カテゴリーアーカイブ:歴史遺産

社会科学による大震災の分析、3

2015年7月8日   岡本全勝

日本学術振興会(村松岐夫先生ほか)による東日本大震災学術調査プロジェクト「大震災に学ぶ社会科学」の第3回配本、第8巻『震災から見える情報メディアとネットワーク』(東洋経済新報社)が刊行されました。内容は目次を見ていただくとして、今回の災害では、新聞やテレビ、ラジオといったマスメディアのほかに、インターネットやソーシャルネットワークが活躍しました。NHKニュースを、インターネットでいつでもどこでも(海外でも)見ることができるようにした人たちがいました。ブログやツイッター、動画の投稿は、被災者が情報の受け手であるとともに、発信者にもなりました。近年急速に発達した、インターネットやソーシャルメディアが力を発揮した災害でもあったのです。
もっとも、停電した地域では、情報伝達ができず、特に原発事故による避難指示も十分には届きませんでした。被災者生活支援本部では、避難所に貼ってもらう壁新聞を配ったり、暮らしに役立つパンフレットを配ったりしました。当時の千代幹也・内閣広報官のご努力でした。私が被災者支援で手が回らないときに、「任せとき」といって、引き受けてくださいました。内閣広報官室の実力を実感しました(千代さんには、その前に私が総理秘書官のときに、内閣総務官としても助けてもらいました)。
ところで停電については、ある新聞社は、天皇陛下のおことば(ビデオ)を、概要だけ紙面に載せ、「全文はインターネットでお読みください」としました。被災地の人は、ネットでは読めなかったのです。
編集者のコメントには、次のように書かれています。
・・・本書の目的は、2011年3月11日の東日本大震災を生き抜いた人々が、震災後の新しい世界に適応していくために、どのように情報メディアや周囲の人々から情報を得てきたかを、実証データに基づいて多角的な視点から描こうと試みるものである。新しい世界への適応とは、災害によって生じた状況を受けとめ、心理的に反応し、社会的に行動することで事態に対処していくことを指す。本書では適応がどこまで情報メディアの利用行動と利用可能性の産物であったかを明らかにする・・・
このような分野の分析は、官庁ではできないことです。しかし、災害の現場では重要なことです。
(目次)
第1章 震災時・震災後の情報メディア環境が受け手に与える心理的・社会的インパクト
第2章 災害研究における情報メディアの役割を考える
第3章 テキストデータを用いた震災後の情報環境の分析
第4章 震災期の新聞・TV、Yahoo!トピックス、ブログ記事と投稿の特徴
第5章 災害時における情報メディアの効果的活用のために:災害時に求められる情報支援のあり方とは
第6章 被災三県情報行動パネル調査2011‐2012
第7章 首都圏情報行動パネル調査2011‐2012
第8章 必要な情報が届くために:情報環境と受け手の対応関連性・整合

楢葉町の避難指示解除方針

2015年7月6日   岡本全勝

今日、原子力災害現地対策本部長の高木経済産業副大臣が、楢葉町の松本幸英町長に、避難指示を9月5日に解除することを伝えました。避難指示は、原子力災害対策本部が出しているので、その解除も原災本部決定が必要です。これは、追ってなされます(事務は、原子力被災者生活支援チームが担っています)。
これまで、原発事故による避難指示は、田村市と川内村の一部で解除しましたが、全体が避難している自治体では、楢葉町が初めてです。もちろん、これは帰還を強制するものではなく、帰りたい人が帰ることができるというものです。

「新しい東北」ミーティングin東京。企業やNPOの協力

2015年7月4日   岡本全勝

今日は、浜松町の「新しい東北」ミーティングin東京に行ってきました。大臣の挨拶の後、15分時間をいただいて、「復興の現状と新しい課題」を話しました。産業復興とコミュニティ再建には、企業やNPOの協力が必要です。多くの企業が、引き続き、復興を支援してくださっています。その活動を紹介するとともに、新しい仲間を引き込むことが目的です。キリン、IBM、NEC、ベネッセが、支援の事例を紹介してくれました。キリン絆プロジェクト、(活動実績動画)。IBM、(社員による問題解決術の支援)。NEC、(社員参加型の支援動画)。ベネッセ、(子どもの学習支援)。
今日の報告で印象的だったのは、企業の支援が、本業の強みを生かしたものになっていることです(キリンでは飲み物や食品、ベネッセでは教育、IBMでは職員のマネージャーとしての能力)。たぶん、その方が長続きするのでしょう。そして、ボランティア的な社会貢献だけでなく、企業活動を通じての社会問題の解決(CSV)へと発展しつつあることです。
キリンは、社長が、CSRからCSVへの転換を表明しておられます。・・・企業の社会的責任(CSR)」から、社会課題の解決と企業の成長の両立を目指す「共有価値の創造(Creating Shared Value=CSV)へ考え方を一歩進めることにしました。近年、お客様の社会課題への関心の高さや、キリンに対するご期待の大きさを強く実感しています。これらに対し商品やサービス等を通じてアプローチし、ご期待にお応えしていくことが、私たち自身の事業の成長にもつながると考えています。キリンが培ってきた強みを活かしながら、今後もCSVの実現をめざして継続的に取り組んでまいります・・・
これまでも復興庁では、企業との連携、NPOとの連携を進めてきました。企業の発表でも、復興庁が整理した「企業の支援の分類の表」(発災後その後)を使ってもらいました。しかし、まだまだ進める余地があるようです。このように意欲の高い企業や人たちと、支援を求めている現場とをどのようにつなぐのか。はやりの言葉で言えば、プラットフォーム機能です。
施設や設備は、お金を払えば作れて、また目に見えます。しかし、このような人やノウハウの支援は、お金を出せばできるものではなく、目にも見えにくいです。そして、継続が必要です。どのように世間の方に知ってもらうか、そして広めていくか。難しいです。

経済界の復興協力

2015年7月2日   岡本全勝

経済同友会は、発災以来、様々な形で被災地支援をしてくださっています。広報誌『経済同友』6月号にも、「国連防災世界会議 パブリック・フォーラム防災シンポジウム。東日本大震災の経験・教訓を踏まえた防災への取り組み」などが載っています。また、裏表紙には、「福島県産品販売等支援協力のお願い」として、加盟企業の協力実績が載っています。ありがとうございます。

復興特区、課税特例による産業振興の実績

2015年6月30日   岡本全勝

復興特区の課税特例活用実績を公表しました。復興特区制度には、2つの仕掛けがあります。一つは、まちづくりの面的整備の特例です。もう一つは、今回紹介する産業振興です。公表資料を見ていただくと、この特例措置によって、どの程度の投資が行われ、雇用が生みだされたかがわかります。それによると、投資実績は1.2兆円、雇用実績は10万人です。そして、ほぼ計画通りに実績が上がっています。
復興庁では、何をしたかだけでなく、何ができたかを、公表するようにしています。しかもそれは、霞が関で何ができたか(予算を取った、通達を出した)ではなく、被災地で何ができたかです。