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社会

自転車ヘルメット着用率の地域差

NHKウエッブニュースが「自転車ヘルメット 着用率に地域差 愛媛は59.9% 新潟は2.4%」(9月14日掲載)を載せています。
・・・ことし4月に着用が努力義務化された自転車用のヘルメットについて、警察庁が都道府県ごとに「着用率」を調べたところ、最も高い県では60%近くに達していた一方、2%あまりにとどまっている県もあって、地域ごとの差が大きくなっています・・・

これだけも地域差があるとは。これは、なかなか興味深い現象です。日本人は、お上の言うことに従順だとか、世間の目を気にすると言いますが。年齢別、男女別ではどうなのでしょう。
昨日書いた「市民の行動変容」の重要な事例です。

学校を変える

8月22日の日経新聞「教育岩盤・突破口を開く」、工藤勇一・横浜創英中学・高校長の「学校改革で社会変わる」から。詳しくは原文をお読みください。

――近代学校制度の基礎となる学制の発布から150年がたちました。学校はどう変わりましたか。
「戦前や戦後しばらくの間、学校は時代の最先端を行っていた。学校で身につけた知識や技術はすぐに新しいものを生み出すのに役立った。今は時代の変化のスピードについていけず、学校は高校や大学などへ進学させるための組織になってしまった」
「学校は子どもを育てる場、見方を変えれば人材育成を実践的に研究する場だ。教員は人材育成の最も優れた専門家であるべきだが、最近では経営や人材育成のノウハウを民間企業に学ぶありさまだ。いつの間にか学校はすっかり遅れた場所となってしまった」

――具体的な問題点は何ですか。
「人口や経済が拡大していた時期は、教育では従順さや忍耐強さなどが重視された。少子高齢化が進み、経済も縮小する時代となり、新しい価値を生み出せる人材が必要になったのに、自分の頭で考えさせる教育に転換できていない」
「日本の教育は『与え続ける教育』だ。子どもは生まれた瞬間から主体性を持っているのに、理想像に近づけようとして教員が手をかけすぎる。この結果、社会に出ても自分で状況を変えようとする当事者意識を失い、不満ばかりを口にするようになる」
「多様化する世界を生き抜く人材も育てられていない。対立関係を受け入れ、感情を制御しながら解決策を探る力が必要だが、『みんな仲良く』などと心の教育で片付けようとする」

ごみ処理の意識の変化

8月19日の日経新聞首都圏版「東京とごみ」、細田衛士・東海大学教授の発言から。

――東京都内の清掃行政の転換点はいつでしたか。
「1971年の美濃部都政での、ごみ戦争宣言だ。住民はごみを出せば都の清掃局がすぐに片付けてくれるのが当然だと思っていた。行政も出たごみを素早く粛々と処理する保健衛生的な発想が清掃行政の主眼だった」
「高度経済成長期は『ごみは文明のバロメーター』と言われていた。豊かさとは、ごみをたくさん捨てることだった。しかし、実態は焼却や埋め立てといった過程がある。住民と行政との対話でごみ問題を『片付ける』という象徴的な出来事がごみ戦争宣言だった」

日本の大学は社会から期待されていない

8月19日の日経新聞「教育岩盤・突破口を開く」、吉見俊哉・国学院大教授の「「若者だけの大学」脱却を」でした。

社会人に学び直しが求められる時代を迎えた。社会学者の吉見俊哉・国学院大教授は大学は若者が社会に出るための「通過儀礼」から脱却し、新しい価値を生み出す力を育む手助けをする存在になるよう訴える。

――学び直しは必要ですか。
「人生で大学には3回入るべきだ。高校卒業後の18〜21歳、30〜40代、50〜60代にそれぞれ大学に入ることを勧めたい。30〜40代は仕事に慣れ管理職に進むか別の道に挑戦するか考える時期。50~60代は定年後のキャリアを描く時期。人生を選び直す好機だ」
「経済成長が限界を迎え、職場内の人材育成が機能しなくなっている。大学は人生の『マルチステージ』をつなぐ役割を果たして欲しい。硬直化した労働市場に変化が生まれるはずだ」

――学び直しで大学を選ぶ人は多くありません。
「日本の大学は社会から期待されていない。入試と就職の間の『通過儀礼』と捉えられている。入試で測られる偏差値は企業から信頼されているものの、大学で学ぶ効果はよく分からないと思われている」

生涯子供なし推計女性4割、男性5割

8月9日の日経新聞に「生涯子供なし現18歳女性で最大42% 欧米の2倍水準 男性は5割も」が載っていました。

・・・生涯にわたって子供を持たない人が2005年生まれの女性(23年に18歳)の場合で、最大42%に達すると推計されることがわかった。男性はさらに多く5割程度になる可能性がある。先進国でも突出した水準だ。子供を持たない人の増加は少子化による人口減少を招くだけでなく、家族による支え合いを前提とした社会保障制度にも変更を迫る・・・
・・・最新の推計値は国立社会保障・人口問題研究所(社人研)がまとめる23年将来人口推計報告書に盛り込まれる見通し。

05年生まれの女性(23年に18歳)の場合、子供を持つ人が最も少ないという仮定(低位仮定)では50歳時点無子率が42%になる。最も多いと仮定(高位仮定)しても24.6%。両者の間の中程度の仮定(中位仮定)は33.4%で、3人に1人は子供を持たない人生を送ることになる。
男性の場合、女性より未婚率が高いことから、およそ1割程度、生涯無子率も高いと見られる。男性では最大5割程度、2人に1人が子供を持たない可能性がある。

欧米の先進国でも子供を持たない人は増えてきた。子供を持つことを最優先せず、自己実現を重視するといった価値観の変化などが背景にあるとされる。
1970年生まれの女性(2023年に53歳)で見ると、日本以外の主な先進国での生涯無子率はそれぞれ1〜2割程度だが、日本は27%とすでに突出して高い。欧米が現状のまま推移すれば、今後、日本の無子率はその2倍以上になる可能性がある。
英米やドイツでは近年、生涯無子率上昇の勢いが収まりつつある。仕事と子育てが両立しやすい環境が整い、「少なくとも1人」は子供を持てるようになってきているとの見方もある・・・