カテゴリー別アーカイブ: 慶応大学

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慶應義塾大学、公共政策論第10回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第10回の授業でした。これまで、新しい社会の不安(身体や生命・財産だけでなく、社会システムの危機や、他者とのつながをつくれないことへの広がり)が増えたこと、そして社会を支える主体として行政だけでなく、企業やNPOも重要な要素であることを説明しました。
今日は、「負」の不安に対し、「正」の暮らしやすい社会の要素を説明しました。私が主張している「地域の財産」や「社会的共通資本」です。
あわせて、新しい社会の不安には、これまでの行政の手法が通用しないことを説明しました。
今日も、学生からたくさんの質問や意見をもらいました。週末に整理して、来週お答えしましょう。

慶應義塾大学、地方自治論第9回目

今日は、慶応大学で地方自治論、第9回の講義でした。
最近は、授業の進め方が定着しました。学生はまず、準教科書に指定した本を読んでくる。授業では、ポイントと最近の動き、また教科書に書いていないことを解説する。事業の終わりに、学生が疑問などを提出する。翌週、私がその疑問に答える、です。
この方法は、学生の関心や疑問点が分かり、それについて解説することで、効果的な授業ができます。一つのテーマを、2週に分けて解説していることになります。

今日は、議会について解説しました。仕組みや役割などは、川崎市議会のホームページの資料を使って、説明しました。最近は、各市町村ともホームページが充実しているので、住民にわかりやすくなっています。そして、課題について話しました。議会は、住民の期待に応えているか。何をもって、それを評価するのか。
さらに、今話題になっている住民総会についてです。私は、小規模な町村議会は、平日の夕方や休日に開けば良いと考えています。また、町内会長などを活用できないかも。ヨーロッパでも、戦前日本でも、議員は名誉職でした。フルタイムで従事しなくても良いと思います。

学生諸君
私が見たヨーロッパの市町村議会については、次のページで見てください。2002年欧州探検記。イタリア・シエナ市、フランス、サン・タンニェス村、ドイツ、イッセブルグ市の議会についての聞き取り結果が載っています。もう15年も昔の話ですが。
ホームページの移植の不備で、イギリス、セント・オルバン市については、こちら(旧ホームページ)を見てください。こちらの方が、ページは整理されています。

慶應義塾大学、公共政策論第9回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第9回の授業でした。いよいよ、これまで話してきた各論を踏まえて、私が考える公共政策のあり方をお話ししました。

まず、公共政策が取り組むべき社会の課題は、「社会のリスク」という観点から見ると、科学技術の発展と個人のつながりの希薄化から、新しい課題が増えています。
また、近代国家が想定した「自立した市民」というイメージは、大企業や不正を働くものの前では力不足です。労働行政と消費者行政は、ここから始まりました。病気をしたり失業したり自立できない個人もいます。そのために、各種の公的保険ができました。19世紀と20世紀の行政の歴史は、このように「弱い市民」を発見し、それを助けることの歴史です。

他方で、それらの問題に対して、サービスを提供したり答えるのは、行政だけではなく、企業もNPOなどボランティアセクターもあります。公私二元論ではなく、官共私三元論です。
行政が直営していたサービスを、民間に委託したり民間に開放したりすると、政府は小さくなります。しかし、国民からすると同じサービスなら、問題ありません。国鉄の民営化を考えてください。すると、社会の課題解決という観点からは、「大きな政府・小さな政府」論は、的が外れています。
では、政府は小さくなれば良いのか。そうではありません。民間が提供するサービスが適切なものか、ルールを作り、監視をしなければなりません。また、民間に任せていては不足する部分を提供したり、民間が提供するように誘導したりする必要があります。すると規模の大小ではなく、引き受ける責任が「広い政府」になります。
そして、全体を見ると「福祉提供国家」は「安心保障国家」になるのです。

慶應義塾大学、地方自治論第8回目

今日は、慶応大学で地方自治論の講義。先週は、学校の都合で授業はなし。今日が第8回目です。
いつものように、前回の学生から質問や指摘に答え、また6日の朝日新聞見学に関して補足説明から。
そして、今回から、市役所の仕組みに入りました。市役所がどのような仕事をしているか、どのような組織になっているか。地方公務員なら常識ですが、学生や一般人は知りません。それを説明している教科書も少ないでしょう。自家製の資料を用意して、学生に説明しました。

慶應義塾大学、公共政策論第8回目

今日は、慶応大学法学部、公共政策論第8回の授業でした。先々週の授業と先週の授業(青柳光昌さんによるNPOの活動についての話)での学生からの質問に答えることと、昨日の朝日新聞社見学についての補足説明で、けっこうな時間を費やしました。

学生からの質問は、まことに的を射たものが多く、それへ回答することで、私の説明がより深く掘り下げることができます。そして、学生との双方向授業が成り立ちます。
これについては、学生からの評判も良く、中には「私の質問を取り上げ回答してくださって、ありがとうございます」といった回答もあります。そうですね、座ってノートを取っているだけでは、つまらないでしょうね。もっとも、50人を超えるカードを読み、質問を分類して、翌週それに答えるのは、手間がかかるのですよ。
また、企業訪問を例に、社会人としての服装や立ち居振る舞いも言及しました。拙著『明るい公務員講座』を社会人になる前、採用面接の前にお教えしているのです。学生には役に立つと思いますよ。

授業の本論は、先週は社会を支える要素としてNPOを説明しました。今日は、企業の役割を説明しました。企業の本業による貢献、ボランティア的な貢献から、最近ではCSRさらにはCSVに広がりっていること、そして社会問題を解決する企業もあることを説明しました。いくつかの企業の社会貢献、サステナビリティを解説してです。
来週は、これまでの説明を集大成して、「社会は何から成り立っているか」「その場合の政府の役割は何か」をお話ししましょう。