25日の日経新聞経済教室「経済事件と司法」は、郷原信郎教授の「刑事罰、制裁機能適正化を」でした。
・・規制緩和・経済構造改革により、企業・団体の自由な活動が保障される一方で、経済法令違反に対し事後的に適正で効果的な制裁を科す「制裁システム」の整備が不可欠となっている・・
・・旧来の刑事司法は、個々の犯罪に対し適切な事実認定と科刑を行うことで基本的には事足りた。犯罪は普通でない人間の「非日常的世界」であり、それに関する司法判断が、社会生活や経済活動に一般的影響を与えることはまれだった。
しかし、経済社会のルールの実効性を担保するための制裁を刑事処罰によって行うのなら、そこで示される判断は、個別の事件についての適切さだけでなく、経済活動に対して広く適用されるルールとして普遍性を備えたものでなければならない。またそこでは、犯罪を、取引相手の具体的被害という観点ではなく、それが市場の公平さをいかに害したのかという「市場法的観点」中心にとらえる必要がある。
そうした方向で刑事司法を経済社会における制裁システムとして適正に機能させるには・・・(続きは、原文をお読みください)
経済活動の変化に応じて、立法や行政がルール設定を行います。それだけでなく、司法の役割も重要だということですね。
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行政
教育の転換
28日の日経新聞連載「日本の教育」「学びの針路を示せ」から。
・・ゆとり教育を含む1970年代以降の教育改革は、明治初期、太平洋戦争直後に次ぐ「第三の教育改革」と呼ばれる。明治と戦後の改革は、それぞれ「富国強兵」「民主国家建設」といった大目標とつながり、教育が発するメッセージは明快で、人を律する動機づけにもなった。教育を受けた人材が社会革新や経済発展に携わる姿が、親世代の教育熱、子世代の学ぶ意欲を支え、教室に緊張感を生んだ。そんなダイナミズムが、今の教育にない・・
・・方向を失った日本の教育が、目標を打ち立てるのは容易ではない。作家の堺屋太一氏は「教育のあり方がわからなくなった」と言う。物材の豊かさが幸せを意味した規格大量生産の時代は、共通の知識・技能を持ち辛抱強い人材を育てればよかった。主観的な「満足」が幸せの尺度になった現代では、この手法は通用しない。どういう教育を施せば子供が幸せになるか、一義的に定まらなくなった。堺屋氏は「望ましい教育の姿がわからないなら、教育の消費者である保護者や子供に選ばせるべきだ」と主張・・
私が主張する「日本社会と行政の転換」と合致した主張です。ただし、戦後の教育の目標が「民主国家建設」とありますが、それよりは、豊かになるための労働者の創出の方が、主だったと思います。多くの家庭では、民主主義よりは、豊かになることが重要だったのですから。
そして、明治と戦後の転換には、欧米という目標・お手本があったのに対し、今模索している転換の目標は、「目標と幸せを探すこと」なのです。教育は、目標を次なるものに取り替えるのではなく、各人の目標探しを目標とするという、パラダイムの転換が必要なのです。日本の教育行政は、それに失敗しているようです。
目標による人事評価
消防大学校では、今日は、警防科(60人)の入校式がありました。明後日は、幹部科の入校式があります。ところで、国家公務員の目標による評価が、10月から本格的に始まりました。内容は、二本柱からなっています。
一つは、能力評価で、あらかじめ定められた項目ごとに評価されます。これは1年後の9月30日までが対象期間ですから、評価は来年です。もう一つは、業績評価で、各人が目標を申告し、その結果を評価します。最初の対象期間は3月31日までの、半年です。すなわち今回、この業績評価のための目標を、申告するのです。私も、申告しました。
この問題については、連載「行政構造改革」第2章四で官僚制の問題を取り上げ、その2(3)で公務員の評価を論じました。目標による評価には、このような個々の公務員の評価とともに、各組織についての業績評価も課題です。
日本の政権交代・社会勢力の争いではなかった
再チャレンジ室記念日
今日は、再チャレンジ室の同窓会。2006年10月に発足したので、毎年この時期に、同窓会をしています。組織は2008年9月まで存続しましたが、実質的な活動は1年間でした。各省から、内閣官房に集められた「混成部隊」でした。苦労はあったのですが、内容の濃い仕事ができました。
時の政権の看板政策だったので、政権の交代とともに、縮小されました。しかし、再チャレンジしやすい社会をつくることの重要性は、変わっていないと思います。提言した若者総合支援に関しては、今年の春に「子ども・若者育成支援推進法」が、成立しました。実現してくださった関係者の方々に、感謝します。このように、今後も、政府と地方自治体の政策は、充実されると思います。
今日は、16人のメンバーのうち、東京にいない人を除き、14人が参加。それぞれ、新しい職場で、活躍しています。うれしいことです。