カテゴリー別アーカイブ: 講義など

講義など

朝日新聞見学

今日は午後から、慶應大学の学生15人を引率して、朝日新聞本社見学。90分の見学+記者による60分の説明+意見交換会。見学では、編集局で編集の作業中の記者に、実際の作業を見せてもらい、質疑も。
事前に、10数問の質問も提出してあったので、それにも答えてもらいました。そして、記者の醍醐味なども。これはなかなか聞くことのできないものでした。
ありがとうございました、坪井論説委員、大月編集委員。とても豪華な勉強会でした。
明日の朝日新聞の東京版に、紙面に空きがあれば、見学に行ったことが1行載るそうです。

残念ながら今日参加できなかった学生諸君へ
朝日新聞はインターンシップを募集しています。マスコミに興味のある学生には、とても価値のある企画です。お勧めします。

慶應義塾大学、公共政策論第7回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第7回の授業でした。青柳光昌さんに来ていただいて、NPOの活動について話をしてもらいました。日本のNPOがどれくらいあるかといった「NPO概論」と、どのような活動をしているかの具体例とです。上手なお話しで、私よりずっとわかりやすいです(反省)。

NPOは、社会のさまざまな課題に、率先して取り組んでいます。大震災では、被災者の孤立防止(訪問活動)や、コミュニティの再建支援など。被災地支援から始まった、地域の農水産品をストーリーと一緒に都会の消費者に届ける事業。病気の子どもの保育。発達障害者の雇用支援などの例を、話してもらいました。
また、新しい挑戦としての、ソーシャル・インパクト・ボンドについても。(関係のページ実績の例

学生には、新鮮な話で、興味を持ってもらえたと思います。
行政が取り組まない社会の課題に対して、NPOや社会的企業は、率先して取り組んでいます。
行政だけを話していても、公共政策論にはなりません。学生の反応には、「岡本先生の授業の趣旨が、ようやく分かりました」という答えがいくつかありました。成功ですね。

慶應義塾大学、地方自治論第7回目

今日は、慶応大学で地方自治論の講義。早いもので、もう第7回です。春学期の折り返しです。
そこで、私の授業計画の全体像と、現在どこを話しているかを確認しました。時々立ち止まって、今どのあたりにいるかを確認することは、歩いているとき、仕事をしているとき、本を読んでいるときも重要なことです。

前回の質問への回答として、直営、民間委託、公設民営(上下分離、コンセッション)、分社化(第3セクター)、民営化、民間開放などの違いを説明しました。鉄道、空港でもさまざまな形態が取られていることを、知ってもらいました。
また、行政が行っている事務でも、多くのものが民間委託などが可能であること、例えば駐車違反取り締まり、刑務所の運営などにも導入されていることも。生活に必須のライフライン(上下水道、電気、ガス、通信など)も、多くは民間が担っています。
すると、官が行うのか民が行うのかより、民が行うとして、どのようにして効率化と質の確保をするかが、課題となります。

分権議論でも、ちょうど自治体がハローワークを行えるようになったことを、資料や新聞記事で説明しました。これまで自治体が要望したのに分権が進まなかったのは、「国が統一的に行わなければならない」という理屈です。でも、戸籍の受付や生活保護も自治体が担っています。自治体が基準に沿った職業紹介をできないとは思えないのですが。誰が実行するかと、どのようにして質を担保するかは、別の議論です。

学生諸君への連絡
来週6月2日は、学事日程での補講日です。地方自治論の授業は行いません。

慶應義塾大学、公共政策論第6回目

今日は、慶応大学法学部で公共政策論の第6回目の授業。予定を少し変えて、社会のリスクと公共の役割を続けています。
個人や家族が困ったとき、自助(個人責任)か、親族や地域の人たちが助けるのか(共助)、政府が助けるのか(公助)。共助の一つの方法として、保険もあります。民間保険と公的保険です。歴史は、個人責任から共助、そして公助へと広がってきた歴史です。
他方で、個人のリスクを分類して、それらが社会のリスクと見なされるようになったことを解説しています。体や財産への「暴力的リスク」、健康や環境などのリスク、社会システムが動かなくなるリスク、人とのつながりが欠けるリスクなど、自然災害や暴力以外のリスクがあること、古典的なリスクに加え、新しい社会のリスクが増えていることをお話ししました。
「公共」とは何か。誰が、それを維持し救うのか。視野を広げることで、行政そしてこれまでの公共政策論が狭かったことが見えてきます。

「新しい社会のリスク」については、かつて連載していたのです。それを活用しています。「社会のリスクの変化と行政の役割」。
官僚として、新しい時代の行政の役割を考え続けてきました。そこで、これまでの勉強を、今回の公共政策論で集大成することになっています。それを狙って、この講義を引き受けたのです。

慶應義塾大学、地方自治論第6回目

今日は、慶応大学で地方自治論の講義。
先週提出された、小レポート(79人分)の講評から始めました。今日、5人が遅れて提出してくれました。
公共政策論での講義と同じように、2ページにわたる講評(箇条書き)を配り、口頭で説明しました。こちらの課題は、自治体を選び、首長の政策を取り上げ概要を書くとともに、自分の意見を述べることです。自治体の首長の施政方針演説など、まずは見たことがない学生たちに、関心を持ってもらうことを狙ったのですが。大成功でした。
みんな、さまざまな自治体と政策を選んで、自分の考えを書いてくれました。中には、他の自治体と比べたり、その市長の主張を3年分並べてその進捗を検討した、すばらしいレポートもありました。

学生たちは、レポートを書く機会は多いようです。しかし「講評をしてもらったこと」や「書き方の指導をしてもらったこと」は、ないようです。多くの学生に、喜んでもらえました。じっくりと時間をかけて解説した甲斐がありました。
今日の出席カードには、「先生が指摘した悪いレポートの例に、私のレポートは該当します。次回は、改良して書きます」という自己申告が、いくつも書かれていました。

授業では、5月15日の朝日新聞社説「憲法70年 地方自治を成熟させる」をとりあげ、解説しました。地方自治の現状を良くまとめてあるので、学生に理解してもらうには、良い教材でした。
彼ら彼女らは、革新自治体はもちろん知りませんし、公害対策や福祉、情報公開などで自治体学により先行したことも知りません。
この社説は、少々厳しい見方で書かれていますが、日本の地方自治の良い点は、私が授業で補いましょう。