カテゴリーアーカイブ:著作と講演

人事院初任行政研修講師2

2021年9月9日   岡本全勝

今日は、人事院初任行政研修講師の続きに行ってきました。前回6日に基調講義をして、それを受けて、研修生たちが班別に討議をします。その発表会がありました。その講評をするのです。
83人の研修生が、15班に分かれ、討議した結果を発表します。それぞれの班には、3つの課題のうちの1つが割り当てられています。検討する課題の設定には、工夫を凝らしました。当時の状況で「あなたならどうしますか?」では、既に私たちがやった実績があり、そんなに大きな失敗もしていない、また詳しい状況を彼らは知らないので、議論にならないでしょう。そこで、人事院の担当者と相談して、現場を知らない、そしてまだ駆け出しの公務員でも議論できるような設問にしました。

15班を3つのグループに分けて、各班が検討結果を発表し、他のグループや研修生から質問を受けます。私はその講評をします。
私一人ではすべてのグループを見ることはできないので、あと2人講師を呼びました。被災者生活支援本部事務局で私を助け、全体を管理運営してくれた、山下哲君君(現・総務省総務審議官)と、福井仁史君(現・迎賓館館長)です。当時の混乱と、私たちの苦労を知っている2人です。

研修生の発表はどうなるか、質疑応答はどうなるだろうかと心配していたのですが、発表はすばらしく、質疑応答も活発で、時間が足らなくなりました。正解のない課題、まだ経験も浅いという条件にもかかわらず、論点を網羅し、それをうまく整理し、出題者の期待を超える発表でした。
今回のような視点や思考を忘れずに、日頃の業務を改善してほしいです。頑張れ、次代を背負う若者たちよ。

人事院初任行政研修講師

2021年9月6日   岡本全勝

今日は、人事院初任行政研修の講義に行ってきました。今回も、オンライン講義で、私は北区西ヶ原の研修所で話しました。この研修は、今年採用された国家公務員総合職が、一部の職を除いてほぼ全員受講します。

その中に、行政政策事例研修という科目があります。歴史的に意義が大きい過去の行政事例を題材として、当時の困難に対応した関係者の話を聞き、行政官として取るべき行動を討議するものです。成田空港建設や消費税導入などが、事例として扱われているようです。これはなかなか良い科目です。今回、東日本大震災が課題に加えられました。

人数が多いので、8つのコースに別れて、別々の事例を扱います。私のコース(東日本大震災)は、対象者が約90人。
今日はまず、基調講義をしました。そして、研修生が討議する課題を3つ与えました。彼らは、班別にこの課題の一つを議論し、9日の発表会に臨みます。
今回の研修も、全てオンラインです。私は、画面に数人の研修生の顔を映してもらい、彼らに向かって話しました。反応がわかりますから。皆さんまじめです。最後に質問の時間を設けましたが、3人から良い質問が出て、うれしかったです。

班別討議も、彼らがオンラインでやるそうです。もっとも、今年採用された諸君は、昨年に大学や大学院でオンライン授業は慣れています。でも、集合研修や宿泊研修は、昼夜を通して、知らない人たちと知り合いになる機会なのですがね。

補足です。講義で紹介したこのホームページの「明るい課長講座」は、この表紙の左欄「人生の達人」の中にあります。「+」を開いてください。

 

連載「公共を創る」第91回

2021年8月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第91回「社会の課題の変化―新たな課題対応のために生活省の設置を」が、発行されました。

この連載では、日本が経済成長に成功し成熟社会になったのに、社会の意識と仕組みが変わっていないことを主題の一つとしています。そのような視点で見ると、改革への取り組みは30 年は遅れています。

私は、「生活省」の設置を主張しています。それは、社会生活問題に本格的に取り組むためであり、行政の任務が大きく変わったことを明らかにするためにも必要だからです。先日の読売新聞でも話しました。「読売新聞に出ました「首相に直言 秘書官の役割」
各府省に散らばっている、国民の生活の悩みに関する部局を集めて、一つの省にするのです。「生活」と言っても広いですが、軸は、生活者、消費者、社会的弱者を守る施策です。そのような施策を任務としている課や局を統合して、一つの省をつくるのです。明治以来、省庁のほとんどが、生産者と提供者側に立っていました。それに対して、国民の生活側に立った省をつくるのです。
名称は「国民生活省」でもよいのですが、それでは定住外国人が外れることになります。あるいは「生活者省」「暮らし省」といった名称も考えられます。
対象と想定している部局は、次のようなものです。これらの組織あるいはその一部を、生活省に再編統合します。

(共生社会など)内閣府政策統括官(政策調整担当)のうち共生社会に関するもの、男女共同参画局、政策統括官(経済社会システム担当)のうち共助社会づくりに関するもの、関係する本部(子ども・子育て本部、子ども・若者育成支援推進本部、高齢社会対策会議、犯罪被害者等施策推進会議、子どもの貧困対策会議)
(消費者など)消費者庁。食品安全委員会
(家庭や子育て)厚生労働省子ども家庭局
(働き方)厚生労働省雇用環境・均等局、職業安定局、人材開発統括官、労働基準局
(社会的弱者)厚生労働省社会・援護局。法務省保護局、人権擁護局
(定住外国人)出入国在留管理庁在留管理支援部

連載「公共を創る」執筆状況報告

2021年8月25日   岡本全勝

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
第4章1(3)個人の責任と政府の責任を書きあげました。右筆たちに手を入れてもらい、それを反映して、編集長に提出しました。4回分くらいには、なりますかね。これで、9月は乗り切れるでしょう。

いや~、今回も難渋しました。集中力が続かないことと、議論している内容が難しいことによります。
孤独・孤立対策や社会的包摂にあっては、近代市民社会が前提としたこと、それによって作られた近代憲法が限界にあることを主張しています。みんながみんな、自立した市民ではありません。そして、孤立対策や社会的包摂は、従来の社会保障制度では救済できないのです。
話が大きいのと、法律学などを踏まえた議論をしなければならないので、ええ加減なことは書けません。とはいえ、私はその分野の専門家ではなく、また適当な書物もないので、四苦八苦しました。

こんな時は一人で悩まず、専門家に聞くのが早道です。ということで、今回は右筆を増やし、たくさんの人に見てもらい、意見をもらいました。ありがたいことに、いくつも鋭い意見をもらいました。それらを反映したので、これで安心して活字にすることができます。
400字詰め原稿用紙で、60枚近くの分量です。ワープロと右筆たちがいないと、とても書き上げることはできなかったでしょう。

この猛暑にも負けず、早起きして、頭がさえている時間帯に書きました。夜の異業種交流会ができないので、時間と体力は余っているはずなのですが。集中力は、そんなに長くは続きませんね。
今回も、締めきりを守りました。ホッとしましたが、ゆっくりはしておられません。その続きの原稿に、取りかからなければなりません。
第4章政府の役割再考 1社会の課題の変化を書き上げたので、次は、2社会と政府です。徐々に完結に近づいています。

連載「公共を創る」第90回

2021年8月20日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第90回「社会の課題の変化―顔の見える関係を基に手を差し伸べる」が、発行されました。前回に引き続き、孤立問題に対する安心提供手法の変化を説明しています。

人生につまずいた際にどうするかという知識と知恵を教えること、孤立に陥る前の「手すり」が必要です。そして陥った際に、どのような支援をするか。
例えば、ニートやホームレスの若者にも、次のような違いがあります。
・自ら就職先を見つけられない若者で、「きめ細かな情報提供」が必要な場合
・人間関係が苦手な若者で、「社会力をつけること」が必要な場合
・生きていくことに喜びを見いだせない若者で、「生きていく力を身に付けること」が必要な場合
すると、それぞれの場合で支援内容が異なります。
また社会生活での自立には、本人の意欲が必要です。周囲からの支援だけでは達成できません。ここにも、難しさがあります。

そして、新たに発見された社会的排除は、本人側より、周囲の側に原因があります。社会的包摂には、社会の側の意識の転換が必要です。