カテゴリー別アーカイブ: 政治の役割

行政-政治の役割

国の信用

6日の日経新聞「経済教室」香西泰さんの「財政再建、自由思想支えに」に、高橋是清蔵相の次のような言葉が載っていました。「国の信用といふものは無形のものである。それだけにこれを失へば重大である」。
また香西さんは、1944年(第2次大戦末期)に国債残高の国民総生産に対する比率が1.4倍に達していたこと、現在の日本が大戦期に迫るほど財政が悪化していることを指摘した後、次のように書いておられます。「これだけ国債があふれてもその価格が下落しないのは、財政再建への信頼が厚いか、超金融緩和で国債バブルが生じているか、そのどちらかだ」

生産者の論理、消費者の利益

6日の日経新聞「教育」に、福井秀夫教授が「学ぶ側本位の改革推進。学校選択や評価制度。教員、幅広い人材を登用」を書いておられました。規制改革・民間開放推進会議の第2次答申(平成17年12月21日)についてです。「第2次答申は、提供する側の論理で構築されがちだった教育の仕組みを、徹頭徹尾、学ぶ側の児童生徒・保護者の視点に立って転換することを目指した」。以下そのポイントです。
1 学校選択制の実質的実現
2 教員免許の弾力化と採用の公正確保
3 教員・校長に対する児童生徒・保護者による評価制度の確立
4 学校情報公開の徹底
5 教育バウチャー(切符)の実現
私も賛成です。特に切符制度が、学ぶ側の満足度を上げるためにもっとも効果的だし、公私立間の公費差別をなくす良い方法だと考えています。

外国語学習

28日の朝日新聞夕刊「膨らむ中国語」に、アメリカでの外国語学習者の割合が載っていました。70%がスペイン語、20%がフランス語、6%がドイツ語、2%がラテン語、残りの言語が2%だそうです。これも意外でした。
そして、高校14000校の全国調査では、中国語クラスの導入希望が2400校、イタリア語の240校、日本語は175校、ロシア語が50校だそうです。これは、経済力や国際社会での発言力の大きさを反映しているのでしょう。語学を学ぶということは、言葉そのもの以上に、その国や文化に興味があるということだと思います。嫌いな国の言葉を学ぶ人は、多くはいません。その国の言葉を学ぶ外国人が多いということは、ソフトパワーの一つの指標でしょう。

行政指針

23日の日経新聞は「法務インサイド」で「このガイドライン必要?規制緩和の一方で行政指針続々」を書いていました。経産・法務両省が昨年5月に発表した「買収防衛策に関する指針」、各省が所管分野に作った「個人情報保護ガイドライン」、経産省が改訂した「営業秘密管理指針」が取り上げられていました。
このほかに有名なのは、金融庁の「金融検査マニュアル」、2001年に全国銀行協会や経団連が組織した研究会によって作られた「私的整理に関するガイドライン」(これは行政が定めたものではありません)もあります。
ガイドラインには、行政が民間に対し権限行使をする際の基準をしめすもの、民間同士の問題に関するものの、2種類があるようです。しかし、「法律による行政」という大原則、また争いは司法で裁くという原則からは、変なものです。
法令でないこのような指針は、行政学・行政法学では、また司法からはどのように位置づけ、評価したらいいのでしょうか。これらも、日本の行政を考える際の課題だと思います。

何をしなかったか

23日の日経新聞月曜経済観測は、赤羽隆夫元経企庁次官の「長命景気の原動力は、自然治癒力が復活」でした。
「もうひとつは、景気対策はやらないと公言した小泉経済政策の不作為が寄与した。1990年代の歴代政権の景気対策は日本経済に備わっている自然治癒力を傷めた。不景気増幅策と言ってもいい・・・」
同感です。私は、小泉内閣の大きな成果の一つは、ケインズ政策をやめたことだと考えています。確かに何かをしたのではなく、何もしなかったという意味では、不作為かもしれません。が、これまでの内閣・行政からは、不況期に公共事業の追加をしない、さらには削減することは、考えられないことでした。
「やめる」ということは、非常に困難なことです。後生の人は、何を作ったかを評価し、何をやめたかは評価しません。「創立何周年記念」といって宣伝してくれる人もいませんしね。そして、何を作らなかったかも、評価されません。(1月23日)
(民が行う官の機能)
官でない行政機能(行政学的なもの)に、関心を持っています。漠然としていてまだ整理できていないのですが、例えば民間が行う検査です。自動車の車検は代表例です。最近ではマンションの耐震強度に関して、民間の建築確認検査機関が問題になりました。また、粉飾決算に絡んで、監査法人もしばしばニュースに登場します。
これらは民でありつつ、官の仕事をしています。どこかに、このような機能を調べた論文や一覧表はありませんかね。今後の行政のあり方を論じる際には、不可欠の要素だと思います。