カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

連載・厚労省

日経新聞が、連載「ザ厚労省」を始めました。第1回は「羅針盤なき巨大組織、思考停止に膨らむ不信」です。
・・・人が生きるための制度をつかさどる。老後の安心、働く環境、医療の再生、子供の未来・・。頼るべき組織と人に、頼りないことばかり起きている。古びた制度や体質が、この国の行く先をさびつかせる。
・・・座標さえ見失った老朽船。厚労行政は、今も古い時代を生きる「戦時下の落とし子」だ。・・戦後は成長のレールの上で国富が膨らみ、人口も増えた。社会保障という「成長の果実の分配」に大きな苦労はなかった。そして急成長の時代が過ぎ、少子・高齢・人口減の時代が来た。過去の延長線では、日本の社会保障は崩壊する。価値軸が「負担の調整」へと変わっているのに、それを説明するすべを持たず、行き先を示せず、制度の手直しにきゅうきゅうとする。それが10万人を超す大所帯に膨れあがった今の厚労行政だ。
・・・「すべてを自分たちが扱っているようで、実は何も扱えていない」。昨年まで厚労相だった柳沢伯夫はそう思う・・
日々の事件報道だけでなく、このような構造的な分析記事は、重要です。連載に期待しましょう。そこには、厚労省に限らず官僚機構に共通する問題、日本の政治の問題、そして厚労省に特有の問題が含まれています。それらを腑分けして、論じてもらいたいです。

空港経営の効率化

赤井伸郎准教授が、週刊『エコノミスト』7月15日号に、「インフラ資産の有効活用を促すガバナンスのあり方を考える」を書いておられます。空港と道路というインフラ資産について、どう仕組むと管理者がよりよい経営をするかについてです。
空港には、国管理と地方団体管理がありますが、国管理の中にも、直営(羽田)、特殊会社(成田)、株式会社(関西、中部)と、いろんな形があります。そして、滑走路、空港ビルなどで、管理者が別れています。

地域住民の信頼強化

古くなりましたが、5日の読売新聞が、「フランス発、隣人祭」を紹介していました。
住民はいろんな問題を抱えている。しかし、行政には限度がある。必要なのは助け合いだが、地域連帯の意識が希薄になり、さらに隣人が互いに猜疑心をつのらせ、無関心の空気が満ちている。この危機感からパリ市の区議会議員(助役)が始めた行事です。アパートの中庭に住民を誘い出してパーティーを開き、お互いを知るのです。その後フランス全土に広がり、今や欧州連合の政策「ネイバーズ・デー」になっています。
日本でも、かつての農村での親類やムラ社会の助け合いが崩壊し、新たな信頼関係をつくる必要が出てきています。拙著「新地方自治入門」では、第7章で「社会資本」として述べました。

国の基準を上回る検査

読売新聞11日夕刊に、国産牛のBSE検査が載っていました。国は、7月末で全頭検査の補助金を、打ち切ります。世界でも全頭検査をしているのは日本だけで、欧州の多くの国では30か月以上の牛に限定しているそうです。検査施設を運営している44都道府県は、独自の予算で全頭検査を続けるそうです。県民が望むから、と言う理由です。
私は、各県が国の基準に上乗せして、厳しい検査をすることは、問題ないと思います。もちろん、その費用は、各県(県民)の負担になります。県民が費用を負担して、より安全なものを県民に届けるのです。
もっとも、その県の店先には、外国産の牛肉も並びます。また、全頭検査をやめる県が出てくると、検査のない国産牛肉も並びます。検査費用を肉代に上乗せするのなら、消費者が検査費用を負担して高い牛肉を選ぶので、問題はありません。しかし、県民が他県民が食べる肉の検査代を負担することになる場合は、どう考えるべきでしょうか。