カテゴリーアーカイブ:行政機構

政策の検証

2016年4月29日   岡本全勝

キャノングローバル戦略研究所のサイトに、岡崎哲二と星岳雄さんによる、「政府のイノベーション政策はなぜ失敗続きだったか-第2回 成果を検証する厳密な政策評価が必要だ」(日経ビジネスオンライン2015年10月26日掲載)が載っています。
筆者の主張は読んでいただくとして、ここで取り上げたのは「政策の検証の必要性」についてです。
・・・本稿では、いままでの日本におけるイノベーション政策の主なものを振り返る。特に問題とするのは、30年以上にわたるイノベーション政策の効果が、必ずしも明らかではないことである。日本経済の長期停滞状態を払拭するような、イノベーションに基づく経済成長のシステムはいまだ確立されておらず、現在進行中のアベノミクスにおいてもイノベーション政策が大きな課題になっている・・・
・・・ナショナル・プロジェクトなどの研究開発投資支援策の効果については、参加者の自己評価を超えた客観的効果に関する研究は見当たらない。企業促進政策も、厳密な政策評価がなされたものはなく、そもそも政策によって提供された優遇措置の利用実績が低調なものも多い。
政策の効果を厳密に確かめることなく、同じような政策が主に名前だけを変えて繰り返し実施されてきた。例えば、リスク・キャピタルの供給を目的に、日本政策投資銀行や商工中金といった公的金融機関を使った数々の試みが行われてきたが、それらの政府系機関によるリスク・キャピタルの供給実績は不十分であったと言わざるを得ない・・・
・・・このように、政策の効果は、その政策がなかった場合に起こったであろう状態と比べることによって、評価されなければならない。これは一見難しいと思われるかもしれないが、そのための手法はここ20年ほどの間に飛躍的に進歩した。
日本のイノベーション政策に欠けていたのはこの種の厳密な政策評価である。日本政府は早くからイノベーション型経済の発展を促す上で政策が重要と気づいており、多くの政策を試みてきた。
しかし、厳密な政策評価を伴わなかったので、どのようなイノベーション政策が効果的なのかはいまだ明らかではない。アベノミクスのもと、政府は再度数多くのイノベーション政策を試そうとしている。今度こそ、厳密な政策評価を行ない、そこから学び、政策を調整していくことが肝要である・・・
第1回第3回
イノベーション政策に限らず、政府が行った政策について、より客観的かつ長期的視野に立った評価が必要です。毎年の事業や予算を評価するのではなく、例えばその省・局の10年程度の評価です。各役所は「これをします」「これをしました」という表明は多いのですが、その結果を検証することは、十分に行われていないようです。

6割の人が公共サービスに満足

2016年3月22日   岡本全勝

NHKニュースによると、医療や介護、子育て支援などの公共サービスに満足していると答えた人が、10年前に比べ30ポイント以上増え、60%近くに上ったとのことです。内閣府の世論調査結果です。
・・・公共サービスに満足しているか聞いたところ、「満足している」が58.7%だったのに対し、「満足していない」が12.6%、「どちらともいえない」が24.7%でした。これを10年前の調査と比べてみますと、「満足している」が30.6ポイント増えたのに対し、「満足していない」は17.8ポイント減りました・・・
すばらしいことですね。とかく行政のすることには、批判が多いのですが。内閣府の元資料を探し出したら、リンクを張ります。(2016年3月19日)
19日に紹介した件です。内閣府のホームページに、調査結果が載りました。「将来の公共サービスのあり方に関する世論調査」の「身近な公共サービスの評価について」です。

業務の取り組み方針を公表する、金融庁

2015年9月18日   岡本全勝

9月18日に、金融庁が「金融行政方針」を公表しました。これは、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかを、明らかにしたものです。「主なポイント」が、わかりやすいです。見ていただくと、金融庁の使命(p1、はやりの言葉で言うとミッション)、課題と目標(p2、3、4、5)のほか、金融庁自身のガバナンス改革(p6、7)も明らかにしています。
良い試みですね。国民や金融関係者に、金融庁の仕事の目標ややり方を明らかにすること、そして自らの組織と意識改革も明らかにする。行政機関に限らず、すべての組織に必要なことでしょう。
復興庁の場合は、使命と目標は比較的明確です。そして、達成度合も、かなりの項目で数値化でき、それをお見せしています。

国の財政の全体像・分析

2015年8月4日   岡本全勝
6月22日読売新聞に、「特別会計見直し本格化」の記事が載っていました。一般会計予算82兆円の他に、特別会計予算が合計387兆円あるとのことです。母屋より離れの方が、はるかに大きいのです。重複があるので、純計額はもっと少ないとはいえ。
ことほど左様に、わが国の国家財政は、全体像も各論もよくわかりません。地方財政の場合は、特別会計がいくつあろうと、普通会計と企業会計に分別して、集計し公表しています。また、普通会計にあっても目的別だけでなく、人件費や投資的経費など性質別にも分類して公表しています。決算もです。一方、国家財政の場合、特別会計を含めた全体像は不明ですし、決算も予算も性質別にはでてきません。人件費がいくら使われ、いくら余ったかもわかりません。
記事では、これまでの特別会計を利用した「特会とばし」や「隠れ借金」という手法が、批判されていました。財務省が改革に乗り出し、「予算削減を求めるだけでなく、情報を透明化して、各省庁に自己改革を促す」と書かれています。ある記者曰く「でも、これまでそのような予算編成をしてきたのは、財務省(大蔵省)ですよね?」

行政の構造的課題2

2015年8月4日   岡本全勝
(2)これまでの対応=行政改革
次に、このような問題に対し、どのように対応してきたか、しているかを述べましょう。
①行政改革の歴史
【別紙4】拙著「省庁改革の現場から」p161
これまでは、「総量規制:膨張抑制」「小さな政府:国営企業を民営化」でした。今取り組んでいる行政改革は、一歩踏み込んで「システム改革」です。すなわち、地方分権で地方を自立させる。規制改革で、民間への介入を小さくする。最後に、省庁改革で行政本体を変える。
②行政改革の分類と位置付け
小泉改革は多くの課題に取り組んでいます。覚えきれないくらい。私なりに「行政改革」「構造改革」を分類すると、こうなります。
【別紙5】「省庁改革の現場から」p218
③よりよいアウトプットを目指して
ア 組織改革
 器の改革=省庁改革
各省横断的会議【別紙6】
イ 政治主導(省庁改革)
 副大臣・大臣政務官
経済財政諮問会議
ウ 仕事の改革1=仕事の目標や仕方の改革
 情報公開、政策評価、行政手続法など
エ 仕事の改革2=分権改革・規制改革
【別紙7】「新地方自治入門」p244
オ 人の改革=公務員制度改革
これが、手つかずのままです。
4 もう一つ先の改革へ
(1)官僚(国家)に期待される役割の変化
①日本社会の成熟、国家(行政)目標の達成
20世紀型行政の終了、21世紀型行政への転換
【別紙8】「新地方自治入門」
②国家統治の「かたち」の変更
  国家の運用・行政の運用
ア 政治と行政の関係→「政と官」
イ 中央政府と地方政府の関係→「地方分権」
ウ 官と民間との関係→「規制改革」
「行政改革会議最終報告」平成9年12月(第1章 行政改革の理念と目標 )
(2)官僚はそれに答えているか
①官僚の問題
ア 「官僚批判」に答えているか
イ 発言や政策提言をしているか、議論する場はあるか
②仕組みの問題
ア 養成の問題(採用・昇進・退職後)
イ 大学教育(法学部教育の有効性)
ウ 研究(日本の行政の解説書、研究書は)
参考文献
この国のかたちと政治行政改革については、「行政改革会議 最終報告」(平成9年)
中央省庁改革については、拙著「省庁改革の現場から-なぜ再編は進んだか」(2001年、ぎょうせい)
戦後日本の政治と行政については例えば、山口二郎著「戦後政治の崩壊-デモクラシーはどこへゆくか」(2004年、岩波新書)
日本の行政の現状と課題については、拙著「新地方自治入門-行政の現在と未来」(2003年、時事通信社)
日本の官僚については、私のインタビュー「国家官僚養成に向けて」(月刊『時評』2004年10月号)
地方分権(三位一体改革と日本の政治行政改革)については、拙著「地方財政改革論議-地方交付税の将来像」(2002年、ぎょうせい)、拙稿「進む三位一体改革」(月刊『地方財務』2004年8、9月号)、
「続・進む三位一体改革」(月刊『地方財務』2005年6月号)