カテゴリー別アーカイブ: 社会と政治

社会と政治

裁判外紛争解決手続

10日の朝日新聞「ニュースがわからん」は、ADR(裁判外紛争解決手続)を解説していました。裁判によらず、より簡単にもめ事を解決する方法です。交通事故、商品の苦情などを、民間の団体があいだに入って相談に乗ってくれます。「不満はあるんだけど、裁判は手間がかかっていやだし」という人も多いでしょうから、これからは利用される機会が増えるでしょう。もっとも、横文字で示されるように、まだ日本では定着しているとは言えません。そこで、国が認証してお墨付きを与える法律もできました。

社会システムの設計

8日の日経新聞経済教室は、横山禎徳さんの「高齢時代の社会制度設計、産業横断的なシステムに」でした。
・・戦後日本を支えたシステムが老朽化しているのに、高齢社会に向けた新しい「システム」がきちんと準備されていないという問題である。ここでいうシステムとは、コンピュータシステムや情報システムのことではない。もっと広い意味でとらえるべきで、筆者は「社会システム」と名付けている。社会のあらゆる側面は社会システムが支えており、医療、介護、年金、交通、通信、教育、徴税など社会システムとしてとらえられるものは少なくない。
・・社会システムは、その性格上、産業横断的である。「医療産業」には、銀行や保険会社、建設会社、ソフトウエア会社、コンピュータ会社は入らないが、「医療システム」では、医療保険を提供する保険会社、病院や診療所をつくる建設会社、それに融資をする銀行、さらに診療報酬明細書(レセプト)の電子化などに携わるソフトウエア会社、それを処理するハードウエアを提供するコンピュータ会社なども含まれてくる。
産業横断的であるということは、管轄する行政機構も省庁横断的になる。日本の行政機構は長年縦割り行政の弊害を指摘されてきた。・・問題は別のところにもある、すなわち、産業・省庁横断的に課題を解決する能力や生活者の視点での発想が、官僚に身についていない。優秀な日本の官僚も、システムデザインという新たなスキル(技法)を訓練されておらず、社会システムのデザインができないのだ・・
ここでの「社会システム」は、「新地方自治入門」p191で説明した「制度資本」と似た概念です。

教育改革

16日の日経新聞「教育」は、戸田忠雄さんの「学習者本位で学校改革、教員に競争原理必要」でした。
・・県立高校に勤務していたころ、懇談会に来た保護者が、正面玄関口から入ろうとして係の教師にたしなめられ、生徒昇降口に回るよう指示されている光景を目撃したことがある・・ホテルなどでは、お客は正面から入り従業員は横や裏の従業員入り口を使うのが通例だ。一体、学校の主人公は教師なのか、それとも学習者なのか・・
御指摘の通りです。私も常々、変だと思っていました。生徒の昇降口は、時には渡り廊下にある下駄箱だったりします。「偉い先生が、下々を教えてやるんだ」という思想が、建築の形に表れています。
・・規制改革会議がバウチャー制度を提言するのは、学習者の権利を擁護し拡大することでしか、学校は救えないとの信念からだ・・だが、既得権益を手放さざるを得ない組織とその同伴者の抵抗は、驚くほど強い・・
詳しくは、原文をお読みください。
3日の新聞は、内閣府の調査でクールビズに賛同している人が84%に上り、実践している人も47%に上ることを伝えていました。

国民生活白書

26日に「国民生活白書」がでました。今年のテーマは、つながりが築く豊かな国民生活です。26日の日経新聞夕刊が、比較的詳しく解説していました。
白書では、家族・地域・職場の3つのつながりで分析しています。家族を最優先する人が増えていますが、長時間労働や塾通いで、家族が一緒にいる時間が少なくなっています。サラリーマンや単身者は地域から孤立しがちで、5人に1人は地域社会から孤立しています。
私は「新地方自治入門」p258で、地域の財産として、関係資本や文化資本が重要であると主張しました。このような地域の力が弱くなったことも、指摘しました。そして地方行政の課題として、モノとサービスの20世紀から、関係と参加の21世紀に変化することが必要であると述べました(p346)。

世論調査とは何か

24日の朝日新聞は、「本社世論調査に見る世論って」を詳しく解説していました。
世論調査を受けた際に、直感で答える人が60%、じっくり考えて答える人が32%です。内閣支持の基準は、期待が46%、評価が41%です。好きかどうかの印象は、6%でしかありません。政治家が世論をつくっていると考えている人は20%、逆に政治家が世論に迎合していると見ている人が31%です。メディアが世論を作っていると考えている人は50%に上ります。