カテゴリーアーカイブ:行政

復興10年の検証、朝日新聞

2021年1月11日   岡本全勝

1月11日の朝日新聞1面は、「東日本大震災10年 3・11の現在地」「「創造的復興」でも故郷を離れた」でした。
・・・「創造的復興」。この言葉に始まった東日本大震災からの復興事業は、規模・内容ともに前例のないものとなった。
壊滅した沿岸のまちをつくりかえ、かさ上げしたり高台を造成したりした。お金の調達には、25年にわたり所得税を上げるなどの増税を実現し、被災自治体の地元負担をゼロとする仕組みにした。企業の施設復旧にもお金を投じ、住民のコミュニティー再建も支援した・・・

復興の基本方針をつくった復興構想会議からの動き、地元負担なしから一部負担導入へ、町づくりの見通しと結果とのズレなどを、関係者の証言を集めて検証しています。

2面に、私の発言も載っています。
・・・復興次官を務め、10年の大半で復興政策に関わった岡本全勝氏が昨年11月、取材に応じた。10年について「行政哲学の大転換だった」と振り返りつつ、反省を口にした。
「インフラ偏重となった面はある。なりわい再生やコミュニティー再建にもっと重点を置くべきだった」・・・

かさ上げ事業の検証、読売新聞

2021年1月10日   岡本全勝

1月10日の読売新聞1面に、「東日本大震災10年秘話 復興事業」「かさ上げ 歯止めなく 陸前高田」が載っていました。
・・・巨大津波と原発事故。東日本大震災は、誰も経験したことのない未知の複合災害だった。2011年3月のあの日から間もなく10年。いまも記憶に残る象徴的な出来事をたどり直してみた。語られたことのない秘話と真相が浮かんできた・・・

私の発言も、紹介されています。
・・・この春、ようやく終わる土木系の復興事業がある。岩手県陸前高田市のかさ上げだ。東京ディズニーランド2個半分の広大なエリアに、東京ドーム9個分の土を盛り、海抜10メートルの街に造りかえる。被災地で群を抜く規模の事業だが、初期構想はわずか2メートルだった。2年余の間に4段階で5倍に膨れあがったのだ・・・
・・・当初1201億円だった事業費が1657億円に膨らんでも、痛みは感じない。政府は復興増税などを財源に、自治体負担をゼロにしたからだ。復興庁次官を務めた岡本全勝氏は「事業規模を抑える誘因を摘んでしまった」と指摘する。復興計画に携わった学者は「ブレーキのない車みたいだ」と感じていた・・・

24ページには、より詳しく経緯が検証されています。
・・・かさ上げが拡大したことについて、市復興対策局長を務めた蒲生琢磨さん(64)は「津波の恐怖が消えない人は多く、二度と被災しない安全な街にするというのが、復興に携わる者の共通認識だった」と強調する。
ただ、裏方メンバーだったコンサル担当者は「今後、さらに人口が減る陸前高田で、こんな大きなかさ上げをして、活用される見込みがあるだろうかと疑問に感じた。だが、『一日も早く』『より安全に』という雰囲気で、意見を言い出せなかった」と振り返る。
一方で、検討委員の多くは被災者でもあった。ある男性委員(76)は「周りの委員は家などを失い、どう家族を養うかということで頭がいっぱい。市の方針に、住民が異論を挟めるような状況でなかった」と話す。
委員を務めた学識経験者の一人は「陸前高田は被災範囲が広く、他自治体より復興計画の策定が遅れた。市は計画作りを急いだが、大規模な都市計画を作るノウハウはなく、コンサルなど専門家の提案が通ってしまった」と解説する。「地元が意見を言えないなら、自分たち外部の者が『身の丈に合った計画に』と言うべきだったのかもしれない」・・・

大震災から10年が経つので、各紙が検証を始めています。私たちは、前例のないことに取り組んだため、そして一日でも早く復興させるため、走りながら考えました。その時点時点では、良いと考えて進めました。復興事業がほぼ完成した今、改めてどこが良かったかどこが足りなかったか検証することは、良いことです。今後の政策の教訓にして欲しいです。
地方負担については、「朝日新聞インタビュー「ミスター復興が語った後悔と成果」」「復旧事業費地方負担なし、関係者の声」。

省庁再編から20年

2021年1月6日   岡本全勝

1月6日で、省庁再編から20年が経ちます。新しい府省が発足したのが、2001年1月6日でした。省庁改革本部での体験を書いたのが「省庁改革の現場から」です。10年前には、次のように書いていました。「省庁再編10年」。その後、復興庁、出入国在留管理庁ができました。デジタル庁設置の作業が行われています。

かつては、5年か10年のうちには、もう一度、省庁再編(大規模なものでなく、見直し)が行われるだろうと、予測していました。いくつか小規模な変更は行われましたが、再編はありませんでした。
省庁再編には、膨大なエネルギーがかかります。それを提言し実行するだけの、理念が必要です。私は他方で、「国民生活省構想」を提起しています。「厚労省再編案」。1月6日の日経新聞は「くすぶる厚労省改革論 省庁再編20年、コロナ後に検証」を紹介しています。

また、省庁改革は、省庁再編だけでなく、内閣官房や内閣府の強化(政治主導の強化)、行政機能と組織の減量、独立行政法人制度の創設、政策評価と情報公開を含んでいました。いずれも、形としては達成しました。また定着しましたが、政治主導の強化は試行錯誤中でしょう。
さらに、省庁改革が目指したものは、「この国のかたち」の再構築でした。これは、まだまだでしょう。それを念頭に、連載「公共を創る」を書いています。

地域のブログ紹介

2021年1月6日   岡本全勝

今日は、地域で書き続けておられるブログを紹介します。「星々のつぶやき」です。
匿名のようですが、記事を読むと、福島県いわき市の公務員のようです。
大震災時の体験なども、書かれています。その地で繰り広げられた戊辰戦争の紹介も。タイとの交流など、なかなかの勉強家のようです。すばらしい部下も持っておられます。
地域の話や仕事の話など、地に足をつけた話題で、安心して読むことができます。

地方の話題としては、「自治体のツボ」も元気に記事を続けておられます。

政治課題、孤独

2021年1月5日   岡本全勝

1月5日の朝日新聞「この声、届いてますか コロナ禍の日本と政治」は、秋山訓子・編集委員の「孤独 チャット越し、あなたの叫び受け止めて」でした。
・・・生きづらさを抱えている。日々苦しい。でも、相談できる人がいない。そんな孤独を、24時間365日のチャット相談が受け止め続けている。
「生きる意味がみつからない。死にたい」「今から路上ライブ活動です。応援してほしくて」
昨年12月の週末、午前0時過ぎ。パソコンの画面に次々と文字が現れてくる。
大空幸星(こうき)さん(22)が返事を打ち込んでいく。「相談は特に深夜が多いです」

慶応大学3年生の大空さんは昨年3月、24時間365日、ネット上のチャットで悩み相談に応じる「あなたのいばしょ」を友人と2人で始めた。初日に40件の相談が。これは大変、とボランティアの募集サイトでカウンセラーを募り始めた。時差を使って24時間対応ができるよう、海外在住の日本人にも呼びかけた。
新型コロナウイルス感染症が日本でも広がり始め、安倍晋三首相(当時)が「一斉休校」を要請した直後。相談は急増した。
「家で虐待を受けているから外に出たいが、学校も図書館も閉まっていて行き場がない」「コロナで仕事がなくなった」
昨年末までに相談を寄せた人は、2万5千人を超えた。対応するカウンセラーも研修中を含めると、米英仏、カンボジアなど世界19カ国に住む800人に膨らんだ。メンバーには、臨床心理士や大学教員ら「プロ」も多数含まれている・・・

全文をお読みください。大空幸星さんは、5日の読売新聞にも取り上げられています。「「共感」孤独な若者救う」。
孤独が、社会そして政治の大きな課題になっています。昨日は、読売新聞の記事を紹介しました。