「行政」カテゴリーアーカイブ

行政

経済同友会の能登半島地震復興支援

東日本大震災の復興の際には、経済同友会に多大な支援をいただきました。能登半島地震についても、同様の支援をしてくださっています。
私も運営委員会委員を仰せつかっていて、先日、委員会がありました。オンライン会議なので、便利です。

第一期の実績がまとまりました。292の企業・法人、37名の個人から、当初目標を大きく上回る43,777,247円が集まり、被災地の高校に寄付されました(紹介動画)。
引き続き、第二期に入ります。

復興庁オーラルヒストリー2

復興庁オーラルヒストリー」(3月16日)の続きです。「東日本大震災に関するオーラルヒストリー」に、順次、関係者の話が載っています。被災者生活支援本部事務局を立ち上げたときに直ちに呼び寄せ、支えてもらった右腕と左腕(助さん格さん)の山下君と福井君の記録もあります。
山下 哲夫 元被災者生活支援チーム事務局参事官
福井 仁史 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(調査1班)

北村 信 元復興庁設置準備室参事官、元復興庁審議官
前島 明成 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(復興特区班)
阪本 克彦 元東日本大震災復興対策本部事務局参事官、元復興庁参事官(法制班)
といった、初期に一緒に苦労してくれた官僚のほか、助けてもらった非営利団体の方も載っています。
田村 太郎 震災ボランティア連携室企画官、復興庁上席政策調査官、復興推進参与

それぞれに、苦労した点と、うまくいった点やそうでなかった点を話しておられます。よい記録になっています。読んだ地方公務員からも、「このような過程を記録し検証するところにも、その組織の強さが感じられます」との意見もありました。
私の知らなかったことも多いです。私一人でできることは限られていて、それぞれの職員に委ねていたからでもあります。

「首長たちの戦いに学ぶ 災害緊急対応 100日の知恵」

出版社「ぎょうせい」から「首長たちの戦いに学ぶ災害緊急対応100日の知恵」が出版されました。宣伝には、次のように書かれています。
「7つの大規模災害において、最前線で災害対応にあたった13人の現役首長をはじめ、国や関係団体、民間企業、NPO等による支援など、関係者の経験と知恵を集約!」

能登半島地震、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、平成26年8月豪雨、平成30年7月豪雨、令和4年8月豪雨災害を経験した市長や町長たちです。
大きな自然災害は、毎年日本各地で起きています。しかし、各地域、そして各首長にとっては初めての経験が多いです。不十分な情報、職員も役場も被災しています。その中で急がなければならない決断、重い任務です。

それは、事前に想定していることと違うことも多いのです。他の市町村長、そして役場幹部に役に立つ本だと思います。
そう思って、推薦の言葉を書きました。

男女格差解消には性別役割意識の変革が不可欠

3月20日の日経新聞経済教室は、牧野百恵・ジェトロ・アジア経済研究所主任研究員の「男女格差解消、性別役割意識の変革が不可欠」でした。

・・・日本のフルタイム労働者の男女賃金格差は、ほかの経済協力開発機構(OECD)諸国との比較でも大きい。女性管理職の割合に至っては先進国最低だ・・・
・・・なぜ、女性活躍推進法が意図する女性の社会での活躍がなかなか進まないのか。筆者は家庭内の性別役割分担や、その背景となっている社会規範・思い込みに原因があると考える。家事負担が女性に偏る現状のまま「女性の活躍は進んだか」を議論することにどれほど意味があるのか。
女性の家事労働負担を解消せず、男性と同じように活躍、キャリア推進、管理職登用をと言われても、多くの女性の答えは「そんなの無理」だろう。では女性の家事負担を減らすにはどうしたらよいか。先進国で最低水準の男性が増やすしかない・・・

・・・女性活躍推進法が公表を促す項目の一つに、男性の育児休業取得率もある。育児・介護休業法の改正により23年4月から、常時1001人以上を雇う企業は男性の育児休業取得率の公表が義務化された(なお25年4月からは常時301人以上に対象が拡大する)。
それを受けたのか23年度の男性の育児休業取得率は30%と、前年度の17%から大きく上昇した。しかし中身をみれば期間は短く、取得した男性の4割弱は2週間も取得していない。
また、たとえ男性が育児休業を1年間取得しても、形だけの取得で実際は自分の仕事に専念したため、男性の育児休業制度の導入がかえって女性にとって不利に働いたという米国の実証研究もある・・・

・・・遠回りのようにみえるが、根本的には社会規範が性別役割分担の根底にあることを社会全体が理解し、その意識変革を促すしかない・・・

内閣官房が持つ法律

私が省庁改革本部に勤務した時(1998年~2001年)、国家行政組織を勉強しました。内閣の事務は各省庁が分担すること(分担管理原則)といった原則や、各省庁の内部組織や職員といった実情です。知らないことが多かったですが、知られていないことも多かったです。
その一つが、内閣官房でした。各省庁についてはそれなりに書かれたものがあり、仕事も見えましたが、内閣官房がどのようなものか、また首相官邸がどうなっているのかは、書かれたものはなかったです。

その時知ったことの一つに、原則として内閣官房は実施事務を持たず、各府省に担わせることでした。私が内閣府官房審議官の時に内閣官房審議官の併任を受け、再チャレンジ政策を担当しました。その際も、よく似た名前の辞令を内閣官房と内閣府からもらいました。首相の指示を受け、内閣官房で再チャレンジ政策を考えるのですが、実施事務は内閣府が行いました。なので、内閣官房は作用法を持っていなかったのです。

省庁改革で、総理の法案提出権を明確にしたこともあり、内閣官房が法律を持つケースは増えてきました。内閣官房のホームページを見ると、所管法律が載っていますが、結構な数になっています。
問題は、他の府省と異なり、さまざまな分野の政策を抱えているので、政策体系を作ることができません。この全体像をわかる人はいないでしょう。何らかの対策を打たないと、さらに膨張して、わかりにくくなると思います。