カテゴリーアーカイブ:災害復興

暮らしの再建と、今の暮らしの支援

2014年2月10日   岡本全勝

今回の災害復旧では、任務を「国土の復旧」から、より広く「暮らしの再建」へ広げています。1月17日の復興推進会議で示した「方針」でも、「住宅再建・インフラ復旧」と並んで、「産業の復興」と「健康・生活の支援」を合わせて、3本柱に据えています。
国土という視点から、被災者という視点への転換です。国の「行政分野」で言えば、国交省だけでなく、経産省や厚労省も重要だということです。

もう一つ、「時間の要素」があります。被災者を救助し、避難所や仮設住宅に入ってもらいます。その次に、災害公営住宅やインフラ復旧が、直ちにできるわけではありません。避難中の暮らしがあり、それが続くのです。
これまでの災害では、仮設住宅は2年を想定していました。ところが、今回の災害では、高台を切り開いて街を作るなど、大工事になります。既に3年が経ちますが、高台移転などは、まだ2年はかかります。すると、仮設住宅暮らしは、5年以上になる人もでます。
2年ならば、「しばらく辛抱してください」で済んだのでしょうが、長期化するとそうはいきません。復旧後の「次の暮らし」でなく、仮設生活の「今の暮らし」が、課題になるのです。
孤立化を防ぐための見守り活動や、自治会活動。仮設住宅団地にサポートステーションを作るなど、いろいろと手を打っています。それらをまとめたものに、「被災者に対する健康・生活支援パッケージ」があります。
様々な相談窓口も作っています。また、例えば岩手県では、仮設住宅入居者に要望などの調査をしています。宮城県では、県外避難者に対して、支援ニーズを調査しています。

各自治体の組織を見てもらっても、それが見えます。
岩手県庁の復興局は、次のような組織から、なっています。総務企画課、まちづくり再生課、産業再生課、生活再建課。インフラ復旧と、産業再生と、生活再建が並んでいます。仙台市役所の復興事業局も、次のような組織から、なっています。震災復興室、生活再建支援部、復興まちづくり部(津波被害地域のインフラ整備)、宅地復興部(内陸部の宅地被害の復旧)。

仮設住宅自治会

2014年2月8日   岡本全勝

2月7日の読売新聞連載「仮設住宅は今」は、「運営に不満、自治会危機。窓口消え、遠のく支援の手」でした。
仮設住宅での自治会が、住民の不満によって解散した事例が、取り上げられています。会計や集会所の使い方を巡って、不満が出て、自治会長が辞任し、自治会が解散しました。すると、ボランティアの支援が途切れ、炊き出しや催し物が開かれなくなり、近所づきあいの機会が減りました。
自治会は住民が自主的に作る組織ですから、市役所や外部の者が作るわけにはいきません。作る際や運営について、応援することはできますが。
石巻市内には、133の仮設住宅団地があり、約40には自治会があります。しかし、3か所では、自治会が消滅しました。
引きこもりや孤立死を防止するには、近所づきあいは、大きな機能を発揮します。でも、自治会を作り運営すること、また、なるべくたくさんの人に参加してもらうことは、そう簡単ではありません。
仮設住宅を造ることや、復興公営住宅を造ることは、行政は得意です。しかし、人と人のつながりを作ることは、限界があります。拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』で、豊かな社会を作ることに成功した地方行政の目標が、「モノを増やすこと」から「関係を充実すること」に変わること、そしてそれはお金で買えない、お金で作ることができないことだと指摘しました。その一つの実例です。自治体や住民、そして支援に入っているNPOが、試行錯誤を続けています。

復興庁の評価

2014年2月7日   岡本全勝

今朝の「河北新報」に、沿岸被災20自治体の市町村長アンケート結果が載りました。「復興庁2年、司令塔役評価」という見出しです(沿岸部で被害が大きかった市町村と、原発事故で避難した市町村は40以上あるので、約半数の市町村が対象となっています)。
詳細は記事をご覧いただくとして、多くの首長が、復興庁の役割を高く評価してくださっています。
司令塔の役割を果たしているかという問には、果たしているが2人、ある程度果たしているが16人、あまり果たしていないが2人です。果たしていないは、おられませんでした。
自治体とコミュニケーションがとれているかについては、取れているが9人、ある程度取れているが11人です。あまり取れていない、取れていないという回答はありません。
100点満点、合格点が60点という総合評価では、最高が90点、最低が50点で、平均点は72点です。及第点をもらえなかった首長は2人で、55点と50点でした。記事では「15人合格点」とありますが、残る5人のうち3人は無回答です。でも、その方々も、司令塔の役割とコミュニケーションについては、良い点をくださっているので、たぶん合格点をもらったと推測します。例えば、点数では無回答の仙台市長は、「発足当初よりも存在感が大きくなっている。前例のない課題に果敢に取り組んでいる」と、回答しておられます。
このような評価をしていただいた首長さんに、お礼を申し上げます。そして、そのような評価をいただいたのは、職員みんなの努力の成果です。また、協力してくれた各府省の職員のおかげです。感謝します。
もちろん、満点をもらっていませんし、及第点をもらえなかった自治体もあります。指摘されている課題を克服して、復興を進めなければなりません。
でも、このようなアンケートで、見出しに「評価」とつくのは、あまり見たことがありません。行政や官僚は、マスコミでは批判の対象になるのが定番ですから。うれしかったです。

住宅再建相談

2014年2月4日   岡本全勝

被災地では、高台移転などのまちづくり、災害公営住宅建設、そして被災者による自力再建が進みつつあります。
どこにどのような家を建てたら良いか、借りたら良いか。借金は、どこまで借りることができるか。流された住宅に残っている住宅ローンはどうするか。心配はたくさんあります。その方たちの相談に、乗っています。
住宅再建相談の例を、お示しします。2月23日に宮城県で開催する「住まいまるごと応援フェア」です。そこでは、次のような相談を受け付けています。詳しくは、チラシをご覧ください。
・被災した住宅の減免制度について(仙台弁護士会)
・災害復興住宅融資・住宅ローンについて(住宅金融支援機構ほか)
・住まいの復興給付金等住宅補助について(宮城復興局ほか)
・ 最新の住宅事情・すまい給付金について(住宅展示場)

発災直後から、被災地では、住宅再建だけでなく、遺産相続、事業再開、医療・健康、市町村からの補助制度など、さまざまな心配事に、専門家が相談に乗っています。「相談に乗る」ことも、今回の災害復興の重点の一つです。