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講義など

日本大学での講義

2010年4月から、日本大学法学部大学院で、非常勤講師を勤めています。
春学期は「危機管理特論」、秋学期は「公共経営論」です。

2010年春学期「危機管理特論」:土曜日第2時限(10:40~12:10)
授業の内容
災害や事故対策といった狭い意味での危機管理ではなく、広く、政府(中央と地方)による、社会のリスク対策を議論します。
政府の危機管理の法制や能力は、阪神淡路大震災や北朝鮮のミサイル発射などを教訓に、大きく進みました。一方、サイバーテロや国際金融危機といった、新しいリスクも生じています。さらに、災害や大事故といった古典的なリスクだけでなく、いじめや引きこもり、貧困や格差といった、社会生活・家庭生活の問題が、政府の取り組むべきリスクとなりました。これら社会のリスクとそれに対する政府の対応について、近年の変化、現状、課題を整理します。また、社会のリスクとは別に、行政組織でのリスク管理を議論します。
講師は、内閣総理大臣秘書官、総務省大臣官房総務課長、県庁総務部長を勤め、現在は消防大学校長の職にあります。その経験を基に、お話しします。

授業予定
4月10日 (開店休業
4月17日 はじめに―講義の概要とねらい
4月24日 第1部 社会のリスクの変化と行政の対応 第1章 リスクの分類
5月 1日 (大学院休み
5月 8日 第2章 政府の対応(その1)
5月15日 第2章 政府の対応(その2)
5月22日 第2章 政府の対応(その3)

5月29日 第3章 近年のリスクの特徴
6月 5日 (休講)
6月12日 第3章 近年のリスクの特徴(続き)
6月19日 第4章 行政の役割の変化
6月26日 (休講)
7月 3日 第4章続き
7月10日 第2部第1章 行政組織のリスク
7月17日 (補講)第2部第2章 「行政の危機」を管理する

大学院への出講準備

日本大学法学部大学院からお誘いをいただき、4月から講義に行くことになりました。役所の兼業許可も下りたので、週末から、その準備に本格的に取り組んでいます。もっとも、参加する学生が集まらない時は、開講しません。毎週土曜日の2限目に、入れてもらいました。春学期は危機管理論で、秋学期は公共経営論です。
毎週末に講義に行くのは、結構な負担です。気ままな読書も、できなくなります。しかし、このようなきっかけや負荷がないと、なかなか勉強がまとまりません。講義を持つのは、1年半ぶりです。かつて行った東大や慶応大学の授業を思い出しながら、授業の準備をしています。準備には、全体の概要を決める、13回に割り振る、各回の講義ノートを作る、各回の配付資料とレジュメを作る、といった作業が必要です。
危機管理論は、教えるのは初めてなので、準備が大変です。骨格はすでに何回か講演したり、原稿にしたので(未公刊)、それを基にします。しかし、13回ほどしゃべるには、内容を増やし、データや資料をそろえなければなりません。配付資料づくりも、結構大変なのです。これまでに読んだ本や買った本を読み返したり、資料を原典に当たったりしているうちに、関係する本や見ておきたいテーマが出てきて、どんどん好奇心は広がります。うーん、困ったものだ。
内容については、災害などの際の自治体の危機管理実務を中心にするのではなく、行政の変化や行政の在り方を講義しようと考えています。狭い意味の危機管理ではなく、社会のリスクの変質と行政の変化がテーマです。
私はこれまで、県庁、自治省、総務省、官邸で、いろんなリスクを見てきました。ありがたい経験をさせてもらいました。今は消防大学校で、消防防災などを勉強させてもらっています。その経験を、社会に還元したいと思っています。

レポート採点講評

95人の力作を、読ませてもらいました。
評価基準は、課題を示した際にあわせて書いておきましたが、採点の際に気づいたことを、書いておきます。
1 具体事例を扱うこと
これについては、ほとんどの人が守っていました。アスベスト規制問題、BSE牛問題、薬害エイズ、教育改革、米政策、幼保一元化、通信政策、防衛省改革、タクシー参入規制など、様々な問題を取り上げていました。
なお、公務員批判、官僚主導、公務員改革論を取り上げているのがたくさんありましたが、授業の内容を越えないレポートは、具体性に欠けるので評価は低くなります。
2 単なる批判や感想ではなく、問題が生じる構造を論じること
これも、大半の人が守っていました。もっとも、居酒屋タクシーや年金記録問題を取り上げた中に、問題の指摘に終わり、行政構造からの分析がないものが、いくつかありました。また、政治家と公務員との区別をせずに議論しているものも、私の授業の理解が不十分なので、点数は低くなります。
3 あなたの考えを書くこと
これも数人の人を除き、守っていました。授業の内容を要約しただけのレポートがいくつかありましたが、これは評価が低くなります。自分の考えが書いてあれば、それが少々変でも、Bにしました。
具体事例を調べていた場合は、努力点としてBにしました。中には、事実を間違っているものもありましたが、よく調べてあれば評価しました。
もっとも、分量が多くても、引用ばかりのものはCです。具体事例を取り上げつつも、授業の内容を当てはめただけのものもありました。これも点数は低いです。
4 冒頭に、結論(ポイント)と目次を書き、文中に見出しを立てること
これも、数人の人を除き、守っていました。もっとも、目次と見出しがあっていないものもありました。
誤字は、数人の人だけ、「とんでもない」ものがありました。
5 全体について
今回は、文句なくAの人が多かったです。読んでいて、感心しました。
「最初に結論を書き、文中では見出しを立てること」を指示したのは、正解でした。読んでいて、わかりやすかったです。たぶん、作成者(学生)も、自分の考えが整理できたのだと思います。
他の授業やゼミの内容を「活用」または「流用」している、と思われるものがありました。複数の人のレポートの内容が、よく似ているのです。その場合も、意見を書いてあるかなど、通常の物差しで評価しました。

採点

家にこもって、レポートを読んでいます。これって、結構な重労働なのです。
ようやく、採点を終わりました。講評を書いておいたので、学生諸君は読んでおいてください。