「社会と政治」カテゴリーアーカイブ

社会と政治

社会は変わる、女性が働きやすい社会

2月23日の日経新聞が「M字カーブほぼ解消 女性、30代離職減る 全体では就労7割 働き方改革や採用増」を伝えていました。
15歳から64歳の働く女性の率が、69.4%になりました。5年間で6ポイントも上昇したのです。記事では「海外も含め、歴史的に珍しいペースの上昇だ」と解説しています。
記事にはグラフも付いていますが、かつては30歳代で大きくへこんだ女性の労働力率が、だんだんへこまなくなっています。M字から台形に近づいています。女性の労働力率も、アメリカやフランスを上回りました。女性が働きやすい職場が増えてきたのでしょう。共働きでないと収入が低いという理由もあるようです。

他方で、働くお母さんが増えることに、保育園が追いついていません。2月26日付の朝日新聞は、「「保育園落ちた」今年も 待機児童「ゼロ」、きしむ現場」を伝えています。大幅に保育園を増やしているのですが、追いつかないのです。

・・・2001年に小泉政権が「待機児童ゼロ作戦」を掲げて以来、歴代政権は待機児童の「ゼロ」を約束。安倍政権も13年の「待機児童解消加速化プラン」で、17年度までに「受け皿」を50万人分増やし、ゼロにするとしてきた。
定員は01年度の194万人分から17年度には274万人分にまで増加。計画以上に進んでいるが、子育て世代の収入低迷などで共働きが増え、施設整備が追いつかない。昨春の待機児童は全国で2万6千人を超え、3年続けて増えた・・・

昭和モデル経済の崩壊がもたらしたもの

朝日新聞が経済面で「平成経済」を連載しています。第2部は「昭和モデルの崩壊」です。戦後に生まれ、高度成長を経験し、平成を官僚として過ごした私には、身近な話題ばかりです。経済の変化が政治の変化を生んだ例を、2つ紹介します。

2月11日は「非正社員、守らぬ労組」でした。
戦後、労働組合は、非自民勢力の中核として、輝いた時期もありました。労働者の地位を向上させる、政治では革新的主張をする存在として。
しかし、ある時期から、組合員の既得権を守る保護集団に変化しました。「市民との連帯」も空しくなりました。企業が正規職員の待遇をそれなりに引き上げると、労働組合の存在理由が低下しました。他方で非正規職員が増え、その待遇が問題なのに、労働組合は正規職員を守ることを優先したのです。経済・社会の状況が変わったのに、自らの変革に失敗したのです。
さらに、賃上げについては、近年は政府が主導するという、労働運動からは「奇妙な」構図になっています。

「昔陸軍、今総評」と呼ばれた時代もありました。「スト権スト」を打って、国鉄を長期間止め、国民の支持を失いました。国鉄の労組(先鋭的部分)は、最終的には国鉄解体を招きました。彼らは、自らの行動をどのように評価(総括)しているのでしょうか。
意図したことと全く違った結果を招く。しかも、自らの存立する組織をつぶしてしまう。旧日本軍とともに、政治学や組織の責任者にとって、大きな研究事例です。

2月18日は、「財界、団結から分散へ」でした。
労働組合が強い時代は、経営者側は、会社経営にあっては労働組合との対決、政治にあっては社会党との対決(自民党支援)が重要でした。しかし、労組が力を失うとともに、財界の使命も変わってきたのです。

住まいのない人を引き受ける施設

2月17日の朝日新聞オピニオン欄「最低限の住まいとは」、奥田知志さん(NPO法人「抱樸」理事長)の発言から。
・・・1月に火災が起きた札幌市のそしあるハイムは、「無届け施設だ」という指摘があります。「届けを出さねばならなかったのに、出していない」という批判がこめられていますが、的外れです。「届け出なかった」のではなく、「届け出ることができなかった」あるいは「あえて届け出なかった」のだと思います。

法律に基づき届け出が必要な施設は利用者資格が明確に決まっていて、障がい認定や介護認定がなければ利用できません。つまり、制度ごとの縦割りになっています。そしあるハイムのような、40代から高齢者までいて、住まいの確保から就労支援、食事の世話、介護まで担う施設の枠組みはいまの日本になく、届け出のしようがないのです。

制度の狭間に置かれた、行き場のない人々が増えています。貧困だけでなく、社会参加できない、認知機能に問題がありそうだが介護保険の対象になっていない、家族と縁が切れているなどの複合的な要因を抱え困窮する人たちです。私も北九州市で無料低額宿泊所を運営していますが、公的支援はありません。縦割りで「入居者を限定する施設」ではなく「だれでも入れる施設」が必要だからです・・・

・・・もう一つ、民間施設には残念ながら「貧困ビジネス」もあり、玉石混交です。
そしあるハイムは生活保護受給者でも月に3万円程度手元に残る良心的な価格の施設でした。一方で、食事付きと称してカップめんだけとか、生活保護費を全額徴収し、入居者が自由になるお金がない施設が問題になっています。貧困ビジネスは規制し、必要な施設を応援するルールづくりが求められています・・・

フランス、徴兵制復活論議

2月11日の朝日新聞「日曜に想う」は、大野博人・編集委員の「分断フランス「徴兵制」に何望む」でした。
先日、マクロン大統領が、徴兵制を復活させると発表しました。それを聞いて、私は「この時代に・・・?」と疑問を持ちました。戦艦にしろ戦闘機にしろ、素人が少々の訓練を受けて使えるものにはなりません。
この記事を読んで、分かりました。まず、提案されている兵役期間は、たった1か月です。
大統領は、国防や治安への貢献を考えているのではないようです。生まれ育った環境が異なる若者に同じ仕事をさせ、国民という共通した帰属意識を育む機会にしようというのが狙いのようです。フランス社会が分断に苦しんでいます。イスラム系市民への偏見、経済的不平等、エリート対非エリート・・。
なるほど。

2月14日の日経新聞も、「徴兵制、欧州で復活の波」を伝えていました。東西冷戦が終わり、ヨーロッパ各国が徴兵制を廃止しました。それまで、続いていたのです。

政治家の顔写真ポスター

1月14日の日経新聞「風見鶏」は中山真・政治部次長の「インスタ政治どこへ行く」でした。原文を読んでいただくとして、興味深かった点を上げておきます。

1 アメリカでは、庭先などに設置される「ヤードサイン」と呼ばれる選挙候補者のポスターは、文字だけで写真はついていないのだそうです。写真よりメッセージやスローガンを重視するとのこと。履歴書にも、写真を貼らないようです。

2 日本の政治家の写真を撮ることが多い写真家のところに、候補者から撮影の依頼が来ます。「どんな政治家になるんですか」 と聞いても答えられない人が多いとのこと。「それではどんな写真にしたいかも決められない」