関係者の失言などで増幅されることもあった。しかし、財政力の乏しい東北地方の自治体に、裁量度の大きい交付金の交付や予算年度を越えて執行できる取り崩し型基金の創設という形で潤沢に財源を供給したことは、広範囲を襲った大規模災害における1つの財政モデルを提供している・・

むすびのごく一部だけを引用したので、先生の検証を、ぜひ原文でお読みください。地方団体の方とマスコミの方には、読んで欲しいです。
公平な評価を、ありがとうございます。日本のマスコミと学界では、ともすれば、というかほぼ確信的に、「政府は批判すべきもの」という前提があります。このように客観的に検証していただくと、ありがたいです。マスコミは、このような事実と評価は報道してくれないのでしょうね。そして国民は、批判記事ばかりを読むことで、「政府は悪い奴」と思いこむのでしょうね。A新聞さん、Y新聞さん、M新聞さん、N経済新聞さん。誉めてくれとは言いませんが、たまにはこのような視点からの記事を書いてくださいよ。

復興推進委員会

2015年11月11日   岡本全勝

今日11月11日、復興推進委員会を開催しました。取り組みと課題を報告したほか、大臣から観光に力を入れたい旨の発言があり、委員からもぜひ進めるべきだとの意見が相次ぎました。日本への外国人観光客が急増していますが、東北地方は増えず、ある人の言葉を借りれば「一人負け」の状態です。復興のためにも、地域の活性化のためにも、訪問客を増やす必要があります。これまでは、住宅やインフラの復旧などに重点を置いてきましたが、5年を迎えるいま、次に進める段階に来ています。
また、来年で5年の節目を迎えるので、復興の進捗を全国に向けて発信するべき、国が前面に立って進めて欲しいとの意見もあり、取り組むことにしました。
定例の資料を更新したので、ご利用ください。また、パンフレットを新しくしました。

社会科学による大震災の分析5、その2

2015年11月8日   岡本全勝

日本学術振興会「大震災に学ぶ社会科学」第2巻『震災後の自治体ガバナンス』第4章、伊藤正次先生の「復興推進体制の設計と展開」から。
・・・復興庁が現に発揮している「司令塔」機能とは、復興に必要な行政資源を一元的に管理し、関係府省に対する強力な総合調整権限を発動しながら復興事業を主導していく「統率型」の機能ではない。むしろ復興庁は、関係機関との人的交流に基づいて柔軟な組織体制を模索しながら復興を推進する「連携型」の機能を担っている。復興局の「ワンストップ」対応も、そこに相談すれば被災自治体の要望がすべて満たされるといった類いのものではなく、被災自治体の側面支援を行う場を提供し、課題を抱える現場に手をさしのべることを企図したものである。
こうした期待と現実のギャップこそ、復興の「遅れ」を批判する議論の根拠となっているのかもしれない。だが、仮に復興庁が「司令塔」機能と「ワンストップ」対応を字義どおりに追求するならば、「市町村主体の復興」や県レベルでの復興事業の調整・支援は後景に退かざるを得ない。地方自治の尊重と復興の加速化という2つの課題に応えるには、復興庁が、自治体を含む関係機関と連携しつつ、関係機関間の連携を取り持つことによって、その主導性を発揮していくことが求められているように思われる。いわば多機関連携のハブ機能を果たす復興庁という姿こそ「行政の現実」(牧原(2009))を踏まえた復興推進体制の望ましいあり方なのではないか・・・(p117)

復興庁を設計するに際しては、任務と権限や内部組織のあり方のほか、内閣・各省との関係、職員集めなどが課題になりました。いかに理想的な組織を考えても、それを動かす職員が伴わないと、仕事は進みません。高台移転、土地区画整理、道路や農地の復旧などの専門家は各省にいます。というか、各省にしかいないのです。民間には、その専門家はいません。
各省から専門職員を吸い上げて復興庁ですべてを行うとすると、各省の人材が不足します。そして各省は、被災地以外での事業も抱えています。そこで、各事業の実施は各省に残しつつ、復興庁に専門職員を派遣してもらい、各省に指示をし(その権限をもらいました)、現場との調整をするという機能分担をしたのです。そのために、各省各部局からは、事業に精通した精鋭を送ってもらっています。これでうまく回った、そしてこれしかなかったと思います。