カテゴリーアーカイブ:官僚論

公務員制度改革、挫折の歴史

2010年5月15日   岡本全勝

岡本義朗氏の「公務員制度改革への期待と不安」が、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの季刊『政策・経営研究』2010年vol.2に載っています。岡本さんは、民間人から乞われて、国家公務員制度改革推進本部事務局次長を勤められた方です。論文では、これまでの公務員制度改革の歴史を振り返り、改革のポイントを整理した上で、なぜ実現しなかったかについて考察しておられます。良く整理できた論文だと思います。ご関心ある方は、ご一読ください。

イギリスの官僚

2010年5月4日   岡本全勝

4月23日の朝日新聞オピニオン欄、グレアム・フライ前駐日英国大使のインタビュー、「日英、官僚の在り方は」から(古くなって、すみません)。
・・私たちの場合、官僚は政治家とほとんどつきあいません。自分の役所の大臣、副大臣、政務官とは毎日会いますが、例えば野党の大物政治家と連絡するときは大臣の許可が必要です。
・・(日本の「政と官」の関係について)政治主導ということで、各省に政治家が集まっていろいろ決めていると聞きました。政治家と官僚は役割が違うから、互いに尊敬してやればいいのではないでしょうか。特に重要なのは、大臣が「これをやりたい」と言った時です。その場合、官僚の義務は客観的に分析して問題点を指摘することです。大臣は聞きたくないかもしれないし、こいつは邪魔をしようとしていると官僚が誤解される可能性も大きい。そういうことができる政治家と官僚の信頼関係は非常に大切だと思います。
・・官僚の能力として一番評価されるのは、どんな政策を作ったらいいかという大臣へのアドバイスなんですが、大事なのはそれだけじゃありません。プロジェクトの管理や運営が上手にできるかなんですね。そうすると、官僚の技能で足りるのか、そういう技能は民間にあるんじゃないか、じゃあ民間から導入しようとなるんですね。
・・(官僚の人事について)政治家は介入しない方がいい。なぜなら、官僚が政治家にくっついてしまう失敗がありうるからです。人事は委員会を設けて、できるだけ客観的に評価するのがいい。ある人たちは若くして昇進する。でもポストは増えないから、そうでない人たちは若い人にポストをとられて昇進できません・・

官僚の説得能力の低さ

2010年2月13日   岡本全勝
月刊『文藝春秋』3月号に、塩野七生さんが、「仕分けで鍛える説得力」を書いておられます。
・・事業仕分けと呼ぶらしいが、帰国中にそれをテレビで観ていて、あることに気づいて愕然となった。それは、仕分けされる側、つまり各省庁の高官たちの、説得能力の絶望なまでの低さである。この人々は、外国との交渉では首相や大臣が出てくるまでの事前交渉を担当する人々でもある。外国語を使っての表現能力は母国語のそれを越えることは絶対にない、と私は確信しているが、日本語同士でもこの程度では、これまでの対外交渉がしばしば日本の国益に反する結果で終わっていたのも当然であったのだ。なぜ、これほどまでに劣化したのだろう。私の想像するには、頭のできの悪い人々ではない以上、原因は次の二つに要約できるかと思う。
第一に、これまでずっと、母国語(日本語)でさえも、説明し説得する必要に迫られてこなかったこと・・第二には、外国との間の事務方同士の交渉は非公開で行われ、そこでたとえ敗退したとしても実態は公表されないので、担当者は責任を問われないという事情がある・・
詳しくは、原文をお読みください。

ガラパゴス化、よそに行ける人と行けない動物

2009年11月25日   岡本全勝

日経新聞1面の「春秋」、24日は、ダーウィンの進化論にからめて、日本商品のガラパゴス化を取り上げていました。
・・隔絶した孤島という環境で、ゾウガメやイグアナなどの生き物がほかで見られぬ独自の姿に進化した。そんな島になぞらえ、国内市場だけに向けて進化し、海外では通用しない商品やサービスを称して「ガラパゴス化した」という。携帯電話が代表格だが、このたとえ、ダーウィンなら首をかしげるかもしれない。島の生き物たちはそもそもよそへ行くすべがない。日本は行けるのに、行こうとしないだけではないか、と・・
私はこのホームページで、何度かガラパゴス化、特に公務員のガラパゴス化を取り上げました。でも、この指摘の通りですね。本家ガラパゴスが、怒りますよね。

目標による人事評価

2009年10月27日   岡本全勝

消防大学校では、今日は、警防科(60人)の入校式がありました。明後日は、幹部科の入校式があります。ところで、国家公務員の目標による評価が、10月から本格的に始まりました。内容は、二本柱からなっています。
一つは、能力評価で、あらかじめ定められた項目ごとに評価されます。これは1年後の9月30日までが対象期間ですから、評価は来年です。もう一つは、業績評価で、各人が目標を申告し、その結果を評価します。最初の対象期間は3月31日までの、半年です。すなわち今回、この業績評価のための目標を、申告するのです。私も、申告しました。
この問題については、連載「行政構造改革」第2章四で官僚制の問題を取り上げ、その2(3)で公務員の評価を論じました。目標による評価には、このような個々の公務員の評価とともに、各組織についての業績評価も課題です。