カテゴリー別アーカイブ: 講義など

講義など

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第14回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第14回、最終の講義でした。
前回、今学期のおさらいをし、期末試験の予告もしました。今日は、分権の進展と課題という観点から、春学期の地方自治論Ⅰと秋学期の地方自治論Ⅱを通した、論点整理をしました。
制度の分権をしても、財政の裏付けがないと、実体が伴いません。地域のことは地域で決める、自分たちのサービスは自分たちの負担でといっても、経済力・財政力に地域間格差がある現状で、全国各地で同様のサービスを実現するのは困難です。

学生に書いてもらった意見には、今日の授業を含め今学期の感想がたくさん書かれていました。
・制度だけでなく、実態の話が良く分かった。
・財政の分権が簡単でないことが分かった。
・これまで興味がなかった税財政の概要や問題が分かり、身近になった。
・配布されたレジュメで、ポイントがよくわかりました。教科書を読む際に、理解が早かったです。
・実態論や経験談が、他の先生と違い、勉強になりました。
・岡本先生の経験談や社会人のあり方の話が、とても役に立ちました。

私の意図が、通じたようです。さて、来週は、期末試験です。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第13回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第13回の講義。これまでの講義のおさらいをしました。
私の12回の講義が、どのような部分から成り立っていて、全体から見るとどのような配置になっていたかを、目次を見せながら説明しました。そして、どこが地方財政論の肝かも。学生の感想文には、「全体がよくわかりました」というものが多かったです。
そうですね。私も学生の時、あるいは分厚い本を読んでいて、全体像が分からないことから、理解が進まないことがありました。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第12回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第12回の講義。前回に引き続き、国の財政状況と、地方財政の赤字を説明しました。諸外国比較で、日本は高福祉低負担であり、その差を国債で埋めていることは、理解してもらえたようです。消費税や個人所得課税が、ヨーロッパ各国と比べ、低いのです。

ちょうど良い時期なので、先日閣議了解された「経済見通し」を説明しました。近年の日本経済がどうなっているか、GDPの見通しや、物価上昇率、失業率を説明しました。学校では習わないでしょうね。

さらに進んで、経済政策一般について解説しました。良い書物や解説がないので、経済政策に強い職員の知恵を借りて、レジュメをつくりました。
短期では、景気対策 です。需要創出の財政政策(ケインズ政策)と金融政策(金利誘導と資金供給)です。具体例として、ニューディール(1930年代、アメリカ)、リーマンショック対策(2008年、日本、世界)、アベノミクス(2013年~日本)を挙げました。すると、わかりやすかったようです。
長期・経済構造改革としては、国家政策として、
1 産業政策:特定産業の保護育成。補助金や関税障壁。
2 競争・規制改革:規制緩和や通商政策
3 財政政策:資源配分・所得再分配。大きな政府・小さな政府
4 生産性向上:人材育成
5 通商政策:関税引き下げ、知的財産権の保護
です。すっきりと分類できませんが。
具体例として、富国強兵(明治~)、所得倍増政策(1960年代、池田内閣)、新自由主義的改革(1980年代、サッチャー、レーガン、中曽根内閣)、TPPなどを挙げました。
ここは、学生から「よくわかった」と好評でした。この部分は、もう少し資料を精査して、今後も使いましょう。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第11回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第11回の講義。公営企業と第3セクターの議論を発展させて、サービス提供について、行政・企業・非営利団体の3つの違いを説明しました。具体の事業を表にしてです。この表はかつて作ったのですが、今回、有識者に見てもらい加筆しました。学生には、「わかりやすい」と好評でした。

引き続いて、国の予算と赤字について。財務省に提供してもらったパンフレットを解説しました。社会保障費は伸びるのに、税収は伸びず、いわゆる「ワニの口」になっていること。先進国の中でも、赤字額、累積額が飛び抜けて大きいことなどを説明しました。これも、パンフレットのおかげで、理解してもらえたようです。

なお、レジュメ9を修正しました。修正後を使ってください。3ページ下から2行目。
「社会システム:自発、無償・有償労働、協力非営利」です。NPOも無償労働だけではありません。

大学の期末試験問題作成

慶應大学法学部での授業は、順調に進んでいるのですが。期末試験の準備と、来年度のシラバス作成の時期です。
まず、期末試験問題を作りました。
私の授業は、学生さんを苦しめることが目的ではありません。地方行政の仕組みと、どのような課題があるかを、知ってもらうこと。また、自治体現場と全国的視点、時代による課題の変化とそれへの対応を理解してもらうことです。あわせて、勉強する際の基本や、ものを見る際の基本を、身につけてもらうことです。

それで、試験は記述式です。暗記に労力を使う(それだけでヘトヘトになる)ことを防ぐために、ノートや配付した資料の持ち込みを許しています。また問によっては、「××について、説明せよ。その際は、以下に掲げた単語を用いること。足らない語彙は適宜補うこと」という出題もします。
もっとも、文章を書くことになれていない学生には、少々負担になるでしょう。採点する私にも、負担になるのですが。しかし、「大学で、岡本の授業を受けました」と言ってもらうだけの「品質保証」は必要です。