講談社PR誌『本』2013年6月号、佐々木毅・東大名誉教授の「平成デモクラシーを問う」から。
・・平成になって四半世紀が過ぎた。平成元年はベルリンの壁が崩壊し、冷戦が名実ともに終焉を迎えた年であった。平成時代は世界史の大きな区切りとともに始まった。従って、平成を問うことは冷戦後の世界がどうであったかを問うことに重なる・・
政治についていえば、この四半世紀は世界規模での民主化の大波に洗われた時代であった・・日本はこの大波に無縁な民主主義国であったはずであるが、気がついてみると、日本の民主制もそれなりに大きく変貌した・・
今から四半世紀前の政治はすっかり姿を消した。確かに自民党という政党はあるし、再び政権の座についているし、相変わらず派閥という言葉はあるが、その内実は月とスッポンほどに違う。違いといえば「政治とカネ」の問題はその代表例であるし、今や「一票の格差」が二倍を超えたりすると違憲判決が出るようになった。
自民党自身が自らを変えようとし、それに他の政治勢力やメディア、有権者が加勢し、日本は連立政権から政権交代まで一気に走り抜けた。今や政治にとって透明性は命綱であるが、四半世紀前の政治は一言でいえば、派閥に代表される不透明性の集塊の感があった。「平成デモクラシー」はいわば透明性と変化に向けての体系的な跳躍の試みであり、リーダーシップにしろ、政権公約(マニフェスト)にしろ、そうしたものへの注目はこの大転換の中で生まれたのであった・・
この項続く。
「政と官」カテゴリーアーカイブ
行政-政と官
政と官、新内閣の方針
鳩山内閣は、発足と同時に、政と官の在り方を発表しました。
「政・官の在り方」(平成21年9月16日 閣僚懇談会申合せ)。そこには、次のように書かれています。
「「政」と「官」の関係を見直し、政治主導を確立することで、真の民主主義を実現する必要がある。
もとより、「政」、「官」ともに、よって立つ基本は、「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」、「政治倫理綱領」、「国家公務員倫理規程」において示されているとおり、公益の実現に全力をあげることである。こうした基本的考え方に立って、「政」と「官」の適正な役割分担と協力関係を目指し、以下のとおり、当面、内閣が取り組むべき方針をとりまとめたものである・・・」
政府内意見調整
11日の朝日新聞が、諫早湾干拓裁判について解説していました。佐賀地裁が、排水門開門を国に命じました。これに対して、国が控訴するかどうかが、注目されていました。記事によると、農水省は控訴する考えであったのですが、法務大臣が環境保護の観点から、難色を示しました。また、副大臣たちも、激論したそうです。10日に農水大臣が表明したのは、開門の実施ではなく、開門調査のための環境アセスメント実施でした。
各省間、政治家間の意見対立が、表面化した例です。このような事例は数多くあると思いますが、これまでは多くの場合、官僚による調整で結論を出していたようです。このように、内閣の政治家が議論することで、国民に政策決定過程が見えるようになります。(2008年7月11日)
(内閣の各種会議)
1年も、ホームページを更新しなかったので、ホームページの加筆の仕方やリンクの張り方を、すっかり忘れてしまいました。作成ソフトの画面を立ち上げて、試行錯誤しながら、思い出しています。
各ページを書いてから、時間が経っているので、リンク先がなくなっていることも、多くなりました。気がついたところから、修正しているのですが。
ところで、内閣の関係する各種会議で、すでに終了したものは、一覧になっています。また、過去の資料(ページ)もリンクされていて、見ることが可能です。
現在活動中の内閣の会議一覧
すでに終了した内閣の会議一覧
政治主導の現場・官僚の報告
御厨貴編『「政治主導」の教訓-政権交代は何をもたらしたか』(2012年、勁草書房)を贈ってもらいました。著者に、東大に教えに行っていた頃の塾頭たちが、名前を連ねています。また、中堅官僚たちも、現場での体験を踏まえて書いています。皆さん、御厨先生の門下生だとのことです。
帯には、「民主党政権の中間決算」と唱われています。
第2部では、政権交代後に、民主党が掲げた政治主導がどのように達成され、達成されていないかを、分析しています。そこでは、官僚との関係、与党との関係、官邸と各省との関係の3つの観点があります。
政権交代から2年半。まだ変化しつつあるところですが、省庁内部での経験を基に、分析しています。この間の記録にもなっています。現役官僚が、政と官の関係を論じることは、多くないと思います。政と官の関係に関心をお持ちの方は、ご一読をお勧めします。
なお、細かいことですが、p162の図とp179に、国家戦略室長は「室席」とあるのは「空席」の誤植でしょう。