1月28日の朝日新聞「世界の目に映る、日本の「不平等」 国連の女性差別撤廃委、秋月弘子副委員長に聞く」から。
・・・ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位の日本。日本社会の男女の不均衡について、昨秋、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)も改善すべき点を指摘しました。委員会の副委員長を務める亜細亜大学の秋月弘子教授(国際法学)はジェンダーをめぐる「日本の当たり前は世界の非常識になっている」と話します。
―CEDAWの仕事はどのようなものですか。
家族関係などの私的な領域から政治経済まで、あらゆる分野でジェンダー差別をなくす措置を取るよう求める女性差別撤廃条約という条約があります。日本を含めて189カ国が締約しています。委員会は締約国の状況を審査し、解決策などを提案します。具体的には、私たち委員が1年に3回ジュネーブに集まり、1回に8カ国ずつ審査していきます。政府の他に、その国の市民団体などからも報告書を上げてもらい、そこに性差別があるのかないのか、精緻な「ジェンダーレンズ」を通して見ていきます。
――今回の日本への勧告にはどのように関わられたのですか?
独立性、公平性の観点から自身の国籍国の審査には一切関与できないことになっています。
ウェブサイトで公表されてから最終見解を読みましたが、ネットなどを中心に「日本の問題に口を出すな」という批判があがったことは非常に残念でした。
―日本がジェンダー平等に近づくためにはどのような取り組みが必要だと思いますか。
ジェンダーの問題は政治、経済、すべての分野にまたがっています。今は内閣府男女共同参画局が担当していますが、それでは十分ではありません。専門家を育成し、政策の立案や実行を推進するジェンダー庁をつくるべきです。
そして独立した国内人権機関も必要です。審査にあたって市民団体からCEDAWに提出された報告書は基本的に公表されます。しかし今回の日本審査では、公表された44の報告書以外に公表されない「極秘」扱いの報告書が20通近くあったそうです。
政治的な混乱や紛争があって、報告書を送ったことで国内で迫害や相当な嫌がらせを受けることが懸念される場合に非公表扱いにするのですが、日本も、差別を問題提起したことで攻撃される危険があるような状況になってしまったのかと驚きました。