教育再生会議が、第三次報告をまとめました。p16に、「社会総がかりでの子供、若者、家庭への支援~青少年を健全に育成する仕組みと環境を~」として、次のような記述があります。
(1)子供、若者、家庭に対し、教育、福祉、警察、労働、法務等の連携システムを作り、総合的に支援する
○地域での関係機関窓口の一元化を推進し、国レベルでの体制整備や、必要な法的措置を検討する
・地域における子供、若者が抱える困難な状況の打開や社会不適応などの様々な問題のサポートのため、教育委員会、警察、児童相談所など、子育てから就労支援に至る関係機関のネットワークの強化や、各自治体で、関係機関が連携した一元的な支援窓口を整備する取組(ワンストップサービス化)を推進する。国レベルでも、自治体の取組を支援する一元的窓口を設けることも検討する。また、このような施策推進のための子供、若者支援を総合的に進める法的措置についても検討する。
・国、地方自治体、関係機関が、国民的広がりを持って青少年の健全育成への取組を進められるよう、必要な施策を総合的に推進するための基本的な法的枠組みについても検討する。
再チャレンジ施策で、地域若者サポートステーションを拡充しています。これは、義務教育を終えた若者の支援、就職が目的です。教育再生会議の提言は、学齢期の子供たちの支援が主です。対象が少し異なりますが、問題意識と意図するところは同じです。学校や会社から脱落した子供や若者を救うこと、困っている親を支援することです。学校は、来なくなった生徒を相手にしません。しかし、次に行政が関わるのは警察です。その間には、広い空間が広がっています。それを放っておくと、無業、生活保護、無年金、社会不安、犯罪のおそれといった、多大なコストがかかるのです。私は、いずれ「若者総合支援基本法」が、必要になると考えています。
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行政
再チャレンジ10-3
「暮らしの複線化」ポータルサイトを開設しました。交流居住のすすめ (総務省) 、UJIターン支援サイト (国土交通省) 、都市と農山漁村の共生・対流 (農林水産省) 、地方就職支援センター (厚生労働省) など各省関係、各都道府県、NPOのホームページにリンクを張りました。すごい数のリンクです。こういうことができるのが、内閣官房ですね。一度のぞいてください。
再チャレンジ10-2
17日の読売新聞は、イギリスのニート対策を解説していました。ブラウン政権が、内政の重要課題として、ニートの救済を本格化させていることです。「ニートは国益を損なう」との観点で、義務教育期間を18歳まで引き上げ、生活支援や就学支援を柱とした教育改革を断行するとのことです。一連の対策に、約200億円が投入されるとのことです。ニート問題や落ちこぼれを放置すると、社会の活力と安定がなくなり、将来の生活保護・無年金者が増え、犯罪も増えるのです。日本社会もイギリスの後を追っているようです。早く手を打てば、社会が安定し、対策費が少なくてすみます。
再チャレンジ10
4日の朝日新聞は、多重債務者対策を伝えていました。政府・地方自治体・日弁連・司法書士会が連携して、無料相談会を開くのだそうです。そこで自治体職員に多重債務相談の経験を積んでもらい、また弁護士や司法書士と連絡を取りやすくするとのことです。「全国一斉多重債務者相談ウィーク」私はこれを、行政の仕事の変化と位置づけています。
政治の役割13
10日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅教授の「小泉政権を見送る」でした。
「何よりも、この政権は経済の構造的停滞によって自信を喪失し、すっかり内向きになった日本社会の生み出した政権であった・・・政党政治をほとんど一人で演じ、首相のリーダーシップに対する国民の飢餓感をいやし、それへの手応え感を与えるのにかなりの程度成功した政権であったといえよう。ここに首相と世論との太いパイプの源泉があったと考えられる」
「この政権が最もその精彩を放ったのは、『政府は何をしないか(すべきでないか)』について語るときであった。それは結果として民間部門の構造改革や活性化につながったが、『政府は何をするのか(すべきか)』については青写真も乏しかったし、アイデアも乏しかった」
「三位一体改革が課題を残したと言わざるを得ないのも、結局は中央政府の役割のツメができなかったからであろう。公務員制度改革という政権の最も直接的な所掌課題も、ようやく政権末期になって登場したのであった。かくして、政府はかつてなかったほど極めてあいまいな存在と化したままで、次の政権に引き渡されることになったのである」2006年(9月11日)
(総理の条件)
自民党総裁選に関して、記者さん何人かとの会話です。
(公約の優先順位)
記:総裁・総理は、その人の政策で選ぶんですよね。
全:そうだろう。だから、それぞれ公約を発表しているじゃない。良い傾向だと思うよ。
記:でも、ある新聞が書いたように、項目の羅列だったり、すべてに良いことを言ってます。すべての項目に取り組むというのは、どれもできないということですよ。
全:それはわかるね。総理だって、時間と力は限られている。まず、どれをしたいか。また、時間をかけても、これだけはしたいとかね。小泉さんは、その点はっきりしていたね。
記::そうです。その代わり、小泉さんは他のことを切り捨てました。何かをするということは、何かを切り捨てることです。八方美人は、何もしないという結果になります。
(これまでの言動)
記:もう一つは、これまでの言動との整合性です。
全:お三方とも、問題ないじゃない。それぞれ、信念に基づいて発言しておられるよ。
記:違います。公約は何とでも言えます。しかしこの3人は、新人議員ではありません。小泉政権の中枢におられました。白地ではありません。これまでの実績があるのです。例えば地方分権です。
全:3人とも、分権に積極的なことをおっしゃっている。どなたがなっても進むと、僕は期待してるよ。
記:思い出してください。三位一体改革の時に、3人とも当事者でした。一人は総務大臣として推進派、もう一人は財務大臣で税源移譲に反対、もう一人は官房長官で審判役でした。
全:これからに期待しよう。
(実行力の実績)
記:もう一つは、実行力です。
全:新聞の採点では、それぞれ実行力はあると採点されているじゃない。
記:いろんな政治決定の場で、どのようなリーダーシップを発揮したかです。例えば経済財政諮問会議の場で、どれだけ発言したかです。ただし、官僚の用意したメモを読むのは零点、どれだけ自分の言葉でしゃべったかです。そして議論をリードしたかです。
全:諮問会議は議事録が公開されているから、点を付けたらいいじゃない。
記:そう思っているんですがね。
全:3人とも実行力があると評価されているし、小泉さんを見た国民は、目が肥えているよ。日本の首相像は、間違いなく変わったと思うけどね。
(人を使う)
記:総理や政治主導者には、人を使うという能力も必要です。
全:それは当然。かつて、アメリカのクリントン大統領が、凡庸な大統領と批判されたときに、「そうかもしれないが、私には有能な人を使う能力がある」と反論したことがあった。私はそれを聞いてなるほどね、と思ったよ。
記:そうです。いかに有能な人でも、すべてのことはできません。それぞれの道に優れた人をうまく使うかどうかです。
全:人を使うためには、人の話を聞くことも、重要だよ。
記:ええ、しかし人の話を聞くだけでは、だめなんです。八方美人にならないように、話を聞くけど採用するかどうかは、別なのです。その際には、側近も重要です。政策の優先順位、時間配分の優先順位を、進言できる人です。それは、最初に述べた「何を切り捨てるか」を判断できる人です。そのような側近を持っているかどうかも、重要です。もちろん、最後の決断は、その政治家がするのですが。(9月15日、16日)
9月25日の日経新聞経済教室「新政権への視点」は、田中直毅さんの「政治再設計で成長確かに」でした。
「小泉内閣の5年半で、『回顧の次元』から『期待の次元』へと政策目標は切り替わり、自己統治の理念に発する財政規律の確立が緒についた。安倍政権では費用分担の仕組み作りという行政色の強い政治空間から離脱し、政治関与をリスク制御に絞り込むのではないか」(9月25日)
(小泉改革の評価と継承)
このHPでは、小泉改革を日本の政治の改革として、取り上げてきました。その点から、次の政権が小泉改革をどのように評価し、どのように継承するのか関心を持っています。もちろんどなたがなられても、改革は進められるでしょう。しかし、そのまま発展させるのか、一部修正するのかを知りたいのです。そのためには、小泉改革をどう位置づけ、どう評価するかが必要なのです。今日の安倍総理の所信表明演説では、改革を進めるとの記述はありますが、小泉改革の文字はないようです。(9月29日)
19日の朝日新聞「保守とは何か」で、原彬久教授は次のように述べておられました。戦後保守の特徴は、米国による占領下で生まれ左傾化されたこと、米ソ冷戦構造の下で自民党イコール親米・社会党イコール親中ソという構図になったこと、政権交代が保守と革新の間で行われず社会主義的な政策を採り入れたこと。外交・憲法面では吉田政治が保守本流だったが、経済政策面では岸政治がむしろ主流だった。
保守は、人間への懐疑がその根底にある。その意味で現実主義と重なる。したがって現状肯定に流れやすい。しかし面白いのは、時に保守が大きなパラダイム転換を成し遂げるという逆説だ。ニクソンの米中和解、サッチャーの英国病克服、岸氏の安保改定、佐藤栄作の沖縄返還、田中角栄の日中国交樹立・・保守は行き詰まった現実を前に、その現実に内蔵された矛盾のエネルギーをむしろ逆手にとって現状打破を果たそうとする。(10月21日)
27日の毎日新聞「世界の目」は、クラロス世界経済フォーラム主任エコノミストの「競争力向上へ8つの教訓」でした。自国の競争力を上げ、貧困減少や国民所得向上につながる資産を生み出すにはどうすれば良いか。
1 分不相応はいけない。税収不足、公共支出の統制不能、あるいはその双方による巨額の財政赤字は、競争力上昇のカギとなる教育、公衆衛生、社会基盤への支出を抑制する。
2 低税率は奇跡の治療薬ではない。北欧のように最も競争力の高い国々は、多額の歳入を十分効果的に運用している。
3 汚職は経済成長を止める。透明性が高く、公共の利益のために働き、支持に値すると認知された政府だけが、国民に犠牲を求めることができる。
4 司法の独立は貴重である。
5 官僚主義の弊害。
6 教育は大黒柱。
7 成長の新しいエンジンは、インターネットと携帯電話。
8 女性に力を。競争力とは、人的資源を含む資源の効率的利用のことだ。
発展途上国だけでなく、日本にも当てはまりますね。(10月27日)
(保守主義)
24日の読売新聞、佐々木毅教授のインタビューから。
「日本の場合、戦後は長く保守対革新の構図だったから、欧米の流れとはまたズレがある。自民党が、諸外国であれば社民主義政党がやった利益配分などを、機能的に代行した・・自民党政権の背後には、経済成長とナショナルプライド(国民の誇り)の合致があった。その合致がバブル経済の崩壊でズタズタに切り裂かれて、ナショナルプライドをどこに定めていいか分からなくなった。他国の保守主義とは異なり、いろいろな要素を積み込んだ自民党保守主義は終わった。今、自民党はどこに向かえばいいか分からなくなっている。ナショナルプライド探しをめぐる議論がいろいろ出てくれば、次の保守、非保守のステップにつながるかもしれない」