『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第26回「職場管理の知識(4)働き方改革」が発行されました。連載第23回から、職場管理の知識をお話ししています。私が公務員になってから、特にこの20年間に、職場が大きく変化しました。法令遵守、公務員倫理、情報公開、個人情報保護、情報セキュリティ、リスク管理、男女共同参画、メンタルヘルス、セクハラとパワハラ防止などです。
そして今、ワーク・ライフ・バランス、働き方改革が迫られています。これは、私たちの職場と仕事の仕方を大きく変えることになると、私は考えています。今回は、それについて少し解説しました。
次回第27回からは節を改めて「組織を動かす」に入り、働き方改革については第29回からさらに詳しく解説する予定です。今回の内容は、次の通り。
日本社会の曲がり角、働き方改革は社会革命、日進月歩の職場環境、職員研修。
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明るい公務員講座
明るい公務員講座・中級編25
『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第25回「職場管理の知識(3)職場の規律」が発行されました。
労働法制を守らなければならないことは当然ですが、近年はその他にも注意しなければならないことが増えています。
一つは、長時間労働の禁止です。かつては、よく働くことは美徳でした。私も、若い時はそれを自慢していました。しかし、過労死などの問題が出て、長時間労働は悪になりました。
職場で増えてきたのが、メンタルヘルスの問題です。うつ病の職員が増えています。しかし、彼ら彼女らに対する指導の仕方を、きちんと教えてもらっている人は少ないでしょう。セクハラとパワハラの問題などもあります。
かつては問題にならなかったことが、大きな問題になっています。そして多くの管理職は、この新しい事態に対する対処の方法をきちんと教育されていないのです。
今回の内容は、次の通り。
長時間労働は悪、職員のメンタルヘルス、セクハラとパワハラの防止、男女共同参画と多様な人材育成。
熱意ある社員は6%だけ
5月26日の日経新聞が、「「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査」を載せていました。
・・・世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことが分かった。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだった。
企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達した・・・
連載「明るい公務員講座・中級編」第20回「意欲を持たせる指導」で、日本の会社員のうち仕事熱心な割合は7%であることを紹介しました。同じ調査の最新版のようです。6%か7%かは、誤差の範囲でしょう。無気力社員が24%という数字は、前回と変わっていません。全体として、変化はないようです。
回答者が、どの程度「本心」を答えているかは分かりません。しかし、仕事熱心な社員が、「私は熱意はないんです」と韜晦することは少ないでしょう。あるいは、上司が、部下を厳しめに評価しているのでしょうか。いずれにしても、良い数字ではありませんし、日本人は働き者だという「通説」を覆すものです。
ギャラップのジム・クリフトン会長のインタビューが参考になります。
「日本ではなぜこれほど「熱意あふれる社員」の割合が低いのですか」という問いに。
・・・日本は1960~80年代に非常によい経営をしていた。コマンド&コントロール(指令と管理)という手法で他の国もこれを模倣していた。問題は(1980~2000年ごろに生まれた)ミレニアル世代が求めていることが全く違うことだ。ミレニアル世代は自分の成長に非常に重きを置いている。
それ以上に問題なのは「不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%と高いこと。彼らは社員として価値が低いだけでなく周りに悪影響を及ぼす。事故や製品の欠陥、顧客の喪失など会社にとって何か問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している・・・
「どうすれば改善しますか」との問いに。
・・・主な原因は上司にある。上司の言ったことを、口答えせずに確実にやれば成功するというのが従来のやり方だった。このマインドセットを変えないといけない。上司と部下が一緒になってどう結果を出すか、部下をどうやって成長させていくかを考えることが上司の仕事になる。
それには部下の強みが何かを上司が理解することだ。これまでは弱みを改善することに集中するのが上司の仕事だったが、得意でないことが強みに変わることはない。無気力な社員の半数は自分に合っていない仕事に就いている。合った仕事に変えるだけで無気力な社員を半分に減らせる。
インタビューによると、アメリカでもこれに気づいてやり方を変えたのは、15年ほど前だそうです。原文をお読みください。
明るい公務員講座・中級編24
『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第24回「職場管理の知識(2)情報の取り扱い」が発行されました。前回から、職場管理の知識を書いています。
私が公務員になった頃と大きく変わったのが、情報の取り扱いです。かつては「行政文書の取り扱い」と言っていました。文書の受け付け、回覧、起案、決裁、保存などを、「文書事務の手引き」で勉強しました。
その後の変化の要点は、
・手書きの書類だけでなく、複写機が普及したことと、電子メールを含め電子情報が増えたことです。「文書」でなく「情報」と呼ぶようになりました。
・もう一つは、情報公開を意識しなければならないこと。と同時に、個人情報保護という、相反する方向で注意しなければならないことです。
・情報セキュリティも求められるようになりました。
これらは、かつての「文書事務の手引き」には載っていないことです。
しかも、新しいこと、注意しなければならないことが、どんどん増えてきます。
今回の内容は次の通り。
情報の保管と公開、個人情報保護、情報セキュリティ、災害などへの備え、リスクへの備え。
読売新聞で紹介されました。
5月20日の読売新聞夕刊コラム「とれんど」で、棚瀬篤論説委員が「災害対応のイロハ」を書いておられます。その冒頭に、次のように書いていただきました。
・・・人間の脳は、1、2、3の次を「たくさん」と認識するという説がある。漢数字を見ても三までは棒の数だが、四から先は違う。
そんな話を交えつつ、若い後輩に助言する。1枚の紙に入れる項目は三つ以内に抑えよう、と。
前復興次官で内閣官房参与の岡本全勝さんが近著『明るい公務員講座』(時事通信社)で教える書類作成法の一つだ。40年近い公務員生活で身につけた仕事のノウハウを公開したという。
書類作成法では、ほかに「結論を先に」「目次をつける」といった助言もある。経験の浅い職員にはイロハのイが有用なのだろう・・・
ありがとうございます。
このコラムの趣旨は、この後にでてきます。全文をお読みください。