「政治の役割」カテゴリーアーカイブ

行政-政治の役割

政権交代のルールづくり

2月11日の朝日新聞政治欄に、「2008年度決算やっと議決」という記事が載っていました。
・・国会の混乱でたなざらしだった2008年度決算が、14日の参院決算委員会でやっと議決される・・2008年度決算は福田、麻生両政権で予算編成・執行され、政権交代後の2009年11月、鳩山政権で国会に提出された。

2010年の通常国会で審議し、議決されるはずだったが、鳩山前首相が辞任し、審議は打ち切り。昨秋の臨時国会でも閣僚の問責決議が可決され、審議が止まった。民主が「自公政権の予算に反対したから、決算も反対」との姿勢だったことも影響した。
そこで与野党の理事が海外の事例を取り寄せ、対応を検討。自民は「政権交代のたびに同じ問題が起きる。前例をつくろう」と主張。民主も将来の政権交代を見据え、「予算の執行が適法なら決算を認める」と合意した・・
こんなところでも、政権交代による民主主義の成熟が進んだのですね。

アンケートの成果

内閣支持率や政党支持率の世論調査から始まって、行政機関の施策やサービスに関するアンケート、さらには商品の評価まで、アンケートや世論調査は大はやりです。関係者はその結果に一喜一憂し、さらに評論家はその結果にいろいろな理由と予測を述べます。もちろん、国民や市民また顧客の評価を調べることは、重要なことです。ところが、時々「???」と思うこともあります。
一つは、ある施策やサービスについて問う場合に、その調査結果をどのように使うかです。調査結果が次の改善に結びつかないと、調査のしっぱなしでは意味がありません。100%良い評価がでているのなら、改善しなくて良いのでしょうが、そのような結果が出るのは珍しいでしょう。
より良いサービスを目指して利用者や顧客の意見を聞くのなら、どの点がどのように悪いかを聞かなければなりません。また、次の改善につながるような質問と回答にしておかないと、単に「ダメ」といった回答では、次の改善に反映できません。
「利用料はもっと安い方が良いですか」と聞き、別に「サービスはもっとたくさんして欲しいですか」と聞いていては、利用者は両方に「ハイ」と答えるでしょう。でも、予算が限られている時に、それでは次にどうしたらよいかわかりません。
もう一つは、政党支持率などの世論調査結果の意味づけです。仮にA党の支持率も大きく過半数を下回り、B党の支持率も同程度、そのほかの党はもっと低いというような結果が出たとします。最近のマスメディアの調査結果は、このようなものが多いですが。
ある人が、これについて、次のように指摘していました。「それは調査結果として事実だけど、じゃあどうするの?」「このような調査は好き嫌いを聞いているのと同じであって、日本の政治をどうしようという、建設的な問ではないね」「これもダメ、あれもダメと言っていては、前に進まない。代案のあるような調査にしないと、批判だけだと進歩はないよ」と。

生涯を通じた切れ目のない安心保障

連載『社会のリスクの変化と行政の役割』では、災害や事故だけでなく、暮らしのリスクや社会とのつながりのリスクも取り上げています。24日の菅総理大臣の施政方針演説で、1年半前の「安心社会実現会議」に言及されていました。安心社会実現会議は、麻生政権の時に作られた会議で、「安心と活力の日本へ」という報告書をまとめました。委員には、宮本太郎北大教授らが入っておられました。
報告のポイントは、安心の中心には雇用があり、その回りに、子育て、教育、健康、老後があるというものです。そして、安心社会の実現のためには、高齢者支援を引き続き重視しつつも、若者・現役世代支援も併せて強化しながら、全生涯、全世代を通じての「切れ目のない安心保障」を構築することが求められる、と提言しています。

若手研究者の活躍

若手政治学者が、次々と論文を出版しています。砂原庸介大阪市立大学准教授に、教えてもらいました。砂原先生のブログ(2010年12月19日の記述)をお読み下さい。私も、本屋の棚でいくつか出版されていることには気がついていたのですが、このように並べられると、なるほどと思います。
先日、ある人と、出版業界の不況、特に学者の本は売れないので出版されない、という話をしていたばかりです。そのような中での出版ですから、うれしいですね。また、その内容についても、皆さん、大変なエネルギーを費やしておられることに、感心します。
私の書いている原稿と比べ、恥ずかしい限りです。やはり、研究には、集中する時間とエネルギーが必要です。今の私には、それは無理なので、私がこれまで経験したこと、それもほかの人が経験していないことを元に、少しでも世間の役に立つことを、書いて残しましょう。

フランスの農業改革の経験

22日の読売新聞経済面に、フォール駐日フランス大使のインタビューが載っていました。フランスの農業改革の経験についてです。フランスは、食料自給率120%の農業国です。
フランスは、自給できないことの問題意識から、1950年代から農業改革を始めました。この60年間で、農業人口を3分の1に減らし、平均農地面積を約7倍の70ヘクタールに広げました。農家の平均年齢は、10歳以上若返り、40代半ばだそうです。
日本では、農家は減りましたが、一戸当たりの経営規模は2ヘクタールです。平均年齢は、60歳を超えています。もちろん、日本の稲作とフランスの小麦や牧畜とを、面積で単純に比較してはダメでしょうが。日本では、兼業農家が温存され(稲作は兼業ができる事業なのです。ただし小規模なのでコストが高くなります)、農地の集約が進みませんでした。
日本の農業問題を議論する際には、稲作とそれ以外を分けて議論すべきこと、そして稲作については農地(売らない貸さない)が問題なのです。昨日紹介した2007年6月23日の記事を参照してください。