社会科学による大震災の分析5、その3

日本学術振興会「大震災に学ぶ社会科学」第2巻『震災後の自治体ガバナンス』第5章、北村亘・大阪大学教授の「被災自治体に対する政府の財政措置」から。
・・・一連の分析を通じて明らかになったことは、広範囲での甚大な被害からの復旧・復興に対して、政府は、発災直後の2011年度の一連の補正予算などで巨額の財源を確保し、特別な税財政制度の整備を行ったということである・・・また、政府の巨額の財源は、被災地域の地方自治体の状況に応じて柔軟に交付されていることも明らかになった。第1に指摘しておくべきことは、発災直後に被災3県を中心に予算が交付されたあと、2012年度には実際のまちづくりの担い手である被災市町村にまで財源は到達したということである・・・
・・・2011年3月の発災直後から今日までの政府の対応は、常に厳しい批判にさらされている。どうしようもない苛立ちや焦りは政府関係者の失言などで増幅されることもあった。しかし、財政力の乏しい東北地方の自治体に、裁量度の大きい交付金の交付や予算年度を越えて執行できる取り崩し型基金の創設という形で潤沢に財源を供給したことは、広範囲を襲った大規模災害における1つの財政モデルを提供している・・

むすびのごく一部だけを引用したので、先生の検証を、ぜひ原文でお読みください。地方団体の方とマスコミの方には、読んで欲しいです。
公平な評価を、ありがとうございます。日本のマスコミと学界では、ともすれば、というかほぼ確信的に、「政府は批判すべきもの」という前提があります。このように客観的に検証していただくと、ありがたいです。マスコミは、このような事実と評価は報道してくれないのでしょうね。そして国民は、批判記事ばかりを読むことで、「政府は悪い奴」と思いこむのでしょうね。A新聞さん、Y新聞さん、M新聞さん、N経済新聞さん。誉めてくれとは言いませんが、たまにはこのような視点からの記事を書いてくださいよ。