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経済

コンビニの進化と役割

コンビニの24時間営業の見直しが問題になっています。マスコミもたくさん取り上げています。4月16日の日経新聞オピニオン欄、中村直文・編集委員の「コンビニ、脱24時間の幸運 しくじり生かすとき」が、勉強になりました。

・・・「経営学の父」ともいわれたピーター・ドラッカー氏は1980年代から90年代にかけて何度かイトーヨーカ堂本社を訪れ、当時の伊藤雅俊社長らと交流を深めた。90年の「”新しい現実”の到来」と題した講演ではこんな言葉を贈った。「ヨーカ堂グループに敬服する点は、小売業の主流から落ちこぼれるはずだった個人的な商店に、商売の主流に乗る方法を提示したことです。これは偉大な社会革命といってよいでしょう」・・・

・・・規制強化を逆手にとって誕生したコンビニだが、90年代からは規制緩和が追い風になる。代表的なのが酒類やコメ販売だ。大型店やチェーンストアで売りやすくなると、多くの酒販店や米穀店がコンビニオーナーに転身。コンビニは担い手と買い手を引き寄せた。90年代末には栄養ドリンクが加わり、02年銀行法改正でセブン銀行がスタート。まさにドラッカー氏が「コンビニが商店を生まれ変わらせた」と見た世界の到来だ。
もちろん経済・社会のニーズも後押しした。今ではおなじみの電気やガス代の支払い、そして80年代に一気に広がる24時間営業だ。ニッポン株式会社は絶好調で、栄養ドリンク「リゲイン」のCM通り「24時間、戦えますか」状態。ここでコンビニは弁当、総菜など主力商品を柱とした24時間供給体制を完成させた・・・

そうだったんですね。この仕組みがなければ、個人商店は廃業し、町から商店がなくなったかもしれません。スーパーマーケットは残ったでしょうが、大型化し、遠くになったでしょう。
いまや、コンビニがない暮らしは想像できません。

このホームページでも、コンビニが被災地での重要なインフラであること「コンビニは災害支援インフラ」や、復興なった被災地でコンビニばかりが目立つこと「個人商店の消滅、コンビニの氾濫」を取り上げました。

AIは人に取って代わるか

4月7日の朝日新聞経済面「未来からの挑戦 接客ロボ「大量解雇」の誤算」から。

・・・名物の「コンシェルジュ」は、わずか半年でクビになった。
長崎県佐世保市のテーマパーク、ハウステンボスの隣にある「変なホテル」。フロントでは恐竜や女性のロボットが出迎えてくれる。2015年にオープンし、「ロボットが初めて従業員として働いたホテル」とギネス世界記録に認定された。そのロボットホテルで、「リストラ」の嵐が吹いている・・・

・・・17年のピーク時にホテル全体で27種、243体いたロボットたちは現在、16種128体と半分近くに減った。いずれはロボットの種類を1ケタにまで減らす。
「人手に頼らないホテルをめざしたのに、ロボットの面倒をみるために人手がかかってしまった」。大江岳世志・総支配人(35)は振り返る。当初の約30人から8人に減らした従業員が数時間かけて充電したり、インターネットにつないだりと、ロボットを働かせるために追われた・・・
・・・「ロボットは万能ではない。ただ仕事を一部任せれば人の負担は少し減る。どこまで任せるのか。丸3年やってみて、その切り分けが大切だと気がついた」と大江さんは話す・・・
この項続く

便益と隠れた費用

4月6日の朝日新聞オピニオン欄、安田陽さんの「再生エネの出力抑制、長い目で見ると得」から。本論ではないか所を紹介します。

・・・そもそも、なぜ再エネを入れるのでしょうか。それを考えるうえで、どうしても使いたい言葉が二つあります。「便益」と「隠れた費用」です。便益は費用と対になる言葉で、国民全体、地球市民全体が享受できるメリットのことです。特定企業の利益とは違います。隠れた費用は、化石燃料による大気汚染や地球温暖化、原発の事故対策コストなど、これまで十分考慮されてこなかった費用です。

これまで安いとされてきた石炭火力発電や原発に世界的にブレーキがかかっているのは、隠れた費用が本当は大きいという認識が広がったからです。隠れた費用の少ない再エネが、多い既存電源に取って代われば、社会的便益が大きい。だから各国は導入を促す政策をとっているのですが、日本ではそうした数字に基づく議論が乏しく、好き嫌いによるいがみ合いになってしまいがちです・・・

優位に立つ地理的条件?

世界史の新常識』(2019年、文春新書)が面白かったです。18人の碩学が、それぞれのテーマごとに解説した文章を集めたものです。
・古代ギリシアはペルシア帝国に操られていた
・ローマ帝国を滅ぼした「難民」と「格差」
・明を揺るがした日本の火縄銃
・産業革命がイギリス料理をまずくした
など、「へえ」と思うような内容、肩の凝らない話が並んでいます。

ところで、P131に、戦国時代に日本でなぜ鉄砲が急速に普及したかが、解説されています。
その理由の1つに、
火山国である日本では、火薬の原料になる硫黄が豊富に産出したことと、
同じく原料になる硝石は、日本では産出しないが、交易を通じて安定的に輸入できたことが、挙げられています。

???
面白いですね。豊富な原料とない原料。それがともに、普及を支えるのです。
「資源が豊かなこと」が産業発達の要素と思いますが、そうでもありません。戦後日本は、石油、鉄鉱石をはじめ資源が乏しい中で、工業発展に成功しました。そのような自然条件でなく、人間の意欲と努力が産業を興すことが、よくわかります。

インスタントラーメン、イノベーションの時代

3月26日の朝日新聞オピニオン欄「すぐおいしい即席麺60年」、西口敏宏・武蔵大学客員教授の発言から。

・・・インスタントラーメンは、大成功したイノベーションの一つです。即席麺を作る加工技術の発明よりも「安くて簡単ですぐ食べられる」という、それまで気づかれていなかった広大なマーケットを開発した意味が大きいと思います。世界への広がりやその速さは、生み出した安藤百福さんが思っていた以上だったのではないでしょうか。
日本でこのようなイノベーションが出てきたのは、戦後すぐから1960年代初めにかけてです。軍国主義や全体主義で押さえつけられてきた様々な能力が、産業だけでなく、文芸や映画などの芸術でも一気に花開いた時期です。国内外で市場が急拡大していたので、発明がニーズに合えば、ものすごくもうかる時代でもありました。
日本発では、インスタントラーメンのほか、トヨタ生産方式があります。参加者の意欲を引き出して作業を絶えず見直す「カイゼン」は、今も自動車産業だけでなく、サービス業や、特に英米圏での政府の仕事の仕方にも影響を与え、人類の歴史に残る貢献をしていると思います。

日本は長く欧米を追う立場でした。実際に見たり、触れたりできる具体的な課題を解決する能力にたけているため、特に製造業で追うことに向いていました。80年代後半から90年代に追いつき追い越そうというときに、満足してしまいました。目標を見失ったと言うべきかも知れません。生き残るためには「追いつき型」から脱皮し、ビジネスの仕方を根源的に変えなければならなかったのです。
逆に製造業が衰退していったアメリカは、90年代後半から一人勝ちです。起業家が新しい世界の諸資源のつなげ方、使い方を発見しようとITに向かい、イノベーションが束のように出てきました。グーグルやアップルなど、インターネットを使ったビジネスで、今や基幹産業です・・・