11日の日経新聞経済教室は、西出順郎准教授の「国立大学改革の方向、企業家精神で経営力強化。独自の思想を原動力に」でした。
・・国立大学、特に規模が小さい地方大学は、教育研究活動や管理運営改革に全力を注いでいる。だが実際は、もっぱら付け焼き刃的で表層的な作業に追われていることはないだろうか。
この受け身的な改革姿勢はなぜ生じるのか。・・その根源的な理由はより内面的、精神的な部分に依拠しているように思われる。すなわち、「改革思想の脆弱性」である。ではなぜ、国立大学改革の思想的高まりがなおざりになったのか。想起される理由は三つある。
第一の理由は、法人化にいたる国立大学改革が新保守主義的思想を背景にした中央政府の行財政改革に主導され、独自の改革思想を形成できなかったことだ。・・国立大学は、政府の論理に押し切られ、自らの存在意義を主張する改革思想が構築できなかったのではないだろうか。したがって、法人化という国立大学改革は、他律的思想のもとでの改革に終始し、政府行革の「改革客体」から脱却することなく、国立大学が「改革主体」を演じることはなかったのである。
第二に、新保守主義的思想という議論の土俵においても法人化論議を主導せず、結果的に独自の改革思想の芽をつみ取ってしまったことだ。・・高等教育という公共財が政府の守備範囲としてどう再定義され、私立・地方自治体立大学との補完性においてどう位置づけられるのか、国立大学が率先して論陣を張ることは希有であった。
第三は、法人化後の新たな国立大学改革が要請される中、他律的な改革思想が逓減する一方で、その代替思想が顕在化しなかったことだ・・
このほか、公務員制度改革なども、この批判が当てはまるようです。