カテゴリーアーカイブ:災害復興

産業復興支援の新しいかたち、企業や専門家による被災企業へのノウハウ支援

2014年9月21日   岡本全勝

復興庁では産業復興支援のために、被災企業と都会の企業を結びつける「結いの場」(お見合いの場)や「新しい東北」をつくるための「先導モデル事業支援」などに取り組んでいます。また、大企業や企業が作った財団が、被災企業に対して技術やノウハウの支援をしてくれています。マルシェという、被災地の産品を売ってくれたり、食材に使ってくれたりもしています。
これらの企業支援をどう位置づけたら良いか、ずっと悩んでいました。ようやく、次のような整理をしたら良いことにたどり着きました。
これまでの産業復興支援は、典型的には、次の2つでした。
1つは、被災企業の復旧を支援するものです。特別貸し付けや緊急保証といった資金繰り対策、中小企業グループ補助金などによる施設や設備の復旧補助、仮設店舗や仮設工場貸し出し支援、民間の財団による復旧助成です。
2つめは、企業や投資の呼び込みです。減税や利子補給、補助金による企業立地施策や規制緩和による復興特区制度などです。
これらは、施設設備を対象とした、カネやモノの支援が中心でした。
これらに対し、復興庁や企業が新たに取り組んでいるのは、第3番目の類型になります。被災地企業と都会の企業とのマッチング、ブランド・マーケッティング・販路開拓などのためのノウハウ・人材育成の支援、専門家(アドバイザー)の派遣などです。これらは、施設設備といったモノへの支援でなく、販路開拓・新商品開発などのノウハウへの支援です。そして手法はカネでなく、人によるノウハウ支援、場の提供やつなぐことです。民間企業やNPOが取り組んでくださっている事例も多いです。例えば、NHKテレビ「サキどり」9月14日で紹介されていた、「東北わくわくマルシェ」(東北の生産者と関西の事業者をつなぐ商談サロンと、東北の特産品のアンテナショップ)。
被災地の中小企業は、施設や設備を復旧しただけでは、売り上げは回復しません。復旧までの間に、販路は別の企業に奪われています。水産加工業に典型的に現れています。また従来のような商品を売っているだけでは、売り上げは増えません。
企業や専門家による支援、ノウハウの支援が必要なのです。先日(9月14日)紹介した、藤沢烈さんのインタビュー「お金でも制度でもない、被災地には人材が足りない」は、この点を指摘していました。
これは、行政が主体ではできません。支援してくださる企業や専門家と、支援を求めている企業とをつなぐことが、行政の役割でしょう。これまでも企業連携施策を進めてきましたが、行政と企業との連携だけでなく、支援企業と被災企業との連携について、位置づけも新たにして力を入れることにしました。

官邸で、復興推進会議を開催

2014年9月16日   岡本全勝

今日9月16日、官邸で、復興推進会議を開きました。この会議は、全大臣出席の会合です。発災以来3年半が経ち、内閣改造後初めての会議です。
復興大臣から進捗状況と課題を報告し、7大臣から協力の発言がありました。総理からは、「東北の復興なくして、日本の再生はなし。新閣僚においても、全員が復興大臣であるとの意識を共有し、東北を新しい日本創生のフロントランナーにしていく気持ちで全力を尽くすよう」にとの指示がありました。
ところで、総理の時間を確保し、官邸で全閣僚出席の会合を開催するのは、結構大変な「プロジェクト」です。会議の内容(業界用語でサブといいます)とともに、段取り(同じくロジといいます)も大変です。それを復興庁の職員は、いとも簡単にやってくれます。職員たちに感謝します。
資料は、復興庁のホームページに載せてあります。わかりやすく簡単な資料を作りました。復興に向けた道のりと見通し」も、9月版に更新しました。

新大臣のスタートダッシュ

2014年9月15日   岡本全勝

竹下大臣には、9月3日に就任以来、10日間を駆け抜けてもらいました。なんと、翌4日朝には福島県、5日は閣議と初の幹部会議の後に岩手県へ。翌週の8日には石巻市の被災地と宮城県。9日は閣議と挨拶回り。10日も挨拶回り。11日は早朝に経団連会長との意見交換、その後福島県被災地視察。12日は閣議、報道各社のインタビュー・・。この間を縫って、打ち合わせや所管事項説明を、こなしてもらっています。
スピーディに仕事が回っていることはうれしいのですが、そのいくつかにお供をしている私の方も、疲れています(ある職員曰く「仕事を作っているのは、岡本統括官じゃないですか」。その通りです。苦笑)。大臣にも、申し訳ないです。これだけの行事や出張を準備してくれる職員に、感謝しなければなりません。
明日16日は官邸で、全大臣出席の復興推進会議を予定しています。また大臣には、17日以降も、被災地に入ってもらう予定です。

藤沢烈さんのインタビュー。お金でも制度でもない、被災地には人材が足りない

2014年9月14日   岡本全勝

藤沢烈さんが、毎日新聞インターネット版のインタビューに応じています。ぜひ、原文をお読みください。ここでは、印象に残る部分を引用します。
・・お金でも制度でもなく、人材がまったく足りていない。新しい社会づくりが進められており、今こそ民間の人材が力を発揮できるので、「面白そうだ」という動機で構わないから来てほしい・・
・・壊れた家を建て直すだけなら、行政と建設会社だけでいいかもしれません。しかし、これからの社会を支えるすべというのは地域だけで完結しない。まちづくりや産業の専門人材を外から連れてこないといけない。そのため、地域と外とのつなぎ役であるコーディネーターが必要になってきます。これは東北に限った話ではなく今後、全国では数千人も必要になると思っています・・
「震災から時間がたち、現地に向かうボランティアは減少しています」という問に対して。
・・むしろ質が変わっていると見るべきでしょう。減っているのは単純な支援です。反対に、今になって初めて被災地支援に行くという人もかなりいます。復興は時間がかかると考えて自分の専門性が生きるタイミングを探していた人たちですが、専門性があり、東北出身者も大勢います。「誰でも来てくれ」という段階は終わり、いよいよ出番だなと・・
「企業による支援も細ってきていませんか」という問に対して。
・・もちろん金額や人数の面で、太く短い支援から細く長い支援にシフトしています。しかし今でもキリン、三菱商事、ヤマト運輸など30社ほどが力強く支援を継続しており、これだけでもすごいことです。実は4年目に入り、自治体などの受け入れ態勢が熟し、企業は力を発揮しやすくなっています・・
支援企業と被災自治体とのミスマッチについては。
・・企業が自治体の方向性を見ずに、「何でもやりますから言ってください」では自治体としても、大変な状況の中で何を求めていいのか組み立てられません。逆に「こういう専門的な物資が大量にある」といっても、どう使っていいか自治体が判断できない。課題に合わせて提案することが必要で、地元の求めているプランと合うとすっと入れます。一方で、自治体には窓口の一本化を要望したいですね。ただ担当者を置けばよいということではなくて、地域のことを把握して、つなげる存在になってほしい。企業から話が来たときにまずその人に話をして、それだったら何々課があるとか、地域にあるNPOとつなぐとか、適切にマッチングできる。そういう存在がいると企業が来ます・・

Googleによる被災企業の支援活用実態調査、多くの企業が支援を受けていない

2014年9月13日   岡本全勝

Googleと帝国データバンクが、9月4日に、被災企業支援の調査結果を発表しました。藤沢烈さんに教えてもらいました。
被災3県の企業730社を対象に、経営や業績、支援の活動状況について調査したものです。詳しくは調査結果をご覧ください。
そこでは、8割の企業が「震災後に外部支援を受けたことがない」と回答しています。「支援を受けたことがない」とした企業は、売上規模が小さくなるほど増える傾向にあり、その理由は「支援に関する情報がない」「人手がない」です。これは、産業復興に取り組んでいる者とにとっては、厳しい数字です。
売上規模が大きい企業が多いの方が、支援を利用しています。これは納得できます。ところが、支援の利用率が最も高いのは農業で、最も低いのは漁業です。これは意外でした。
活用した支援策は、製造業では、グループ補助金、事業復興型雇用創出助成金、ものづくり助成金、関連会社の指導です。卸・小売業、飲食店では、企業立地補助金、大学と共用研究開発、公的開発資金の補助、サービス業では、震災復興支援アドバイザー制度、被災労働者に対する緊急健康診断事業です。
支援を受けなかった理由は、次のようなものです。
・借金の返済に精一杯で、外部支援について知る機会がなかった。
・情報が入ってこない事には、こちらから調べる事もできない。
・外部支援の存在を知らなかった。
・多忙で人手も足りず、調べられなかった。
・高齢化の為、人材不足。そこまで手が回らなかった。