カテゴリーアーカイブ:著作と講演

2人孤独死

2021年9月15日   岡本全勝

9月14日から朝日新聞社会面で、「2人孤独死」が連載されています。
内容は、記事を読んでいただくとして。高齢者の2人暮らしで、2人とも倒れる、あるいは世話をしていた方が倒れることでもう1人も倒れる事例が載っています。このようなことも起きるのですね。

高齢者の一人暮らしは孤立し、孤独死の可能性があります。このことは、世間では認識されていますが、2人暮らしでも危険性は高いのです。
ここでわかるのは、独り暮らしが危険、2人暮らしが危険というのではなく、孤立していることが危険だということです。外部の人と毎日の付き合いがあれば、助けを求めることができるでしょうに。
プライバシーが守られる、扉を閉めれば内部の様子がわからないアパートやマンションででは、孤立はさらに高まります。

他方で、新型コロナウイルス感染症で、一人暮らしでの危険性も報道されています。
一人暮らしで何かあった際の危険、そして孤立していることの危険。これらへの対処が求められています。連載「公共を創る」で取り上げている主題の一つです。

連載「公共を創る」第92回

2021年9月10日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第92回「社会の課題の変化―生活省は「制度」より「課題」に取り組む」が、発行されました。

前回に引き続き、生活省構想を説明しています。
あわせて、制度所管思考と課題所管思考の違い、このような問題には課題所管思考が必要なこと。理想に向かって先頭を進む前衛の役割とともに、ついてこられない人を拾っていく後衛の役割も必要なこと。公務員に求められる専門性が変わってくることを説明しました。
行政に求められる優先課題が変わったことによって、公務員に求められる思考も能力も変わる必要があります。

人事院初任行政研修講師2

2021年9月9日   岡本全勝

今日は、人事院初任行政研修講師の続きに行ってきました。前回6日に基調講義をして、それを受けて、研修生たちが班別に討議をします。その発表会がありました。その講評をするのです。
83人の研修生が、15班に分かれ、討議した結果を発表します。それぞれの班には、3つの課題のうちの1つが割り当てられています。検討する課題の設定には、工夫を凝らしました。当時の状況で「あなたならどうしますか?」では、既に私たちがやった実績があり、そんなに大きな失敗もしていない、また詳しい状況を彼らは知らないので、議論にならないでしょう。そこで、人事院の担当者と相談して、現場を知らない、そしてまだ駆け出しの公務員でも議論できるような設問にしました。

15班を3つのグループに分けて、各班が検討結果を発表し、他のグループや研修生から質問を受けます。私はその講評をします。
私一人ではすべてのグループを見ることはできないので、あと2人講師を呼びました。被災者生活支援本部事務局で私を助け、全体を管理運営してくれた、山下哲君君(現・総務省総務審議官)と、福井仁史君(現・迎賓館館長)です。当時の混乱と、私たちの苦労を知っている2人です。

研修生の発表はどうなるか、質疑応答はどうなるだろうかと心配していたのですが、発表はすばらしく、質疑応答も活発で、時間が足らなくなりました。正解のない課題、まだ経験も浅いという条件にもかかわらず、論点を網羅し、それをうまく整理し、出題者の期待を超える発表でした。
今回のような視点や思考を忘れずに、日頃の業務を改善してほしいです。頑張れ、次代を背負う若者たちよ。

人事院初任行政研修講師

2021年9月6日   岡本全勝

今日は、人事院初任行政研修の講義に行ってきました。今回も、オンライン講義で、私は北区西ヶ原の研修所で話しました。この研修は、今年採用された国家公務員総合職が、一部の職を除いてほぼ全員受講します。

その中に、行政政策事例研修という科目があります。歴史的に意義が大きい過去の行政事例を題材として、当時の困難に対応した関係者の話を聞き、行政官として取るべき行動を討議するものです。成田空港建設や消費税導入などが、事例として扱われているようです。これはなかなか良い科目です。今回、東日本大震災が課題に加えられました。

人数が多いので、8つのコースに別れて、別々の事例を扱います。私のコース(東日本大震災)は、対象者が約90人。
今日はまず、基調講義をしました。そして、研修生が討議する課題を3つ与えました。彼らは、班別にこの課題の一つを議論し、9日の発表会に臨みます。
今回の研修も、全てオンラインです。私は、画面に数人の研修生の顔を映してもらい、彼らに向かって話しました。反応がわかりますから。皆さんまじめです。最後に質問の時間を設けましたが、3人から良い質問が出て、うれしかったです。

班別討議も、彼らがオンラインでやるそうです。もっとも、今年採用された諸君は、昨年に大学や大学院でオンライン授業は慣れています。でも、集合研修や宿泊研修は、昼夜を通して、知らない人たちと知り合いになる機会なのですがね。

補足です。講義で紹介したこのホームページの「明るい課長講座」は、この表紙の左欄「人生の達人」の中にあります。「+」を開いてください。

 

連載「公共を創る」第91回

2021年8月27日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第91回「社会の課題の変化―新たな課題対応のために生活省の設置を」が、発行されました。

この連載では、日本が経済成長に成功し成熟社会になったのに、社会の意識と仕組みが変わっていないことを主題の一つとしています。そのような視点で見ると、改革への取り組みは30 年は遅れています。

私は、「生活省」の設置を主張しています。それは、社会生活問題に本格的に取り組むためであり、行政の任務が大きく変わったことを明らかにするためにも必要だからです。先日の読売新聞でも話しました。「読売新聞に出ました「首相に直言 秘書官の役割」
各府省に散らばっている、国民の生活の悩みに関する部局を集めて、一つの省にするのです。「生活」と言っても広いですが、軸は、生活者、消費者、社会的弱者を守る施策です。そのような施策を任務としている課や局を統合して、一つの省をつくるのです。明治以来、省庁のほとんどが、生産者と提供者側に立っていました。それに対して、国民の生活側に立った省をつくるのです。
名称は「国民生活省」でもよいのですが、それでは定住外国人が外れることになります。あるいは「生活者省」「暮らし省」といった名称も考えられます。
対象と想定している部局は、次のようなものです。これらの組織あるいはその一部を、生活省に再編統合します。

(共生社会など)内閣府政策統括官(政策調整担当)のうち共生社会に関するもの、男女共同参画局、政策統括官(経済社会システム担当)のうち共助社会づくりに関するもの、関係する本部(子ども・子育て本部、子ども・若者育成支援推進本部、高齢社会対策会議、犯罪被害者等施策推進会議、子どもの貧困対策会議)
(消費者など)消費者庁。食品安全委員会
(家庭や子育て)厚生労働省子ども家庭局
(働き方)厚生労働省雇用環境・均等局、職業安定局、人材開発統括官、労働基準局
(社会的弱者)厚生労働省社会・援護局。法務省保護局、人権擁護局
(定住外国人)出入国在留管理庁在留管理支援部