メンバーの能力と組織の能力

19日の日経新聞経済教室は平野雅章教授の「企業の人的投資、組織の能力が成果を左右」でした。教授の主張は原文を読んでいただくとして、私が納得したのは、次のような部分です。
「組織の優秀性は、組織メンバーの能力とは別物である。何となれば、メンバーが入れ替わっても、組織の能力は変わらないから。組織の能力は、メンバーの資質と組織の優秀さによる。」
この主張には、目から鱗が落ちるですね。いくら優秀な職員をそろえても、あるいは育てても、組織の能力が変わらないことは、多くの管理者が経験済みです。
私の研究フィールドでは、官僚機構の問題が、一部これに該当します。優秀な職員をそろえながら、官僚機構のアウトプットは上がらない。それは、組織に問題があるのです。
民間でも、過去に効果的だった仕組みと人が、新しい環境では機能不全になることがあります。しかし、過去の伝統で育った管理職は、それを変えようとしません。メンバーも、時代遅れの組織原理に染まっています。ここに、メンバーと組織の伝統・エトスは同調します。
このページで書いた「組織のガバナンス」「民間ベストプラクティス」などが、改革への道しるべだと、私は考えています。これについては、別途、議論をまとめようと考えています。