22日の日経新聞夕刊が、インターネット検索の「グーグル社」が、世界各国の政府から、情報の削除や利用情報の提供などの要請を受けた回数を公開し始めた、と伝えていました。
2009年7月から12月の間に、削除要請はブラジルが291件、ドイツが188件だそうです。中国については、要請件数自体が中国の機密情報とされ開示できません。日本からの要請件数は、10件未満だそうです。政府からの要請内容は、児童ポルノなど違法な内容の削除や、犯罪捜査のための情報提供などです。
このようなことが、問題になるのですね。ここには、表現の自由と制限、検索エンジンの公共性、国際的な検閲など、いくつもの論点があります。
「政治の役割」カテゴリーアーカイブ
行政-政治の役割
ねじれは異例ではない
日中韓共通歴史認識
18日の読売新聞「地球を読む」は、北岡伸一東大教授の「共同歴史研究。『侵略』認め、日中攻守逆転」でした。
2006年、安倍首相と胡主席の合意によって始められた日中歴史共同研究は、今年1月に報告書を発表しました。しかし、研究の途中から、中国側が公表に消極的になり、一時はすべての不公表を求めたそうです。先生は、興味深い指摘をいくつもしておられますが、ここでは一つだけ紹介します。
・・・極端に隔たって手のつけようのない問題に、両方の中道の歴史家の考え方を示すことで突破口を開くことが目的であって、パラレル・ヒストリーとは、そのための積極的な手法だった。
中国では、日本は侵略を認めていない、反省していない、謝罪もしていないと考えている人が少なくない。これに対し、日本側は日本の侵略は認めているが、中国側の主張は一方的で誇張されていると考えている。それを相手に読ませたかったわけである。
ここに攻守は逆転するのである。日本に侵略を否定する声が大きいうちは、中国は、日本は反省していないと主張し続けることができる。しかしわれわれが非を認めると、それがどの程度の非なのか説明せざるを得なくなり、守勢に回った。各章の「討議の記録」の削除を求め、戦後編の非公表を求めたのは、中国が受け身に立ったからである。
・・東アジア共通の教科書を考えても良いと思う・・また、外交だけでなく、内政にも目を向けるべきである・・第三国の学者の参加も歓迎すべきだろう。真理が直接的当事者にしかわからないというのはおごりであり誤りである。このようにして、歴史学の大原則に立って、東アジアの歴史を共同で書くことを、日本から提案したらどうだろう。中国や韓国が積極的に応じないだろう、という人もあるだろう。それでも一向にかまわない。その場合は、歴史を直視していないのがどちらか、世界に明らかになるわけだから。
詳しくは、原文をお読みください。
普天間移設問題
外交フォーラム休刊
外交と国際関係論のオピニオン誌だった月刊「外交フォーラム」が、休刊になりました。新聞でも報道されていました。私は重宝していたので、残念です。バックナンバーの目次を見てもらうと、その価値をわかってもらえると思います。
各省関係の雑誌で読み応えのあるのは、この「外交フォーラム」と旧経済企画庁の月刊「ESP」くらいだと、私は考えていました。外交問題や経済社会問題というテーマもさることながら、内容に主張があるからです。他の省の雑誌の多くは、法令解説であったり、施策のPRであったり、「文中意見にわたるのは個人の意見であり・・」と断っていながら意見はほとんどなかったりで、面白くありません。
「ESP」のバックナンバーも、ご覧ください。2007年3月号は、再チャレンジ社会特集で、私も編集に参加しました。
「ESP」も去年で休刊になり、電子版になってしまいました。このような専門政策分野のオピニオン誌は、購読者数が限られ、商業的には経営は難しいのでしょう。公的な機関が支援することは、できないのでしょうか。このような専門誌は、政策を深く掘り下げる場であり、研究者を育てる場でもあり、政策共同体の場であり、日本のソフトパワーを育てる場でもあるのです。その効果を考えると、安いものだと思います。
外交関係では、アメリカの「Forein Affairs Report」の翻訳である、月刊「フォーリン・アフェアーズ・リポート」があります。これは英語の原本が世界的に権威のある雑誌です。英語版を読めばよいのでしょうが、私のような者にとっては、日本語訳が読みやすく、ありがたいです。国際関係論において、アメリカの比重は圧倒的に大きいのですが、日本にその手の専門誌がないのは、残念であり、情けないですね。