地方6団体の評価が、出ています。
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地方行財政-分権改革
分権改革委員会・中間とりまとめ原案
14日の経済財政諮問会議は、地方分権も議論しました。丹羽分権改革推進委員長が「中間的とりまとめ」の概要をご説明され、民間委員からも意見が出されました。「中間的とりまとめ」はまだ原案の段階で、これから確定します。39ページにもなる大部のものですが、興味深い点がいくつも含まれています。
1 各府省が分権に反対する理由(統一性が必要だなど)について、それは理由にならないと明確に指摘しています(本文p8)。
・・地方自治体が行う事務については、国において事務処理の適正性を特に確保する必要があるものでも、法律などで明確な基準を定めていれば、国が個別に関与するまでもなく統一性が十分担保できるものと考える。現実にも、法定受託事務で処理基準が示されているものは、地方自治体が具体的な適用の判断を適切に行っていると考えられる。こうした「統一性」の主張の背後には、地方自治体の行政能力に対する懐疑が潜んでいる場合もあるように見受けられるが、根拠があるとはいえない・・
2 個別の行政分野・事務事業の抜本的見直しに踏み込んでいること(本文p13)。
・・都道府県は指定区間外の一般国道(一般国道の道路延長の約6割を占める。)について現に道路管理事務を行っているのであるから、一般国道に必要とされる道路の維持管理水準を確保することは十分に可能である。したがって、指定区間の国道について、大規模投資の必要等から新設・改築は国が行うとしても、維持、修繕その他の管理の事務についてまで国が行わなければならない特段の理由はなく、指定区間の一般国道について、維持、修繕その他の管理の権限を都道府県に移譲するべきである・・
・・一の都道府県内で完結する一級河川は、都道府県が管理する二級河川とは規模が異なるにすぎず、治水への取組みに差はないことから、指定区間外が国管理である必要はない。災害時に必要な場合にのみ国が支援すればよく、一の都道府県内で完結する河川については、一級河川の指定区間外を含め、すべて都道府県管理とすべきである・・
3 自治事務をに関する義務付け・枠付けの原則廃止(本文p37)
などです。
地域連合国家
6日の朝日新聞社説・希望社会への提言2は、「地域連合国家・ニッポンへ」でした。提言は、「暮らしにかかわるすべてを地域政府が決める」「地域共有の財源を設け、新たな仕組みで分け合う」です。私も、大賛成です。次は、なぜ進まないか。抵抗勢力を解説して欲しいです。
イギリスの経済道州制
英国イングランドには、地域開発公社(Regional Development Agencies ;RDA)という広域単位の機関があるのだそうです。務台俊介自治体国際化協会ロンドン事務所長に、教えてもらいました。以下、その概要です。
・・RDAは、労働党のブレア政権が1999年に発足させた組織であり、法的には国から独立した機関とされていますが、国務大臣の監督下に置かれています。イングランドを9地域に分けて、9つあります。
イングランド各地の経済開発、地域全体のハード・ソフトにわたる社会基盤整備を目的としており、設立当時、政府をはじめとして多くの地域再生関連事業が移管されています。予算も関係省庁の地域再生関連補助金を一括して新たな補助制度を創設し、公社の裁量度合いが非常に高い資金となっています。
RDAを作った発想が、英国特にイングランドとしてEU統合の中で広域の地域を大括りした開発戦略を作っていかないと、国際競争に勝てないとの危機感があったとのことです。イングランドの従来の自治体単位で地域開発戦略を立てていくのは困難であり、かといって国がこれを一括して戦略を作っていくのでは大きすぎる。そこで、イングランドを9つの人工的な地域の括りに分割し、その単位でRDAを設置するに至ったとの説明でした。イメージからすると、日本の道州制の経済開発分野の機能が、RDAにあるようです・・
そうですね。私は道州制導入の目的の一つとして、地域経済の振興を主張しています。例えば九州が道州になって、国への依存が少なくなれば、東京ではなくアジアを向いて経済活動を行うだろう、ということです。九州は、オランダ並みの経済力を持っています。既に、観光ではその動きが始まっています。韓国をはじめアジアの観光客が、別府の温泉に入り、阿蘇と桜島を見て、ゴルフをして、買い物をして帰る。企業誘致や販路拡大だって、東京だけを見るのでなく、アジアを相手にすべきです。距離的に近く、これから拡大する市場なのです。経済戦略を立てる際に、県単位では小さいのです。道州制なら、それぞれの地域が、ヨーロッパの中くらいの国々と同じくらいの、人口、面積、経済力があるのです。イギリスが、そのような戦略をとっているとは、知りませんでした。
分権改革の現状
今日も朝から、何やかやと仕事が入って、それなりに忙しい一日を過ごしました。夕方は、某ジャーナリストが訪ねて来られて、地方分権改革(運動)の現状と未来について議論。というか、突き上げを食らいました。二人とも、この10年間の第一次分権改革、三位一体改革の成果については、高く評価。しかし、不十分だったことも承知。問題は、その後の動きについてです。私は、「そんなに、思うようにはいきませんよ。三位一体だって、いろんな僥倖が重なってできたんですから」。某氏は「なさけない。その後のチャンスを逃し、次の手を打てていない」との判断。
原因は何かの議論では、次のような項目を列挙しました。
1 次に何を獲得したいか。目標が不明確。抽象論では動かない。
2 そのために何をするべきか。戦術論が不明確。それを誰が考えるか。
3 その理論武装が、されていない。理論的裏付けが不十分。
4 担い手が認識不足。地方六団体は、何を考えているのだろう。霞ヶ関を始め国政は、分権には反対。地方が要求を突き付けない限り、前には進まない。その際に、地方団体が団結しないと、無理。そして、陳情だけでは進まないわなあ。
5 分権を迷わせる地域間格差。またぞろ、補助金や公共事業を求め、ばらまく手法に戻る恐れあり。これは霞ヶ関の思うつぼ。下手をすると、地域間格差是正のためといって、地方法人課税が国税に吸い上げられるかもね。
「ところで、昨日HPに、『補助金と公共事業で自立した町はない』と書いたんですけど」
「読んだよ。そうじゃないだろう。『補助金と公共事業に頼った地域ほど、自立が遅れた』だよ。××道と○○県などを見よ。官僚である全勝さんは、書けないだろうけど」