今日は、いわて復興ツーリズム推進協議会の「新しい学びの場としての被災地の可能性」報告会に、挨拶に行ってきました。
この事業は、復興庁が進めている「新しい東北」の先導モデル事業として採択したものの一つです。岩手県沿岸部に、人を呼び込もうという試みです。この地域はリアス式海岸で景観もすばらしく、観光地としては優れているのですが、いかんせん、遠いです。いつも書いているように、新幹線の駅から、バスで2時間以上かかって、山を越えなければなりません。また、日本人の観光には必須(?)の温泉なども恵まれていません。
ところが、このモデル事業では、震災を逆手にとって、被害と教訓を「学びの場」として、売り出そうとしています。モデル事業として何回かツアーを行いましたが、ターゲットを企業や自治体の研修に絞っています。実は、他の地域でも、新規採用職員研修に、被災地で語り部から体験談を聞いたりボランティア活動を組み込んでいる会社もあります。
また、報告会での講演に入っていますが、ハーバードビジネススクールがフィールドワーク(IXP イマージョン・エクスペリエンス・プログラム)に、被災地を組み込んでいます(日経新聞が2月17日の記事で取り上げています)。山崎繭加さん(ハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センター)による去年の紹介。
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被災地で活躍する応援職員
朝日新聞3月25日の夕刊に、「被災地、多彩な人材。応援職員として活躍」が載っていました。
女川町復興推進課で働く海外青年協力隊OB、石巻市秘書広報課で働く大日本製薬からの出向職員、大船渡市へ相模原市から来た保健師さん。カラー写真付きで、仕事ぶりが紹介されています。
私たち役所が発表する「何人」といった無味乾燥な数字に比べ、このような「話」としての紹介は、わかりやすく印象に残ります。ぜひ、各マスコミでも取り上げていただきたいです。
大震災での行政相談員の活躍
行政相談委員という制度をご存じでしょうか。総務大臣が委嘱する民間のボランティアで、各市町村におられます。国の行政活動全般に関する苦情や相談を受け付けています。大震災の際にも、被災地で被災者の相談に乗ってもらいました。このたび、東北行政相談委員連合協議会が、大震災の際の活動記録をまとめました。総務省東北管区行政評価局の中田さんから、「紹介せよ」との指示が来ました。中田さんには、総務省時代に大変お世話になったので、ここで紹介します。
大混乱の時には、そもそも、誰に何を聞いて良いかがわかりません。その窓口にも、なってもらいました。相談委員ご自身も、被災しておられます。その中での、相談対応です。また、管区行政評価局では、いち早く「相談窓口案内ガイドブック」を作って、配ってくれました。被災地では、活用してもらったようです(p14)。
被災者からは、安否確認、罹災証明などの手続き相談、支援物資、支援制度などの相談が、多かったようです。具体的には、罹災証明書の判定への不満、乳幼児のミルクやおむつの調達、仮設トイレがバリアフリーでなく高齢者が困っているなど、現場ならではのお困りごとです(p9、10)。市町村などの各機関と連絡を取って、それらの相談に答えてもらっています(p12、13)。
災害公営住宅に入居する際に敷金と連帯保証人を求められた被災者からの苦情処理、子どもの遊び場確保のために小学校の校庭に仮設住宅を造ることをやめた例など、住民と役場との間に入って問題を解決した例も載っています。
相談委員の方々は、民生委員や町内会の役員などを兼ねておられる場合が多いので、避難所運営などでも、活躍してくださっています。報告書に載っている座談会記録や、各委員さんの体験談には、そのような経験も書かれています。お金や住むところなど、切実な相談が多いです。その他に、どこに相談したらよいかわからないことや、不安でまずは話を聞いてもらいたい人など、「被災者の相談にのること」の重要性がわかります。
町を復活させるための準備
3月22日の日経新聞が、「福島、帰還へ生活再生」を書いています。4月1日に、田村市都路地区で、避難指示が解除されます。小中学校も再開し、住民の帰還が始まります。記事では、そのためにいろいろな準備が行われていることを、紹介しています。
例えば、事故前には東隣の大熊町に買い物に行っていましたが、大熊町は避難中なので買いに行けません。そこで、地区内に2つの仮設商店を作ります。診療所も開設します。
田村市以外でも、南相馬市小高地区、楢葉町、川内村などで、帰還準備が進んでいます。コンビニや病院を再開したり、老人ホームを作ったりと。町の復旧のために、これまでにないことをしています。
被災地への民間人派遣、新しい試み
23日の朝日新聞社説は、「復興と人材育成。被災地を学びの場に」でした。
・・東日本大震災から3年。被災地の惨状は、多くの人に「自分は何ができるか」を問う機会になった。
復興事業では、被災者の複雑な要望を調整しつつ、過疎と地域経済の沈滞という震災前からの課題の克服を迫られる。大きな挑戦だが、だからこそ新たな人材が育つ場にもなりつつある。この流れをさらに太くしていきたい・・
そして、「WORK FOR 東北」、「RCF 復興支援チーム」、NPO「ETIC.」の「右腕派遣プログラム」などが紹介されています。
大震災を機に取り組んでいる新しい試みや、取り組まれている挑戦を取り上げていただき、ありがとうございます。まだまだ世間では知られていない試みなので、このように取り上げていただくことは、ありがたいです。
さて、被災地では職員が不足するので、このような試みを行っていますが、これは職員不足対策にとどまりません。社説でも指摘されているように、「人(人数)が足らない」だけではなく、「市町村役場が持っていない技能や経験が足らない」のです。被災者と役場とをつなぐ人材、産業界と役場をつなぐ人材、これまでにない企画を管理監督する人材などです。
そしてその場合は、民間人を雇うだけでは効果は発揮できません。役場に、その知識と経験がないのですから。役場と対等な立場で協働する関係も必要です。
国が間に入って被災地に職員を送ることや民間人を採用して送ることなども、初めての試みです。しかしそれにとどまらず、行政の手法や地域の公のあり方を変えていこうとする試みなのです。詳しくは、原文をお読みください。