カテゴリー別アーカイブ: 行政

行政

大震災から14年

今日は3月11日。2011年3月11日の東日本大震災から、14年が経ちました。14年間は、発災直後から関与した私にとっては、長かったような、短かった年月です。「2011年4月2日の記事
被災地の皆さんにとっては、いつまでも忘れることのできない、ついこの間のことかもしれません。他方で、あの災害を忘れてはいけないのですが、生かされた人にとっては、現在と未来も重要です。

各報道機関が、特集を組んでいます。NHKウエッブが、「東日本大震災 宮城 岩手 福島 定点で見つめる14年」を動画で載せています。宮城県石巻市と岩手県大槌町は街の復興がよくわかります。福島県大熊町は原発事故の避難指示が解除されるまでは、作業に入ることができませんでした。ようやく、一部の地域で工事が始まっています。
100か所にカメラを据えた定点映像」もあります。

津波被災地では、モノの復旧はできたのですが、産業などが元に戻りません。これは、過疎地一般に共通することです。原発被災地は、帰還できるようになった時期によって、復興状況に濃淡があります。まだまだ、元の暮らしは戻っていません。
時間がかかりますが、事故を起こした政府として、復興の責任を果たさなければなりません。

復興を本業に、アイリスオーヤマ

朝日新聞経済面に、「アイリスと3・11」が載っていました。2月28日は「復興へ、企業には企業の役割」、3月1日は「なぜご飯?東北の支え、もしもの備え」です。このホームページでも紹介してきた、アイリスオーヤマと舞台ファームの事業です。

アイリスオーヤマは、プラスチック製品から始まり、LED電球、家電、マスクなどにも手を広げてきました。
・・・そんな同社が今、成長の柱として注力するのがパックご飯や飲料水を中心とした食品事業だ。24年の売上高は420億円で前年から130億円増加。30年には1千億円に伸ばす目標を掲げる。米国のほか東南アジアなどへの輸出も強化し、1千億円のうち輸出額で100億円を占める計算だ・・・
・・・同社は13年、仙台市の農業生産法人「舞台ファーム」とともに、新会社「舞台アグリイノベーション」を設立し、精米事業に乗り出した。
舞台ファームは津波で田んぼや備蓄米などが壊滅的な被害を受け、倒産寸前になっていた。アイリスが支援する形で提携し、14年には宮城県内で精米工場を稼働。東北の契約農家のコメを買い取って、ブレンド米として販売し始めた。
だが、利益を出すのは難しかった。当時、コメはスーパーの集客のための特売品で、流通側で1円でも安くしようとする。消費者にとっても「コメは安く買うもの」という常識があった。

そこで、大山は「加工したら、過剰な価格競争からの脱却も可能になる」と踏み、15年、コメを加工したパックご飯事業に参入。17年には角田工場(宮城県)に生産ラインを新設し、自社生産を始めた。添加物を使わないという差別化も図り、災害に備えた備蓄商品の拡充という狙いもあった。
当初は振るわなかった食品事業の市場が一気に変わったのは新型コロナ下だった。自治体が感染者に配る自宅療養セットにアイリスのパックご飯が採用され、認知度が向上。非常食としてパックご飯を買う人も増え、食品事業の売上高は20年には200億円、24年には420億円となった。

社長の大山晃弘は「震災復興をCSR(企業の社会的責任)的にやるのではなくて、しっかり本業の中に組み入れてきた」と話す。食品事業は今や会社の成長を占う事業となっている・・・

持ち家のない氷河期世代

2月16日の日経新聞1面は、「安住の家なき氷河期世代 所有率低下 40代は6割切る」でした。

・・・40〜50代の持ち家率が急低下している。国の最新の調査では全世代平均は横ばいだが、30年前と比べ10ポイント前後も下がった。このまま高齢期に近づく人が多い。今のこの年代は就職氷河期世代といわれ、就職難に見舞われた。現在も経済的な苦境は続いており、老後の年金も多くを望めなければ賃貸に住むこともままならない。「安住の家」を求めてさまよい続けることになる。

内閣府によると、就職氷河期世代はおおむね1993〜2004年の間に社会に出た人を指す。日本総合研究所の下田裕介・主任研究員は「全体では2000万人を超えるとみられる」と分析する。実に総人口の6分の1だ。
5年に1回実施される総務省の住宅・土地統計調査では、持ち家率が最新の23年で40代58%、50代65.5%。30年前と比べ、いずれも10ポイント前後も低下した。ほかの世代と比較しても低下幅が大きい。

氷河期世代の持ち家率低下の一因と考えられるのが経済的苦境だ。文部科学省によると、大卒の就職率はバブル期の91年卒に比べ5〜26ポイントほど低い。就職できても収入は伸び悩む。厚生労働省によると、40代から50代前半の年収増加率は23年までの10年、ほかの世代より低く推移した。
年収の低迷は住宅の購入を抑制した。総務省の国勢調査で20年時点の男女の未婚率を30年前と比べると、全世代では1.2〜3.1ポイントの上昇にとどまっているのに対し、40〜50代は10.3〜21.5ポイントも上がった。「経済的に不遇で結婚できなかった人が多かった点は見逃せない」(下田氏)。住宅購入の大きな動機でもある結婚や出産の機会が訪れなかった人も多い・・・

石破首相の掲げる「楽しい日本」

2月18日の日経新聞オピニオン欄に、小竹洋之・コメンテーターの「「楽しい日本」が突く本質 成長と幸福の追求両立を」が載っていました。石破首相が施政方針演説で掲げた「楽しい日本」に関してです。私は「楽しい日本」は、一つの目標としてよいことだと思います。問題は、首相になって唐突に掲げられたこと、具体的な道筋などが説明されていないことです。

・・・先の施政方針演説は、その延長線上にあったのだろう。明治維新後の「強い日本」、第2次大戦後の「豊かな日本」に続く「楽しい日本」を目指す――。作家で経済企画庁長官も務めた故堺屋太一氏の遺作「三度目の日本」に倣い、多様な価値観を持つ国民全てが輝ける国家づくりを唱えた。
「軽薄」「幼稚」「優先順位が違う」……。国内の評価は芳しくない。多くの人々が物価高にあえぐなかで、これからは「楽しい日本」だと胸を張られても、違和感を覚えるのはやむを得まい・・・

・・・国民の豊かさを示す1人当たりの名目GDPは、23年のドル換算で経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国の22位にとどまり、主要7カ国(G7)では最低の水準に沈む。22年に韓国に抜かれただけでなく、24年には台湾にも追い越されていた可能性がある。
堺屋氏の遺志を継ぐ石破氏も、「強さ」と「豊かさ」が伴ってこその「楽しさ」だと言いたかったようにみえる。何より「失われた30年」と呼ばれる長期停滞から確実に脱却できなければ、国民の共感を得るのは難しかろう。
米誌フォーチュンがまとめた世界の主要企業500社の売上高番付をみると、日本企業は過去30年弱で約150社から約40社に減った。内閣府によれば、日本の非金融法人が抱える現預金残高のGDP比率は60%で、米国の17%やドイツの20%を大幅に上回る・・・
・・・成長が全てだと言いたいのではない。1人当たりのGDPが増えても、国民の幸福感が高まるとは限らない――。米経済学者のリチャード・イースタリン氏が1974年に唱えた「幸福のパラドックス(逆説)」は、成熟した今の先進国で一層重い意味を持つ。
さりとて安易な脱成長論や反成長論に傾くわけにもいくまい。衣食住を満たす最低限の経済基盤が侵食されたままで、幸福を感じるのが難しいのは、インフレ下の世界を見渡せばよくわかる。冒頭の漁師もそれは同じだろう。

日本で成長と幸福をどう両立させるのか。大企業がグローバルに勝ち抜く「強さ」。地方の主要拠点への集住やサービス業の活性化で実現するローカルな「豊かさ」。モノ消費からコト消費(観光、グルメ、エンタメなど)への移行で得る「楽しさ」。IGPIグループの冨山和彦会長が訴えるのは、3つの目標の同時追求だ。
戦後の日本は安全、安心、清潔、正確、平等を保証する「天国」を官僚主導で築き上げた一方、面白みや「3Y(欲、夢、やる気)」のない社会をもたらした――。堺屋氏の著書には、確かに考えさせられるところが多い。

「『楽しい日本』の本質は画一性を排し、多様性を引き出すという点に尽きる。石破氏が学ぶべき点もそこにあるのではないか」とニッセイ基礎研究所の小原一隆主任研究員は話す。個性を封じる日本型システムの諸改革は、成長にも幸福にも資するはずだ。
トランプ米大統領の高関税砲などで、世界経済の行く末が案じられる時に、悠長な議論に過ぎると切って捨てるのはたやすい。だが国力を強めつつ、国民のウェルビーイング(健康で満ち足りた状態)を高めるのは永続的な課題だ。「楽しい日本」の発想そのものを、葬り去ってしまうのは惜しい・・・

自殺者の8割、生前に行政と接点

2月13日の日経新聞夕刊に「自殺者の8割、生前に行政と接点 江戸川区、職員は「命の門番」に」が載っていました。

・・・自殺した区民の8割以上が生前に区と接点があった――。2024年9月、東京都江戸川区がこんな調査結果を公表した。ある1年間に自殺した103人と区の関わりを調べたところ、申請手続きや生活相談などで8割以上と何らかの接点があった。苦悩する区民との「点」のつながりを行政はどう生かせばいいのか。現場で模索が始まっている・・・
・・・区は全庁を挙げて、自殺者との接点を調べることにした。中心となったのが健康部の大沢樹里副参事といのちの支援係の係長だ。ある1年間に自殺したと判別できた区民103人について、関わった部署や時期、内容などを調査。一般社団法人「いのち支える自殺対策推進センター」とも連携協定を結び、調査結果の分析を依頼した。
約1カ月をかけた調査の結果は、関係者も予想外の内容だった。
自殺者103人のうち接点があったのは85.4%の88人。住民票や戸籍の手続き、各種申請、生活上の相談などで29部署に何らかの関わりがあり、うち17課は相談を受けていた。

中でも目立ったのが、税金や社会保険料の滞納を巡る相談だ。督促や催告を担当する「納税課」や「医療保険課」、「介護保険課」などが10人以上から相談を受けていた。
生活保護の申請を受け付ける「生活援護課(第一〜三)」や、精神疾患や心の悩みなどに対応する「保健予防課」にも複数人から相談があった。
相談はないが、接点となる機会が多い部署の存在も分かった。例えば、転出入届の窓口となる「区民課」は50人を超える区民と接点があった。
経済的に困窮している人は精神的にも追い詰められている可能性が高い。
転居の背景には離婚や転校、転職など様々な家族の事情がある。生活環境の変化そのものが精神的な負担となる場合も少なくない。
大沢さんは「『自殺対策は全庁で取り組む』という目標を掲げていたが、各部署へのヒアリングで職員の意識に差があったことも分かった」と振り返る。

区は昨年9月、調査結果を公表し、対策強化に取り組んでいる。
8月下旬には管理監督職865人全員に理念研修を実施。いのち支える自殺対策推進センター代表理事でNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」の清水康之代表が登壇し、部署間の連携を深めて点と点を線で結び、面にしていく重要性を説いた。
陸上のリレー競技に例えて「バトンを落とすことなく、しっかりと必要な部署につないでほしい」と呼びかけた・・・