28日は、午前中に参議院本会議で、平成24年度の決算が審議されました。復興庁担当の質問は少なかったのですが、最後の質疑者の質問が判明したのが、27日の24:00でした。その中に、復興庁が担当する総理答弁があったのです。職場に残っていた職員が、大至急で答弁案を作ってくれました。それも3つの班にまたがる問なので、それを調整して、私の携帯に送られてきたのが25:28でした。24時に質問が判明するまでの間、霞ヶ関では、膨大な数の職員が待機していたのでしょうね。
復興庁では、国会班が目星を付けて、当たらないだろうという班には帰宅を許し、連絡が取れるようにしてありました。目星が当たって、残っていた職員で案を作成し、それぞれの班の責任者の確認を受けて(たぶん携帯メールで)、私に送ってくれたのでした。もちろん、私は熟睡中で、着信音で目を覚まし、携帯メールで文章を確認し、「了解」と返事を打ちました。原案のできが良かったので、一発回答でした。しかも、国会班は「たぶん、岡本統括官は寝ているだろう」と推測し、24:00の段階で、「質問が当たったので、答弁案ができたら送ります」という予告メールを送ってくれました。でも、そのメールを見ても、再び熟睡。朝、職員に「何時間寝たの?」と聞くと、ある職員は「3時間」、別の職員は「2時間」とのことでした。
この労働状態は、国民の皆さん、特に民間企業の方には、恥ずかしくて言えない話ですね。
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行政-政と官
総理国会答弁案の作成過程
2月9日の日経新聞「永田町インサイド」は、「国会答弁、その実態」でした。見出しには「質問は事前通告。官僚徹夜で作成。首相確認は当日」とあり、詳しく、総理答弁案が作られる過程が、紹介されています。議員からの質問通告が遅れて、各省の職員が待機する実態も書かれています。一般の方は、内閣総務官室が、問を各省に振り分けていることなど、ご存じないでしょうね。
政府と与党
次のようなニュースが載っていました。NHK1月21日。
・・自民党の総務会は、政府の日本経済再生本部が決定した経済の成長戦略の実行計画案について、「政府から事前の説明が一切なかった」として、政府側が求めていた21日の了承を見送りました・・
国会待機、朝の3時半まで
今朝出勤して、メールを確認したら、国会班から「本日の国会待機は、解除です。お疲れ様でした」というメールが届いていました。それ自体は毎日のことなので、取り立てて言うことではありません。しかし、その発信時間が「3:36 AM」となると、尋常ではありません。
「どうしたの?」と聞いたら、今日の衆議院本会議での「特定秘密法案」質疑について、ある議員が、質問を朝の3時30分に提出したのだそうです。それまで、霞が関の全省庁の国会関係部局が、それを待って待機していたのでしょう。この法案ですから、復興庁は質問が当たりませんでした。当たった省庁は、それから答弁案を作ったのでしょうね。
じっと待っていた多くの職員、それからタクシーで帰った職員、帰らず泊まった職員・・。民主主義、政治主導、国権の最高機関などについて、考えさせられる事件です。
すみません、私は自宅の布団の中で熟睡していました。明日も、参議院本会議での法案質疑があります。職員は、今日は何時に解放されるのでしょうか。
この四半世紀の日本の政治改革、その5
・・そのためには政党は普段から内部で徹底的に議論をし、組織の凝集性を高めていく努力が必要であるが、他の先進国と比べて日本の政党のそうした組織的努力はきわめて不十分である。
当然のことながら、他の社会的組織と比べてもその性格が曖昧であり、政治家たちの便宜を満たすための道具のようにしか見えないこともある。この組織的な弱体をトップリーダー個人への期待によって代替しようとする試みは、当然のことながら、政治の不安定と背中合わせである。さればといって、懐かしい不透明性の昔の世界に戻るわけにもいかない。その意味で「平成デモクラシー」はなお暫く真摯な自己改革を必要としている・・
いつもながら、視野の広いかつ切れ味のよい、佐々木先生の分析です。私は、「行政改革の現在位置~その進化と課題」(北海道大学公共政策大学院の年報『公共政策学』第5号、2011年3月。p37~)で、1990年代以降の行政改革を整理しました。この20年間に、様々なそして大きな行政改革が行われ、あわせて範囲と目的が広がってきたこと論じました。それらの改革がなぜ行われたか、その社会経済的背景を述べるとともに、それらを「小さな政府・財政再建」「官の役割変更・経済活性化」「ガバナンス改革」の3つに分類しました。行政改革が単なる組織や予算の削減にとどまらず、官の役割見直しや行政機構のガバナンス改革に広がっていることを指摘しました。
拙稿は、20年間の行政改革を対象としましたが、佐々木先生の論考は政治を対象としておられます。拙稿での分類の一つ「ガバナンス改革」が、政治改革との共通分野になります。