暮らしの再建と、今の暮らしの支援

今回の災害復旧では、任務を「国土の復旧」から、より広く「暮らしの再建」へ広げています。1月17日の復興推進会議で示した「方針」でも、「住宅再建・インフラ復旧」と並んで、「産業の復興」と「健康・生活の支援」を合わせて、3本柱に据えています。
国土という視点から、被災者という視点への転換です。国の「行政分野」で言えば、国交省だけでなく、経産省や厚労省も重要だということです。

もう一つ、「時間の要素」があります。被災者を救助し、避難所や仮設住宅に入ってもらいます。その次に、災害公営住宅やインフラ復旧が、直ちにできるわけではありません。避難中の暮らしがあり、それが続くのです。
これまでの災害では、仮設住宅は2年を想定していました。ところが、今回の災害では、高台を切り開いて街を作るなど、大工事になります。既に3年が経ちますが、高台移転などは、まだ2年はかかります。すると、仮設住宅暮らしは、5年以上になる人もでます。
2年ならば、「しばらく辛抱してください」で済んだのでしょうが、長期化するとそうはいきません。復旧後の「次の暮らし」でなく、仮設生活の「今の暮らし」が、課題になるのです。
孤立化を防ぐための見守り活動や、自治会活動。仮設住宅団地にサポートステーションを作るなど、いろいろと手を打っています。それらをまとめたものに、「被災者に対する健康・生活支援パッケージ」があります。
様々な相談窓口も作っています。また、例えば岩手県では、仮設住宅入居者に要望などの調査をしています。宮城県では、県外避難者に対して、支援ニーズを調査しています。

各自治体の組織を見てもらっても、それが見えます。
岩手県庁の復興局は、次のような組織から、なっています。総務企画課、まちづくり再生課、産業再生課、生活再建課。インフラ復旧と、産業再生と、生活再建が並んでいます。仙台市役所の復興事業局も、次のような組織から、なっています。震災復興室、生活再建支援部、復興まちづくり部(津波被害地域のインフラ整備)、宅地復興部(内陸部の宅地被害の復旧)。