カテゴリーアーカイブ:行政

リベラルの任務

2017年10月18日   岡本全勝

朝日新聞10月13日「2017衆院選 リベラルとは」、坂野潤治・東大名誉教授の「「民主化」「中道」こそ、目指した道」から。
・・・「歴史を踏まえて言葉の意味が変わっていくのは当然だ」としながらも、坂野さんは、戦後リベラルが社会の民主化を進めるという方向性を忘れているのではないかと懸念する。戦後民主主義は、憲法9条に象徴される平和主義を守ったかもしれないが、格差是正や多様性の尊重など、民主主義の課題にきちんと向き合ってきたかという問いかけでもある。
「海外に目を向けると、雇用が不安定な若者ら従来の政治ではすくい取れなかった人たちを吸引する勢力が出てきている。米国の民主党のサンダース上院議員や英国の労働党のコービン党首らがそうだ。だが日本の政党や政治家の動きは鈍いと思う」
「日本の政党政治が9条堅持か否かといった戦後民主主義をめぐる対立に終始するなら、政治と社会との乖離(かいり)が進んでしまう。今回の選挙の結果、仮に安倍1強政治が終わったとしても、この対立が続くだけなら意味がない。リベラル勢力に課された問題だ」・・・

砂原教授の本と論文紹介

2017年10月5日   岡本全勝

砂原庸介教授の著書と論文が、先週末の新聞各紙の論壇時評と読書欄で紹介されていました。9月28日朝日新聞の論壇時評(小熊英二さん)、9月30日日経新聞の論壇時評(土居丈朗さん)、10月1日の読売新聞読書欄(奈良岡聰智さん)です。すごいですね。

著書『分裂と統合の日本政治ー統治機構改革と政党システムの変容』(2017年、千倉書房)は、このページ(2017年7月9日)でも紹介しました。国政と地方政治の関係、その不十分さを指摘したものです。日本の政治のあり方を考える際に、忘れられている視点だと思います。

ドイツ、一国潔癖主義

2017年10月3日   岡本全勝

朝日新聞オピニオン欄9月27日「求められるドイツ」、ヤン・テッハウ(ドイツのシンクタンク所長)の発言から。
・・・戦後西ドイツの国家目標は、国際社会への復帰、東西ドイツの統一、経済の再建、そして戦争を二度と起こさないことでした。ドイツは半世紀かけ、これらの目標をすべて達成したのです。
その要因は、戦後一貫してドイツの国際政治を特徴付ける「戦略性の欠如」です。「国益」を考えないこと、と言い換えてもいい。国際社会の厳しい現実に目を向けずに済んでいたのです。
戦後の国際社会にとっての「ドイツ戦略」は、隣国を攻撃させないこと、欧州共同体(EC)など西欧の枠組みに組み込むことでした。ドイツの国益を考えない「控えめさ」が、「国際社会復帰」という国益をたまたまもたらしたのです・・・

・・・では、どうしてドイツはこうした「政治的戦略」に疎かったのか。
ドイツは、2度の世界大戦での敗北から「歴史的に間違った側に立ちたくない」という意識が強い。加えて、国土が何度も戦場になってきた。三十年戦争(1618~48年)もその一つ。そして、西ドイツ時代は主権が制限され、安全保障は米国任せ。外交は「欧州を大事にする」と言っていればよかった。だから「一国潔癖主義」に閉じこもっていられたのです。
そうした時代は終わりを告げようとしています。第一に、ドイツは経済的に指導力を持ち、その発揮を欧州も望んでいる。トランプ政権が生まれ、米国の欧州への関与も関心も減るでしょう。これからは、ドイツ人が避けてきた地政学を学び、「戦略」を見定めなければなりません・・・

戦前の膨張主義と敗戦を経験して、戦後日本は、一国平和主義、一国繁栄主義に閉じこもっていました。その日本にとって、ドイツはお手本、あるいは鏡です。
もちろん、ヨーロッパの情勢とアジアの情勢とは、異なります。

政と官の関係の変化

2017年10月2日   岡本全勝

朝日新聞10月1日の「安倍政治を問う5」は、官邸主導による行政を検証しています。この20年間の政治と行政において大きく変わった一つが、官と政との関係でしょう。詳しくは本文を読んでください。

まだ、政治学も行政学も、この変化の全体像を分析することも、記述することもできてていません。官僚も、積極的な発言をしていないようです。この記事のような、事実の記述と分析が積み重なって、評価の枠組みができるのでしょう。
その場合は、次のような論点が必要です。何が、どのように変わったか。その変化は、なぜ起きたか。制度改革によるのか、運用によるのか、社会条件の変化によるのか。当事者は、どのような行動をとったか。改革の意図と結果はどのように違うか。構造として変わったのか、時の内閣によって変化するものか。マスコミと国民はどのように評価したか・・。

私も、興味を持って勉強していました。というか、私のライフワークは、これなのです。このホームページでも「政と官」という分野を作り、「行政構造改革ー日本の行政と官僚の未来」という連載もやっていたのですが。その後、忙しさにかまけて、放置したままです。いつものように反省。