カテゴリーアーカイブ:災害復興

被災地での観光復興

2016年7月10日   岡本全勝

読売新聞7月10日の「震災5年再生の歩み」は「外国人客呼び込め」でした。ここ数年、外国人観光客が急増しています。しかし、東北地方、被災地は、元々外国人観光客が少なかった上に、震災の影響から立ち直っていません。そこで、政府が東北への観光客誘致に力を入れています。記事では、それらデータとともに、外国人に人気が出ている観光地を紹介しています。ありがとうございます。

復興論文大賞

2016年6月24日   岡本全勝

今日は、復興5周年企画の一つである、「現場場で役立つ復興論文大賞 表彰式」に行ってきました。これは、地域創造基金さなぶりが企画した、学生等を対象とした論文コンクールの表彰式です。趣旨が、「現場で役立つ復興論文」です。企画書(募集要項)から引用します。
・・・「研究成果から浮かび上がる、次の5 年の課題や挑戦とは」
東日本大震災発災後、多くの研究者の方々が、被災地の住民や暮らし、支援活動や震災に関わる様々な調査・研究に取り組まれているかと思います。その調査・研究の成果は、2016 年以降の東北の次の5 年において、地域が何を注視すべきかを浮かび上がらせる、極めて重要な資源・情報であると考えています。
本事業は、研究者の皆さま方が調査を通じて明らかになった事実や成果、あるいは課題等を、各地域の行政、NPO、住民の方々へ伝える橋渡しのようなプロジェクトを目指し、まずは広く研究者の方々にご関心を持って頂き、その研究結果としての論文や論稿を投稿頂きたいと考えています・・・
・・・解決策が明確でないケースでも、そこに課題が存在していることが明らかになるだけでも大きな価値があると考えています・・・
そうですよね、せっかく多大な労力とお金を費やした研究が、それぞれの発表だけで終わっては、もったいないです。先日の児童生徒作文コンクールといい、良い知恵を出す人がいますねえ。入賞作品は、なりわい、つながり、伝承など、インフラ復旧にとどまらない広がりがあります。作品は追って、ホームページに載るようです。参考にしてください。

産業再生、岩手県の取り組み

2016年6月18日   岡本全勝

今日は、盛岡まで、「いわて復興未来塾」に行ってきました。20分時間をいただき、この5年間、国が何をして、私が何を考えていたかを説明しました。短い時間で要約することは、勉強になります。あれも言いたい、これも言いたい。でも時間がないので、絞り込む必要があります。パワーポイントを7枚、それも1枚ごとも写真と極めて簡単な説明しか書いていないものを用意して、説明しました。
その後の、基調報告もすばらしかったです。キリン株式会社CSV推進部長 林田 昌也さんの「キリン絆プロジェクトの取り組み」、東の食の会事務局代表 高橋 大就の「サヴァ缶に見るマーケティングの重要性」です。かなり高額の参加費を払ってでも、聞く価値のある内容でした。今日参加された方は、お得でしたね。
その内容は、ここでは紹介しきれないので、参考になるサイトを紹介します。キリンのCSV東の食の会宣伝ビデオ(3分10秒)。おしゃれなサバ缶Ca vaヤマキイチ商店、泳ぐホタテ君ヶ洞剛一さん
復興のイベントの内容が、産業振興です。私の話でも強調したのですが、インフラ復旧だけではこの地域の復興はない、産業再生とコミュニティ再建が必要と言い続けてきました。今や、政治家から自治体やマスコミまで、これが常識になりました。復興の哲学を変えることに成功しました。うれしいですね。

復興住宅でのコミュニティつくり

2016年6月16日   岡本全勝

トヨタ財産の本多史朗さんが、「復興公営住宅におけるコミュニティづくり-日常が被災地に戻りつつある中で」を、みやぎ連携復興センターのホームページに寄稿されました。
(今後の課題)
・・・言い換えると、重機とダンプ、そしてヘルメットと作業服姿に身を固めた作業員の人たちがむき出しの土と埃の中を動き回りながら取り組んだ、公共インフラの復旧・復興というエネルギッシュかつ非日常的な作業を中心とする時期が徐々に終わりを迎えている。事実、被災地のいくつかの市町村では、重機、ダンプの姿をめっきりと見かけなくなり、ある種の静けさが漂うようになっている。NPOを中心とする、被災地外部から入ってきた支援団体も徐々に後景に退いていく。ここから浮かび上がってくる、この期間の復興のストーリーの骨格は、次のようなものである。
・発災によって、発災前の地縁社会から切り離された被災者の方々が、
・新しく帰属するコミュニティをつくり出すために、
・ゆっくりと自らの潜在的な力を発揮して、復興公営住宅の環境に手を入れながら、前に進む。
そして、このストーリーが展開する主な舞台は、復興公営住宅に他ならない。そこでのコミュニティづくりにおいて、注意を払うべき点を次に取りまとめてみたい・・・
(静かなリーダー)
・・・それとは別のリーダーのあり方も、復興公営住宅においてみることができる。こちらは、「静かな」リーダーと呼ぶことにする。この特徴は次の通りである。
・聞き上手
・ 自分をあまり表に出さずに、入居者の総意をくみ上げる
・コミュニティづくりが徐々にだが、静かに進んでいく
筆者も、こちらについては、つい最近まで気が付くことがなかった。エネルギッシュなタイプに比べて、元から目につきにくい。それに加えて、重機とダンプが土煙を上げて動き回っている非日常の時期には、エネルギッシュなタイプがもつエネルギー、発信力、そして交渉力が一層貴重であり、インパクトも大きかった。この事実を尊重しながらも、今後の被災地では、「静かな」リーダーシップが持つ意味が大きくなる。その理由は次のようになる。
・エネルギッシュなリーダーは、絶対数が少ない。それに対し「静かな」タイプは、数が多い
・「静かな」タイプの方が高齢の入居者への負担が少なく、馴染みやすい
・次の項で説明するが、復興公営住宅におけるコミュニティづくりにおいて重要な役割を果たす女性入居者に対する聞き役の役割を果たしやすい・・・
(女性の力)
・・・復興公営住宅を回り、自治会の幹部にお目にかかると、ほとんどが60~70歳以上の男性である。
・・・興味深いのは、そこに女性の入居者の力をうまく巻き込むことができると、比較的に安定した自治会が出来上がる点である。理由は次の通りである。
・男性の自治会幹部たちが、角を突き合わせる時の緩衝材的な役割を果たす
・清掃、ゴミ捨てなど、復興公営住宅の日常の細部の担い手は女性入居者となる。その間の井戸端会議的な会話を介して、復興公営住宅内部の情報が自治会に集まる
・引き籠りがちな、気難しいところのある男性に対してもアプローチができる
上のような力を活用するのは、復興公営住宅におけるコミュニティづくりにおいて、欠かすことができない・・・
(まとめ)
・・・ここまで、次のような点を説明してきた。
・ 被災地において、重機が動き回る非日常的な時間帯が徐々に過ぎ去り、静かな日常というものが戻ってきている
・ 上の変化を背景として進んでいるのは、発災によって地縁社会から切り離された被災者の方々が、自らの潜在的な力を発揮しながら、新しいコミュニティを作ろうというストーリー
・ その際に、復興公営住宅におけるコミュニティづくりに携わる関係者が注意を払うべきなのは、①小さな単位、あるいは個人による活動の奨励、②静かなリーダー、③女性の力、の3つ
これを踏まえて、今後の静かな日常の中での復興公営住宅におけるコミュニティづくりを導く3つの考え方を次のように示したい。順不同である。
復興公営住宅におけるコミュニティづくりについての3つの考え方
・ 内発性⇒被災者の持っている潜在的な力を引き出す
・ 持続性⇒被災者の方々が、中途で疲弊、消耗してしまうことは避けなければならない
・ 暮らしの質⇒被災者の方々の手による、緩やかなものでいいので、日々の暮らしの質の向上をめざす。その際には、女性の力は欠かすことができない・・・

我が意を得たりです。これまでの災害復旧では見落とされた点であり、行政では十分手を出していない課題です。しかし、現地の関係者の間では「常識」でした。このように活字と象徴的な写真にすると、世間の皆さんに理解してもらえます。本多さん、ありがとうございます。関係者にとって必読の論文です。ぜひ読んでいただき、次の対策を考えて欲しいです。