学生さんたちへ、授業の補足です。
8日の授業で、地方3公社を簡単に説明しました。9日の朝日新聞1面トップは、「地方公社借金7.6兆円。自治体負担の恐れ」でした。土地開発公社、住宅供給公社、道路公社の抱えている借金と経営の悪化、解散についての記事です。読みましたか。
ただし、公社や会社は借金をして事業を行い、収入でその借金を返済します。借金自体は、悪いことではありません。授業でも説明したように、判断基準は、毎年の経営がうまくいっているか(損益計算書、フロー)、仮に清算するとしたら負債が残るかどうか(貸借対照表、ストック)です。そして経営が悪化した場合、設立母体の自治体が債務保証や損失補償をしていると、自治体に負担が及びます。
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慶応大
2010.12.08
今日は、慶応大学法学部で地方財政の講義。残っていた、地方交付税や地方財政の機能とその成果をお話しし、次に第8章に入って公営企業と第3セクターを説明しました。制度を説明しただけでは、わかりにくでしょうから、地下鉄やバス、上下水道など、具体事例でお話ししました。複式簿記も簡単に説明しました。いろんなサービスを提供していること、そして一般行政部門との違いを理解してもらえれば、成功です。
また、前々回に、国の予算と地方財政計画を講義しましたが、ちょうど今、税制や予算が決まりつつあります。その実況中継と解説をしました。新聞記事を、どう読むかです。
2010.12.01
今日は、慶応大学で講義。今回は、地方交付税の機能と仕組みです。私の専門分野です。「資料なし、目をつむってもしゃべれます」といったら、言いすぎですかね(笑い)。30年近く携わっていると、かなり要領よくわかりやすく、お話しできるようになりました。と、本人は思っています。話している途中で、いろんなことを思い出し、脱線したくなるのですが、それは最小限に抑えて。
あることに詳しくなるには、いくつかの段階がありますね。まずは、理解する、解説できるようになる。次に、全体像と細部の両方がわかる、仕組みだけでなく機能を理解する、一般の方にわかりやすく話せるようになる。さらに、限られた時間で解説できる、といったところでしょうか。結論からお話しすることが、短い時間で理解してもらう、一つのコツですね。
今週は、2度も慶応大学に行きました。
2010.11.17
今日は、慶応大学での講義5回目。今月は、3日が祝日、10日は私が中国出張、今週17日は講義、24日は大学祭で休み。11月は、かき入れ時なのですがねえ。
授業は、国と地方の財政関係に入りました。日本の地方財政を論じる際の、最も重要なポイントです。今回は、国と地方全体の財源配分の仕組みと、財源保障の意義を講義しました。次回は、各地方団体ごとに、この仕組みがどのように機能しているかを、お話しします。今週がマクロ機能、次回がミクロ機能です。
先週、行ってきた、中国の実情と仕組み(中国で考えたこと2010年)もお話しして、なぜ国家が地方自治体の財政を保障し、自治体間格差を調整しなければならないかを、お話ししました。経済発展が進む際、地域間と個人間(家庭間)で格差が生じます。簡単に言うと、生産性の高い工業や商業が栄える地域と、生産性の低い農林業の地域の差です。その差を放置し、個人の移動(住所の移動と職業の移動)に任せるのか、ある程度の範囲に収めるように政策を実施するのか。
ゆっくりと経済成長する場合は、なだらかに調整されるのでしょう。しかし戦後の日本と、この30年の中国は、経済発展が急速だっただけに、個人間と地域間の格差の発生は大きかったのです。日本は、それを工場分散、地方への公共事業投資、米の買い支え、交付税制度で均衡化しました。世界でも、成功した方だと思います。それでも、集団就職列車が、あったのです。
この分野は、私のホームグラウンドです。いろいろエピソードも交えて、お話ししました。学生さんたちの食いつきも、良かったです。
2010.10.27
今日は、慶応大学で講義。地方税の概要、自主課税とジレンマ、その他の負担の差、さらに地方債まで。順調に進んでいます。
その合間に、地方財政の多面的な見方も、お話ししました。制度(仕組み)と運用の実際、各地方団体と全体、国と地方、国民経済・資金循環の中の地方財政。これら経済としての見方とともに、主権者である住民の意思との関係があること。地域の課題に対し、財政が解決できる範囲など。地方財政は、財政学・経済学であるとともに、実務であり、行政・政治です。お金の循環だけでは説明としては不足することを、大きな図を書いて解説しました。
次回から、財政調整制度に入ります。ここは、私の一番の専門分野です。