カテゴリーアーカイブ:政治の役割

小泉改革

2015年8月28日   岡本全勝
総選挙後の政権について、新聞が様々な予想をしています。誰が選挙に勝つか、政権につくか、政策はどう変わるかです。共通しているのは、小泉政権でないと、郵政民営化が進まないことと、もう一つは三位一体改革が進まないのではないか、という予想です。
前者(郵政民営化)は「官から民へ」、後者(三位一体改革)は「国から地方へ」の象徴です。共通点は、現在の政治権力(旧来型の自民党族議員と各省)を転換しようとするものです。そして、総理のリーダーシップがなければ進まないのです。
違いは、郵政民営化については、官から民へのシンボルであっても、すべてではないとの評価もあります。また小泉総理一人ががんばっている、との見方もあります。それに対し、三位一体改革は、これこそが中央集権を地方分権に変える骨格であり、また、地方団体全体がエンジンになっているという違いがあります。しかも、郵政は特定分野での改革であり、三位一体は包括的・全分野での改革です。(8月9日)(三位一体改革のページ再掲)
今回の解散総選挙で、日本の政治が盛り上がっています。政治が戦いであり、ドラマであることが再認識できます。
政治学的には、総理のリーダーシップ、争点設定、利益団体・族議員対改革、自民党内の意思決定方法、党総裁対議員、派閥の力、参議院の力、参議院と衆議院の解散など、日本の政治を考える「いい材料」です。これまでにない、争点設定とそれを巡る争いです。もっとも、与党対野党でないところが、政治学の教科書と違っていますが。追い追い、今回の政治ドラマを、私なりに解説したいと思っています。
とりあえず、今回の解散と選挙が「郵政民営化を問う選挙」でないこと、与野党の対決でもなく、「自民党を清算する」ものであることについては、8月16日付け朝日新聞「政態拝見」(曽我豪記者)の「二つの解散劇ー半世紀隔て、自民決算の夏」が参考になります。(8月17日)
日本経済新聞社の世論調査(23日付け、日経新聞)では、消費税率引き上げについて、「現在の財政状況を考えればやむを得ない」が16%、『年金財源などに限定するなら仕方がない」が29%でした。合計では45%です。
衆院選で重視する政策課題は、次の順でした。①社会保障問題、②郵政改革、③景気対策、④税制改革、⑤財政再建、⑥雇用対策、⑦教育改革、⑧環境問題。(8月23日)
(マニフェスト検証)
26日に「新しい日本をつくる国民会議」が「政権公約検証緊急大会」を開き6つの団体が、小泉内閣の実績と前回総選挙の際に与党が掲げた政権公約の採点をしました(27日朝日新聞朝刊など)。「小泉首相の改革に取り組む姿勢を評価する点で一致したが、実績には辛口の評価が多かった。自民、公明、民主各党が今回の総選挙で示した政権公約には、具体化を求める意見が相次いだ」
自民党の公約達成度総合評価は、日本総研70点、経済同友会65点、全国知事会60点、言論NPO43.8点、PHP総研32点、構想日本31点です。全国知事会の小泉内閣の実績評価は「国から地方への税財源以上問題が『三位一体の改革』で動き出したことは評価。しかし04年度の実態は地方案とかなり異なり、義務教育など多くの課題が道半ば」です。
政党が検証の対象となりうる公約を掲げ、国民が実績を評価できる時代になりました。日本の政治は、少しずつ動いています。

8月15日

2015年8月15日   岡本全勝

今日は、8月15日。日本武道館で行われた全国戦没者追悼式に、出席しました。
第2次世界大戦で亡くなった日本人は、約310万人。うち軍人・軍属が約230万人、民間人が約80万人(うち内地で50万人)です。アジア各国でも、多くの人がなくなりました(約1,900万人)。(これらの数字は、細谷雄一著『戦後史の解放Ⅰ 歴史認識とは何か』(2015年、新潮社)p214、p267による。なお吉田裕著『アジア・太平洋戦争』(2007年、岩波新書)からの引用とのこと)。また外地からの引き揚げ者は、軍人と民間人を合わせて約630万人です(厚生白書昭和36年版、第2部第3章第8節)。そして、国の内外で戦時中と戦後、混乱した社会で飢餓や不安に苦しめられました。それは、数字では表すことができません。
武道館での式は厳粛で、終わって出てくると田安門の桜並木は蝉の声がしきりでした。どちらも、8月15日を思わせる雰囲気でした。

中曽根元総理の第2次大戦観

2015年8月7日   岡本全勝

読売新聞8月7日、「中曽根元首相、終戦70年寄稿」から。
・・・第2次世界大戦は、帝国主義的な資源や国家、民族の在り方をめぐる戦いであり、欧米諸国との間の戦争もそのような性格を持ったものであった。
他方、アジア諸国に対しては侵略戦争でもあった。特に中国に対しては、1915年の「対華21か条要求」以降、侵略性が非常に強くなった。軍部による中国国内への事変の拡大は、中国民族の感情を著しく傷つけたと言わざるを得ない。資源獲得のための東南アジア諸国への進出も、現地の人からすれば日本軍が土足で入り込んできたわけで、まぎれもない侵略行為だった・・・
・・・ただ、300万人以上の国民が犠牲になったという厳然たる事実を拭い去ることはできない。本来なら、当時の指導者の戦争責任を他者による東京裁判という形ではなく、日本人自らの責任においてこれを裁き、決着を付けるべきだったが、東西冷戦が始まったことで日本社会としての戦争の総括が中途半端に終わってしまった。それが、その後、長く日本人の意識の中で、晴れぬわだかまりとして残る結果となった。
やはり、先の戦争は、やるべからざる戦争であり、誤った戦争であった。
戦後日本の起点はポツダム宣言受諾に始まると考えるのが国際的通念であり、あの戦争と敗戦から学ぶべき教訓を我々日本人は胸に深く刻む必要がある。歴史を正視し得ない民族に、政治の長期安定性もなく他の民族からの信頼も尊敬もあり得ない。点検と反省により、事故の歴史の否定的な部分から目をそらすことなく、これらを直視する勇気と謙虚さを持つべきであるし、汲み取るべき教訓を心に深く刻み、国民、国家を正しい方向に導くことこそが現代政治家の大きな責務でもある・・・

終戦の決断

2015年8月3日   岡本全勝

戦後70年。各紙が特集を組んでいます。宮内庁が、皇居内の御文庫付属室(地下壕)の写真を公開したので、各紙が載せています。昭和天皇が終戦の聖断をされた場所です(朝日新聞)。また、各紙が、玉音放送の原文と現代語訳を、対比して載せています(朝日新聞の訳)。なるほどと思いますが、文語体は重々しさがありますね。もっとも、ラジオで聞いていて(音声がよかったとしても)、広く国民に意味が通じたかは別です。

戦災孤児

2015年8月2日   岡本全勝

朝日新聞生活欄が、7月28日と29日に、「戦争孤児の70年」を載せていました。
28日:両親失い「野良犬」と呼ばれた
29日:心押し殺し、親戚宅で生きた
過酷な生活を思うと、涙が出ます。1948年時点で、12万人だったそうです。大人ですら生きていくのが大変だったときに、子どもだけでは・・。最近の本に、石井光太著『浮浪児1945―戦争が生んだ子供たち(2014年、新潮社)があります。
その人たちに、日本国政府はどのような支援をしたのか。満洲を始め海外に置き去りにされた多くの日本人も、同じです。私が、昭和21年に官僚だったら、何をしたか。