システム思考・続き

昨日、システム思考について書きました。ところで、社会科学では、自然科学のシステム思考を適用して考える、「システム論」と呼ばれる学説があります。政治システム論や社会システム論が有名です。
社会を機能的に分けて、いくつかの仕組み(システム)から構成されていると考えます。そこには「構造」と「機能」があります。「入力」があり、「変換」されて、「出力」が出ます。それらが関係し合っている、という考え方です。
昨日も書いたように、複雑な社会を理解するには、要素に分けて考えるしかありません。機能によって分けて考えるというのが、このシステム論(思考)です。定型的な業務には、この考え方は向いています。一定の条件を入力すると、決められた結論が出る。行政の場合、ある申請がされると一定の結論(給付など)が出る、というようにです。
実際は、すべての申請が同じ内容ではないこと、前例のない申請の場合はどうするかという問題が生じます。そして、従来の仕組みでは処理できない事態がでた時、それを入力するのか(申請を受け付けるのか)、拒否するのか。入力した時に、どのように変換して出力するのかが、問題になります。決められたことをする行政(規則にないことはしない行政)と、新しいことを考える行政(前例がない、規則にないことを考える行政)との違いです。
次に、申請を受け付けるとして、臨時異例の処理としない場合は、新たにどのような仕組みを作るのかが、課題になります。どのようにシステムを設計するか、という問題です。それは決められた入力を処理する各部門の仕事ではなく、全体を統合している責任者の仕事です。ここで、昨日の結論と同じところに、たどり着きます。
そして、システム思考が分析でとどまっている限りでは、この二つの課題(前例のない入力と新たなシステム設計)は解決できません。