今日は、日本大学大学院で講義でした。夕べ、中国から帰ったばかりですが、出発前に準備しておきました。
地域を経営するという観点から見ると、地方政府(市役所)は何をしなければならないのか。これまでは、財とサービスの提供が政府の役割だと、説明されていました。しかしこれは、経済学からの見方でしかありません。また、財とサービスを行政が提供しなくても、民間企業やNPOに委ねてもよいという行政改革論も盛んです。しかしこれも、政府・行政の役割が財とサービス提供であると、狭い範囲でしか見ていません。
今日本の地域社会で問題になっていること、それは活力の低下と暮らしの不安です。公共施設や公共サービスを充実することでは、解決しません。
財とサービス提供に関しては、企業活動やNPOなど非営利活動がうまくいくように条件整備をすることも、政府の仕事です。そして、活力と安心のためには、人とのつながり、地域活動などをどのように充実していくか。これが政府に問われています。「まちづくり」や「地域おこし」「地域の活性化」という言葉で、財とサービスの提供ではない地域の活性化や安心づくりが、各地で試みられています。しかしまだ、行政学や地方行政論では、体系だった議論はされず、教科書の中でも占める定位置を与えられていないようです。
もちろん、それらは市役所が提供できるものではなく、住民の参加や住民の活動によって、できるものです。ここに、難しさがあります。
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2010.11.06
今日は、日本大学大学院講義、第7回目。第2部「自治体は地域を経営したか」に入り、第3章「市役所は「良い地域」を作っていたか」です。
良い地域という場合に、公共施設(施設資本)や公共サービス(制度資本)だけでなく、働く場や街の賑わい、さらには、他人との関係(関係資本)や気風・文化(文化資本)も重要です。住民にとって「まち」とは、ハードウエアの集積ではなく、働く場であり、便利さや困った時の支援といった見えない社会的共通資本の網の目です。この点は、拙著「新地方自治入門」で詳しく述べました。
私はよく、ごみ収集を例に出します。引っ越してきた新住民や外国人にとって、ゴミ出しルールがわからないと、本人が困り、周囲も迷惑を受けます。他方、市役所にとって、収集車と処理場をそろえただけでは、ごみ収集をうまく行うことはできません。住民が分別ルールと出す日を守ってくれないと、効率的な収集はできず、街角は汚くなります。
写真に写った街並みを見ても、その街の暮らしやすさはわかりません。余暇を充実して過ごしたい時に、パチンコ屋とカラオケだけでは困ります。いろんな文化・スポーツ活動、趣味の会・クラブ、ボランティア活動やNPO活動、地域活動、ご近所づきあいがあれば、楽しく過ごすことができます。
地域を経営するという場合に、市役所はこれまで、このような無形の社会的共通資本を、どこまで意識してきたでしょうか。残念ながら、市の予算書では、このような無形資本への働きかけは見えません。また、公共施設整備率では、各市町村の無形資本「充実度」は見えません。
自治大学校第3部課程卒業式
今日は、第3部課程の卒業式でした。県や市町村の課長級の研修です。職場を離れることが難しいので、3週間という短期間の研修です。今日、スーツ姿の皆さんを見ると、見違えるような姿でした。
聞くと、皆さん、あっという間だったと、おっしゃいます。密度が濃いのでしょうね。特に、演習や模擬記者会見(2010年11月2日の記事)の評価が高いようです。県の研修所や職場ではできない研修、ですからね。研修生による授業評価も出してもらっているので、あとでじっくり読ませてもらいます。
自治大学校での研鑽と切磋琢磨を糧に、活躍し出世されることを、期待しています。
模擬記者会見
今日、自治大学校の第3部課程では、不祥事の際の、模擬記者会見の授業でした。今回からやり方を変えたので、私も一部を参観しました。
しつらえた記者会見場で、グループごとに記者会見をします。前には、新聞記者役の人(セミプロの人)が陣取り、厳しい質問を浴びせます。ライトが赤々と照らし、しばしば写真のフラッシュが光ります。その様子を、ビデオカメラに収録し、あとでそれを見ながら講評があります。
今や、多くの企業でもやっておられる研修です。このような授業は、座って聞くより、やってみることが一番効果的です。
自治大学校、卒後研修
今日は、自治大学校の卒業後研修と、同窓会(学友会)総会がありました。卒業後研修は、昨年度卒業した研修生が対象です。約1,000人の卒業生のうち、600人が参加しました。自治大学校の卒業生は、結束が堅いので有名です。全国から集まった仲間が、6か月、3か月、3週間の寮生活を送ります。班別演習など、共同作業も多いです。そこで友情が固くなるようです。今日も会場入り口で、「や~」とか「久しぶり・・」という歓声が沸いていました。それぞれに出世し、活躍しておられます。ありがたいことです。
来年度の研修に向けて、さらに研修内容を充実=役に立つものにしなければならないと、考えました。