カテゴリーアーカイブ:行政

日本経済低下の責任

2025年8月3日   岡本全勝

7月17日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、寺澤達也・日本エネルギー経済研究所理事長の「グローバル視点で議論」に次のような発言が載っていました。

ー失敗や挫折の経験はありますか。
「1984年、通商産業省(現経済産業省)に入省して以来30年以上、日本経済の強化を担う組織にいた人間として、この30年の日本経済の地位低下に関しては責任を感じています」
「例えば日本の半導体産業は88年には生産額のシェアが50%を超えるなど、世界をリードする存在でしたが、現在では10%程度まで落ち込みました。90年代以降、台頭した韓国、台湾などの新勢力、米国のシリコンバレーの動きなどへのインテリジェンスの弱さ、失敗から学ぶ戦略が欠如していたことが日本の産業競争力低下につながった側面があると思います」

大好評、福島の桃

2025年8月1日   岡本全勝

7月31日の朝日新聞夕刊に「あかつき、フィーバー 直売所に行列、数百箱50分で完売 福島のモモ」が載っていました。

・・・モモをめぐり、一大産地の福島が毎週末、大変な事態になっている。直売所に開店前から長い行列ができるのが、当たり前の光景になった。予想を超える「モモフィーバー」に、JA関係者も「こんな人気は初めて」と驚く。早朝の直売所を訪れてみると……。
日曜の27日午前7時半。福島市郊外にあるJAの農産物直売所「ここら矢野目店」には、すでに260人の行列ができていた。駐車場は満車で、とまっていた100台のうち、29台は県外ナンバーだった。
目当ては「あかつき」だ。硬さが特徴で、糖度が高く、福島県のモモ生産量の約半分を占める主力品種。贈答品としても人気だ。ただ、収穫時期が7月下旬から8月中旬の2週間ほどと、旬は短い。
行列の3番目に並んでいた男性(65)は栃木から来たという。先週も福島に来て2店を回ったが「あと一歩で買えなかった」。今回は「一番乗りして必ず手に入れる」と午前6時半に訪れたが、すでに2組がいた・・・

・・・店は午前9時に開いた。1箱12~13個入りで、値段は1600円前後。用意された数百箱分は50分で完売した。最後の1箱を手にした、埼玉県志木市の女性(66)は「モモは柔らかいものだと思っていたが、去年初めて硬いモモのあかつきを食べ、はまってしまった。買えてラッキーでした」
開店前に並んだ500人近くは、全員が買うことができた。店のスタッフによると、あかつきが販売されるこの時期、年々人出は増えているが、ここまでの行列になったことはなかった。並んでいた福島市の女性は「地元にいながら、あかつきを買うのがこんなに大変になるとは」と嘆く。
店のスタッフは「なぜ急に人気になったのかは、私たちもわからない」と話す。県外客が一気に増え、知名度が上がったのはうれしいが、「これ以上増えると、どう対応したらいいのか」・・・

福島の桃は、おいしいのです。でも、他の産地より出荷が遅いので、隠れています。
私は福島復興に従事してから、そのおいしさを知って、果樹園から直送してもらっています。

移民政策の矛盾

2025年8月1日   岡本全勝

7月23日の日経新聞一面「検証・日本の針路(2)」は、斉藤徹弥・編集委員の「外国人共生へ建前を排せ 移民政策の矛盾が露呈」でした。

・・・参院選での参政党の台頭は、在留外国人やインバウンド(訪日外国人)の増加に国民がうすうす感じている不満を顕在化させた。政府が建前では「移民は受け入れない」としつつ、現実には外国人の受け入れを増やしてきた矛盾が露呈したといえよう。
人口減少が進む日本では、外国人の力を借りなければ人手不足で社会機能を維持することもままならない。排外主義の芽を摘み、民主主義を守ってゆくためにも、建前を排して外国人の社会統合を真剣に考えるべき時期を迎えている。
参院選の終盤、政府は急きょ「外国人との秩序ある共生社会推進室」を内閣官房に設置した。その慌てぶりは、政府がこれまで外国人政策を自治体任せにし、本気で取り組んでこなかったと認めたに等しい・・・

・・・より重要なのは社会になじんでもらうための共生の充実だ。政府にも共生社会に向け中長期的な課題を挙げたロードマップはある。だが定住を前提とした移民と認めず、あくまで一時的な滞在者との位置づけでは共生にも力が入らない。
ドイツは第2次大戦後から多くの外国人労働者を受け入れてきたが、移民と認めたのは2000年代に入ってからだった。そこから社会になじんでもらう統合プログラムを始めた。
外国人がコミュニティーを形成するのは自然の流れだが、それが閉鎖的になるのが問題だ。英国は外とのつながりをどの程度保っているかを統合の指標として見える化し、社会の分断を防ごうとしている。
こうした取り組みにもかかわらず、欧州では難民危機などもあって排外主義的な勢力の台頭が著しい。日本の在留外国人は総人口の3%だが、増加ペースは年々高まり、参院選で現れたような反発もくすぶる・・・

・・・社会統合を考える際は、既存の制度をより透明でわかりやすいものにしていく視点も要る。外国人に選ばれる国になるうえで重要であり、それは日本人にとってもよいことだ。
外国人政策は対外政策の意味もある。学生支援では自国民を優遇する国も多いが、日本は平等主義が一般的だ。留学生の受け入れは各国の指導層に知日派を育てるソフトパワー戦略であると考えたい・・・

長期休み「1日2食以下」の子、3割超

2025年7月28日   岡本全勝

7月15日の朝日新聞に「休み「1日2食以下」の子、3割超 物価高でより深刻「支援を」 困窮する子育て家庭、NPO調査」が載っていました。

・・・止まらない物価高やコメの高騰が、困窮する子育て家庭を直撃している。「長期休みは給食がないので食費に余裕がなくなる」「高くてコメを1年間買っていない」。支援団体のアンケートには切実な声が寄せられ、夏休みを前に協力を呼び掛けている。

認定NPO法人「グッドネーバーズ・ジャパン」(東京都)は6月3日~11日、学校給食がなくなる長期休みの状況を尋ねるアンケートを実施。低所得のひとり親家庭の保護者2105人が回答した。
長期休み中の家計について、97・7%が「やや苦しくなる」「かなり苦しくなる」と回答。「給食がないので食費に余裕がなくなり、生活が逼迫する」「家で過ごす時間も長くて電気代も増えるし、苦しみしかない」といった声があった。
子どもの1日の食事回数は、学校給食のある期間は「2回以下」が12・9%。長期休みに入ると32・2%に増え、約4割が「経済的に余裕がなく家庭で十分な食事を用意することが難しいため」と答えた。

コメ価格の高騰を受け、67・1%が「パンや麺類などで代用する」、58・0%が「自分が食べるコメの量が減る」と回答した。
グッドネーバーズ・ジャパンでは、所得の低いひとり親家庭に食糧を配っている。代表理事の小泉智さんは「食品を取りに来る方が激増し、こちらで調達する量も増えている」と話す。

認定NPO法人「キッズドア」(東京都)も5月23日~6月2日、困窮する子育て家庭にアンケートし、2033世帯から回答があった。約半数の世帯で年間の所得が200万円未満だった。
物価高騰によって、99%が前年同時期よりも家計が厳しくなったと答え、「食費が増えた」世帯も90%に上った。前年同時期と比べて、約3割で子どもの食事の量が減り、約8割で保護者の食事の量が減ったという結果だった。
自由記述欄には、「高くて、1年間コメを買っていない」「子どもの体験、経験、学力不足を気にしている」などの回答があった。
子どもにお小遣いを毎月または時々あげている家庭は、小学生33%、中学生47%、高校生49%。「お小遣いをあげることができず友だちと付き合わない生活をするようになり、不登校になった」との声が寄せられた・・・

人事院白書、公務員のやりがい

2025年7月27日   岡本全勝

人事院の「令和6年度年次報告書」(6月6日公表)は、国家公務員が世間でどのような印象を持たれているかという意識調査をしています。「第2部 「選ばれる」公務職場を目指した魅力向上・発信戦略~働く場としての公務のブランディング~ 第1章 公務のブランディングの必要性 第3節 国家公務員に対して持たれているイメージ」

この調査は、2025年2月に、職業等を問わず6000人を対象に実施しました。他の業界と比較する形で実施し、比較する業界として、人材獲得において国家公務員と競合する可能性の高い、商社、コンサルタント・シンクタンク、金融機関、メーカー、地方公務員を設定しています。
「やりがいのある仕事ができているイメージがあるか」という設問では、国家公務員(本府省と地方機関勤務とも)も地方公務員も、他の業界に比べて、肯定的回答の割合が低いのです。白書は、「公務員全体に対して、やりがいについてポジティブなイメージを持たれていないことが分かる」と述べています。なお、この項目では、金融機関も低いようです。
「仕事を通じたスキルアップや成長の機会が多いイメージがあるか」という設問への回答においても、国家公務員も地方公務員も、他の業種に比べて肯定的回答の割合が低いです。

「第2部  第2章 公務職場の魅力の整理」には、次のような紹介もあります。
「マイナビ2026年卒大学生公務員のイメージ調査」(2025年2月17日株式会社マイナビ)によれば、国家公務員と地方公務員を含めた「公務員」になりたい理由について、公務員を就職先として考えている人では、「安定している」、「休日がしっかりとれる」という項目に次いで、「社会的貢献度が高い」、「社会・市民のために働ける」が挙がっています。
転職希望先では、「ビジネスパーソン6500人に聞いた「官公庁・自治体への転職」意識調査」(2025年1月6日エン・ジャパン『エン転職』『AMBI』『ミドルの転職』3サイト合同調査)では、「官公庁・自治体への転職に興味がある」と回答した者が興味を持つ理由の上位は、「安定した収入を得たいから」、「仕事を通じて社会貢献をしたいから」となっています。

これに対して、国家公務員採用総合職試験等に合格して2024年4月に採用された職員へのアンケートでは、国家公務員になろうとした主な理由は、「公共のために仕事ができる」、「仕事にやりがいがある」、「スケールの大きい仕事ができる」が上位となっています。総合職では、「安定している」ことではなく、やりがいが理由になっているのです。もっとも、転職希望者調査でも「仕事を通じて社会貢献をしたいから」が二番目であり、これも広い意味で「やりがい」でしょう。

では、現役官僚はどう考えているか。内閣官房内閣人事局の2023年度「国家公務員の働き方改革職員アンケート」では、「私は、現在の仕事にやりがいを感じている」という問について、「とてもそう思う」が12・5%、「どちらかと言えばそう思う」が45・5%、合わせて58%です。他方、「まったく思わない」が6・2%、「どちらかと言えばそう思わない」が12・6%で、合わせて18・8%です。「どちらとも言えない」が23・2%です。6割が満足し、2割が不満を持っています。これは、満足度が高いと考えても良いのでしょうか。
その際に、働きがいと関連している割合が高いものは、「成長を実感できている」、「国民・社会に貢献していると実感できている」です。他方で、数年以内に離職意向を有する職員についてその要因を見ると、「自分にとって満足できるキャリア形成ができる展望がない」に次いで「成長実感が得られない」が高くなっています。現役職員については、「成長実感」の有無は、働きがいと離職意向の双方に関連しています。