カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

消費者や生活者の視点に立った行政へ

17日に関係閣僚会合が開かれ、「生活安心プロジェクト・緊急に講ずる具体的な施策」がまとまりました。
「消費者や生活者の視点に立った行政へ」として、「安全・安心を第一に大きく発想を転換」を掲げています。そして、「これまでの政府の仕事のやり方は,生産第一の視点から作られてきたため,国民生活の安全・安心の確保という視点が,政策立案の中心に置かれていなかった。国民が日々,安心して暮らせるようにしていくため,安全・安心を第一に,消費者や生活者の視点に立った行政へと大きく発想を転換すべき時代が来ている。」と述べています。

キャリア官僚の責任

16日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅教授の「閉塞状態から脱出するには」でした。そのうち、官僚制に関わる部分を一部抜粋します。詳しくは原文をお読みください。
・・今年は・・政治の話題に事欠くことはなかった。しかし、外見上の派手な動きにもかかわらず、総じて気が滅入るような雰囲気が社会全体を覆っている。その原因の一つは、相次ぐ「行政の失敗」である・・
行政の感度の鈍化は、行政不況のような由々しい事態を招いている。労働市場において、公務員という職種が「負け組」になっているという指摘はいわれて久しい。これでは、劣化は進むばかりである。放っておいて、事態が改善する見込みはない。このままでは、公務員集団は社会の中で異物化しかねない。
かくして公務員制度の改革は「やるかやらないか」という選択の問題でなく、「いつやるか」という選択の問題になった。生かしうる人材を生かすためにも、それは欠かせない。当然のことながら、「政権は握っていたい、しかし使用者責任は御免だ」という話はもう終わりにしなければならない。政権に使用者責任がないといった話を、もはや誰も信じていないのである・・

コンパクトシティー

16日の朝日新聞は、「低炭素社会へ。コンパクトな街、注目」を解説していました。車社会の代表として、市街地がドーナツ化した宇都宮市と、コンパクトシティーに踏み出した富山市を紹介しています。地球温暖化という視点以上に、住みやすい街・財政が伸びない時代の街を考えたときに、コンパクトな街と車に頼らない街は重要です。
雪国では、冬の道路の除排雪に膨大な経費がかかります。山の中の一軒家から街の中に降りてきてもらうと、住民も市役所も大助かりです。もちろん、強制することはできず、誘導になるのでしょう。かつて炭焼きと稲作では暮らしていた山村での暮らしは、成り立たたなくなりました(昭和30年代の生活水準なら暮らしていけますが)。
中心市街地を発散させた責任は、行政にもあります。一つは、市役所庁舎や警察署などを、町中から郊外に移転しました。新しい文化ホール、高校、老人ホームも、町はずれにつくってしまいました。用地買収や土地代を考えて、50年というまちづくりを考えませんでした。もう一つは、ゾーニング(用途地域の指定)を、十分に考えなかったことです。どこをにぎわいの場所にし、どこは田園で残すかです。そこで、土地代の安いところやバイパスの沿道に、無秩序にいろんなものが立ち並びました。田んぼの真ん中に住宅も建ちました。右肩上がりの時代が終わり、ようやくこのような議論が真剣にされるようになりました。

経済の論理と地方の発展

12日の日経新聞経済教室は、前川耀(正しくは火偏)男教授の「これからの国土発展、大都市への集積テコに」でした。前川さんは東京都庁出身の方で、都市から見た国土の発展を述べておられます。
・・東京などへの人口と諸機能の集積は、国や大都市自治体が誘導したのではない。集積が進んだのは市場経済の自律的な運動であり、近年はそれがさらに高次の段階へと移行したにすぎない。世界共通の動きとして知識、情報が経済・科学・文化などの社会活動で大きな比重を占める時代に入り、大都市の集積が富の増大の推進力となった。後戻りできない巨大な文明史的転換がおきている・・
私も、同意見です。ただし、それが一極に集中するかどうかは、別です。すべてが東京に集中することは、必然ではありません。中央集権システムによって、行政と経済と高等教育が東京に集中し、その上に経済の集中の増大があるのでしょう。地域経済振興を考えたとき、この状況を打破するために、道州制がふさわしいと、私も考えています。

金融危機対応

8日の朝日新聞変転経済「金融危機10年」は、1990年代の公的資金投入の経緯です。
銀行の不良債権の存在と、それへの対応の必要性は、早い段階から指摘されていました。しかし、その手始めである住専への6,850億円投入が、大きな議論を招きました。その後遺症もあり、銀行への投入が進みませんでした。記事では、官邸・与党の動きが鈍かったこと、情報が十分開示されなかったこと、所管省が対応をとらなかったことを、指摘しています。
政策変更時や危機対応時の、政治と行政の役割を考える、よい材料です。